地下鉄アートが色々楽しめるニューヨーク。様々な駅で、個性的なアートに出会うことがよくありますが、先日、とてもびっくりしたのが、マンハッタン北部のワシントンハイツにある地下鉄駅、ライン1 の 191 Street 駅です。地下鉄のプラットフォームにたどり着くためには、トンネルストリートと呼ばれる、とても長いトンネルを通っていくのですが、なんとそのトンネル、とてもカラフルな壁画が描かれていて、ちょっと楽しい気分にさせてくれる、写真映えアートスポットになっているのです。
ニューヨークの地下鉄の駅には、壁画が描かれていたり、彫刻があったり、本格的なギャラリーのような セカンドストリートのミュージアムのような地下鉄アート や、アレックスカッツの地下鉄アート など、有名なアーティストさんによる、地下鉄駅をまるまるハイジャックした感じの洗練されたものまでありますが、先日、出会った地下鉄アートはとてもエネルギッシュなストリートアートでした。
いかにもニューヨークらしさを感じる、派手派手な地下鉄アートがあるこの駅は、赤の1番線 191ストリート駅です。駅に到着した瞬間、駅の入口まで壁画が溢れ出てきているようなパワフルさでビックリさせられます。
191ストリート駅(地図) は、マンハッタン北部のワシントンハイツにある駅で、クロイスターズ美術館とフォートトライオンパークへ行った帰り、普段利用する美術館の最寄りの地下鉄駅のエレベーターが工事中だったため、赤線1番の地下鉄に乗りたかったこともあり、初めて利用してみました。
恐る恐る、中を覗き込んでみると、奥が深く、昔っぽい地下鉄駅の雰囲気を醸し出していました。実はこの地下鉄の壁画、本来はしっかりとした壁画が描かれていた感じなのですが、その上から次々と落書きのグラフィティが重ねられていき、昔のニューヨークのような雰囲気になっていったようなのです。
入り口を入り下りていってみると、おぉーっとのけぞってしまう迫力ある景色が目の前に広がっていました。そして、今まで見たことないくらい、長いトンネルです。マンハッタンの北部は起伏が激しく、急峻な丘と谷が交互にあるのですが、実は、赤の1番線 191ストリート駅は、地上から 53m (173 feet) 下にあり、ニューヨークの地下鉄駅の中で最も深い地点にある駅なんです。丘の上にある駅の真上へは、通常、エレベーターで移動することができますが、2021年2月まで閉鎖中となっていて、現在、唯一の駅への入口となっているのが、谷部分のブロードウェイ沿いにある、全長300m 程のこのとても長いトンネルなのです。
きょろきょろしながら歩き始めてみると、アートの雰囲気が移り変わっていき、面白いです。それもそのはず、ベースとなっている壁画は、2015年に5組のストリートアーティストによって、全体を5等分し、描かれたもので、それぞれ異なった雰囲気の作品に仕上がっています。かつては、薄暗く危険な雰囲気のトンネルだったそうですが、明るい照明とパワフルなアートの壁画により、危険な雰囲気はあまり感じられません。2008年にも壁画が描かれていたそうですが、落書きされたため、2015年に再び描かれました。
現在では、グラフィティの上書きがたくさんされてしまった後のため、2015年当時の姿とは変わって来ていて、以前、ブロンクス美術館で地下鉄アートの特別展 が行われていたことがあったのですが、その時見たような80年代のニューヨークの地下鉄アートを連想させる、そんな雰囲気のトンネルになっています。
少し懐かしいノスタルジックな独特な文字のウォールアート。ニューヨークのベテランストリートアーティスト、Cope2 の作品です。上から落書きされている部分も多く、分かりにくかったですが、入口付近には、同じく、文字アートを専門とし、最近、色々な場所で、よく見かける クイーンアンドレアさん の担当部分もありました。
トンネルいっぱいカラフルに描かれていると、すごく綺麗に見えます。ニューヨークの隠れ写真映えスポットです。
この長いトンネル、ほとんど人が通らないので、このエリアに精通していない人には、安全なのかどうなのか不安になるような、ちょっとした緊張感があるかもしれません。電車が来た瞬間だけ、下車した人たちが通るのですが、電車が来ない間は、それ程人通りが多くありません。周辺のワシントンハイツは比較的安全なエリアで、実際、周囲の様子に気をつけながら歩いてみた実感では、危険な感じはしませんでした。夜が早くなっている現在のニューヨーク、今はどの駅でも言えるかもしれませんが、明るい日中の人通りがある時間帯に訪れるのが安心かと思います。
ニューヨークの地下鉄の乗り方 など、基本情報はこちらの記事をどうぞ。
ニューヨークには、街中にグラフィティが溢れているので、色々なところで見つけて楽しんでみて下さい。
ニューヨーク周辺のストリートアートでは、街中にたくさんの壁画が描かれているブッシュウィックやジャージーシティなども見応えがあります。