Airbnb (3)

ニューヨークでAirbnbって違法なの?最近のNYCエアービーアンドビー事情

Airbnb
(airbnb)

最近、すっかり存在感を増し、ニュースにも登場することが多くなっているのが、個人の民泊予約サイト Airbnb(エアビーアンドビー)です。
Airbnb が急速に成長を遂げる中、地方自治体やホテル業界との軋轢も大きくなり、世界中の様々な都市で賛否両論の争いが起こっています。先日、ニューヨーク州でも Airbnb など民泊のサービスにおいて、違法となる民泊に関する宣伝に対して罰金を科すという法案が可決され施行されました。
じゃあ、ニューヨークでは Airbnb は違法なの?っていうと、実はそういうわけでもないです。条件さえ守られていれば、もちろん合法で、ニューヨークのようなホテルの高い街でこそ、個性的な宿泊体験ができる Airbnb を是非体験したいところです。

ニューヨークシティにおける Airbnb(エアビーアンドビー)のルール
(30日以内の短期滞在の場合)
・ アパートなど複数の世帯が居住する建物では、ホストがいる状態でのみ、個室やシェアルームとして貸し出しが可能。
・ 一軒家または2世帯のマルチファミリー物件では、ホストがいなくてもゲスト占有で貸し出しが可能。

というわけで、基本的には、ホストが家にいる状態で一室を借りて宿泊するケースが多くなると思いますが、ニューヨークシティ内にも物件は色々あります。

私も旅行先で はじめて Airbnb を利用した体験談 を書きましたが、なかなか好印象でした。ニューヨークにもおしゃれなインテリアの素敵な Airbnb 体験ができるところがあるので、旅の思い出のひとつとして体験してみるのもおすすめです。
はじめて Airbnb を利用する人は、こちらの 40ドルOFF を利用できます。

airbnb nyc
Airbnb New York

ニューヨークでは、2010年に「アパートなど複数の世帯が住む建物において、ホストがいない状態でのゲストの30日以内の短期滞在は禁止とする」という法律が成立しました。この法律に対して、今回新たに可決されたルールは、この法律に反するような宿泊を Airbnb などで宣伝した場合、初回は $1000、2回目は $5000、3回目は $7500の罰金を科すという内容のもので、例えば web に掲載しただけで罰金を科すことができるという厳しいものとなります。
レントの上昇などハウジングマーケットへの影響や、見知らぬ人が建物に頻繁に出入りすることへの不安感などに対処することを目的として法律が制定されたにも拘わらず、違法な宿泊がまだ多数あるため、厳しく対処していくという姿勢が見られます。

その一方、多くのホストにとっては、普段住んでいる住居を留守の時など空いている時に貸し出すのは、モーゲージや学生ローンの支払い、レントの高騰などに対処するための大切な手段のひとつとなっている側面もあります。
こちらのビデオではそんなニューヨークの状況について、分かりやすく解説してくれています。

Airbnb に対する対応は、それぞれの地方自治体により異なっており、例えば、ニューヨークの周囲を見まわしてみると、 Airbnb に積極的な都市もあり、その市長の意見が述べられていますが、マンハッタンからハドソンリバーを越えたすぐお隣のジャージーシティ、国際空港のあるニューアークなどでは合法化され、税金も自動徴収されるようになっています。

また地方自治体だけにとどまらず、国レベルでも、上院議員の Elizabeth Warren さんらは、Airbnb をはじめとした短期滞在用サイトのハウジングマーケットへの影響をFTC(連邦取引委員会)に調査するよう指示したということがニュースになっており、ホテル業界や、税金や規制、監督の権限などを通じて様々な利害関係のある公共機関の強い危機感が感じられます。

急激に成長を続ける 個人vs個人のビジネス、シェアリングエコノミーの代表的なものの一つに挙げられる Airbnb は、2008年にスタートしたばかりの企業ですが、新しい短期滞在のマーケットを創り出し、育てあげてきました。現在では、通算ゲスト数も1億人に到達したそうです。
Airbnb の急速な成長は、ゲストやホストなど多くの人々にとってメリットを提供している証拠でもあります。
まだ上場していませんが、目安としては、下のチャートのように企業価値の評価が主要なホテル会社のものを超えるほど成長への期待度は大きく膨らんでいます。

airbnb-valuation
(theatlas.com)

Airbnb の出現、拡大に至るもともとの時代背景を考えてみると、低金利、金融緩和により不動産などのアセット価格の上昇、またM&Aなどのビジネスの統合によるホテル価格の高騰、画一化があると思います。
レントに関しても言えることですが、値段が上がるからといって、毎年、毎年、何かが特別向上しているわけでもありません。さらにホテル業界においては、吸収、合併を通じ、どこも似たり寄ったりのホテルとなり、そこならではの特別感を感じることも少なくなってきていたようにも感じます。それにも関わらず、不動産価格の上昇に伴って、ホテル料金はまるでモノポリーのゲームの要領で上昇が続いてきました。

都市部では家賃が年々値上がっていて、ニューヨークもまさにその渦中にあり、住人たちも頑張っています。そんな中、Airbnb の急激な成長もあり、多くの都市部に住む人にとって、見知らぬ人の出入りする様子は、実際、目に付く変化ということで、家賃の高騰の原因ではないかと、矢面に立たされることとなります。
しかし、Airbnb があろうがなかろうが、家賃の高騰は起こっている気がします。より本質的な家賃の高騰の原因は、世界中で有り余った投資マネーです。低金利、低成長の中、より確実にリターンの高い投資先を求めて世界中から集まってくる投資マネーが不動産価格の高騰、投資用物件の開発ラッシュを引き起こし、その結果レントの高騰を招いているのであって、Airbnb などの個人間の短期宿泊のせいであると言うのは少し的がずれている気がします。むしろ Airbnb は、多くのビジネスの成長が鈍化し、金利も低下し、所得の増加が停滞している中、不動産や家賃ばかりが高騰していく、そんな状況だからこそ成長してきたビジネスと言えると思います。ホテルにしても、吸収、合併が続き画一化してきて、料金ばかり高く満足度が低い、そんな中、個性があり、ワクワク感をもたらしてくれる、一般の人々の家を良心的な値段で提供する民泊 Airbnb が登場し、人気となっているのではないでしょうか。
と言うことで、本気でハウジングマーケットの動向を考える場合、個人間の短期宿泊ではなく、むしろFederal Reserve(連邦準備銀行)や、世界各国の金融緩和の影響、世界中を瞬時に駆け回るマネーの動きにより目を向ける必要があると思います。

Airbnb のプラットフォームは多くの人が参加するようになると、たくさんの物件を準備し、隠れホテルのように運営するような人もあらわれたり、その他、差別、犯罪など様々な問題が起こる件数も増え、ニュースとなり騒がれることも増えています。利害関係も多く、そのような事例を取り上げ不安を煽る論調も多くなりますが、多くのごく普通の人々の収入の一部となっていること、そしてそんなサービスを楽しみにしているゲストが多くいることなどを考慮の上、バランスの取れた、建設的な判断がされ、都市とAirbnb が協力し、より安全で信頼できる存在となっていくことが理想的です。

個人的には、多数の物件を確保し隠れホテルのような運営を行っているケースは、ハウジングマーケットへも悪影響を与え、同業のホテルと比べて不公平なので取り締まるべきだと思いますが、通常の住んでいる家を留守時に貸し出すような普通のホスト達を同様に扱うべきではないと思います。Airbnb などのプラットフォームには、多くのデータが蓄積されているのだから、それらのデータをいかし、各自治体が時代に則したルールの見直しを行い、どのようなケースを取り締まりたいのか明らかにすると共に、明確な違反基準を確立し、プラットフォームレベルでそれに該当するホストを排除する方が理に適っています。

最近では、Airbnb は、次のステージへの成長政策の一環として、AMEX などとパートナーとして提携し、ホテルの独壇場であるビジネストラベルの領域での拡大も狙っています。 エスカレートする軋轢への危機感から、元司法長官のEric Holderさんや市長経験者など行政の仕組みに通じた人々を雇うなど政治的、法的な争いに備えているようです。
そんな新たな競争に晒されているホテル業界も一時の画一化が薄れ、独自性のあるコンセプトを持ったブランドを築き、みんなが是非泊まりたいと思うような個性的なホテルも少しづつ増えてきているのではないかと思います。利用者の立場から言うと、このような健全な競争は歓迎すべきことだと思います。

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ニューヨークでAirbnbって違法なの?最近のNYCエアービーアンドビー事情 was last modified: 9月 25th, 2017 by mikissh