巨大オンライン小売業のアマゾンが、オーガニック食品で急成長を遂げたスーパーマーケットの大手、ホールフーズマーケット (Whole Foods Market) を$13.4 Billionの評価額で買収することが発表されました。最近、都市部に実店舗の本屋さんのオープンを進めているアマゾン、実店舗利用のリテール業に強い関心を抱いていることは感じていましたが、ここまで大きなストラテジックな動きがあるとは思いませんでした。今まで、利ざやが少ないこともあり、比較的、安定していたスーパーマーケット業界に、巨大資本と高度なテクノロジーを持つスマートな企業が参入してきたということで、スーパーマーケット業界は戦々恐々としているかもしれません。
オーガニック食品で一躍急成長を遂げたホールフーズマーケットですが、ここ最近、業績が停滞中ということで、投資家からのプレッシャーも強くなっており、新しい成長の方向性を考える必要に迫られていました。ニューヨークのブライアントパークに今年登場した店舗などは新しいデザインやスタイルも取り入れていて変化が感じられましたが、そんな中さらなる躍進を求めて アマゾンによる買収 という運びに至ったと思います。
アマゾンにおいて、おそらく最も大切にしているパフォーマンスの指標は、アマゾンプライムの会員数だと思いますが、今回のホールフーズ買収も、グローサリーデリバリーサービスの AmazonFresh 同様、将来的には、会員数を増加させるための一手段として考えていると思います。
また、アマゾンの小売業における、主なライバルはウォルマートですが、最近、ウォルマートが、ニューヨークのお隣 NJ ホーボーケンを拠点としている Jet.com というオンラインリテーラーを買収し、オンライン部門を強化しており、そんなライバルへの対抗策という側面もあります。
今後、ホールフーズマーケットは、アマゾンが開発を進める新しいテクノロジーを実際に試すことができるプラットフォームとしての役割を担っていくのではないでしょうか。
例えば、「アマゾン・ゴー (Amazon Go)」 は、スーパーをはじめ、小売業において、大革新となるかもしれない技術です。お客さんは欲しいものを手に取ってバッグに入れるだけで自動でお会計されるのでそのままお店をでていけます。今まで費やしてきたお会計のためにレジに並ぶ時間が大幅に削減できるのはうれしいことです。
アマゾン・ゴー (Amazon Go) が実現したら、ホールフーズがこんな感じになる日も遠くないかもしれません。レジに並ばずゴー。
価格の透明性と競争力で成長してきたアマゾンですが、実店舗内の WiFi で、価格比較をさせないような仕組みのパテントを取得したというこんなニュースもあります。スマートな企業だけに注意が必要です。
利用者としてはサービスや利便性が向上してくれる競争は歓迎ですが、一企業による独占になってしまうと逆効果になることが多いので、従来からのそれぞれのスーパーにも頑張ってもらいたいところです。
ホールフーズがアマゾン傘下になってしまうと、以前紹介した、ホールフーズマーケットと関係の深かった、買物代行サービスのインスタカートなどにも影響があると思います。