アメリカ自然史博物館の正門に飾られている、テディの愛称で知られるセオドア・ルーズベルトの騎馬像が撤去されることが発表されました。セオドア・ルーズベルトは、ニューヨーク出身、20世紀初頭に活躍した第26代アメリカ大統領で、独占企業の抑制や、自然保護、対外的には、パナマ運河の建設、日露戦争講和の仲介役を果たし、ノーベル平和賞を受賞するなど歴史的にも評価の高い大統領です。アメリカ自然史博物館の正面に、1940年以来、飾られていたルーズベルトの騎馬像ですが、よく見てみると、実は、その後ろに、従えるように先住民と黒人の像が隠れており、それを問題視し、以前から撤去を求める声が上がっていましたが、現在の社会情勢の流れを受け、アメリカ自然史博物館は、昨日、セオドア・ルーズベルト像を撤去することを発表しました。
アメリカ自然史博物館は、昨日、セオドア・ルーズベルトの騎馬像の撤去を、博物館の建物等を所有しているニューヨーク市に提案し、受け入れられました。
The Equestrian Statue in front of the Museum has long been controversial for the racial hierarchy it depicts. The Museum has asked that it be moved. More: https://t.co/3hgIWe0fqu pic.twitter.com/m99Bl1EEFT
— American Museum of Natural History (@AMNH) June 21, 2020
こちらは、アメリカ自然史博物館による映像で、騎馬像に関する、様々な視点を紹介しています。
セオドア・ルーズベルトの騎馬像は、2017年10月に落書きされるという事件が起こりましたが、現在、熱い抗議活動が沸き起こっており、全米各地で、歴史的な像が破壊されたり、落書きされたりする残念な事件が起こっていますが、そんな流れを汲んでの判断だと思います。
個人的には、歴史的な事実を隠したり、攻撃したりするよりは、その時代背景を理解した上で評価、保存し、現在、表現したいことは、それとは別に新たに創り出していくことが大切だと思います。現在の像も適切な場所でしっかりと保存、展示されていって欲しいですが、それと同時に、これを機会に今の時代にあったアメリカ自然史博物館にふさわしい新しい象徴的なアートを作り上げて行くというのもいいのかもしれません。アメリカ自然史博物館の正面に、そんな今ならではの新しいアートが登場することを期待したいところです。
アメリカ自然史博物館は、ニューヨークのアッパーウエストサイドにある、巨大な人気自然科学系ミュージアムです。その創設には、セオドア・ルーズベルトのお父さんが関わっており、自然を愛したルーズベルト自身も博物館に大きく関係していて、館内には、ルーズベルトを紹介するギャラリーもあります。映画『ナイトミュージアム』の舞台にもなったミュージアムで、映画にもルーズベルトのキャラクターが出てきていたかもしれません。
セオドア・ルーズベルトは、ニューヨーク出身です。ニューヨークのマンハッタンに、幼少期過ごしていた、ルーズベルト生誕の家があります。ロングアイランドのオイスターベイにも晩年を過ごした家 Sagamore Hill がありますが、両方とも NPS 国立公園管理局の管轄のスポットで、一般公開されていて見学に訪れることができます。
セオドア・ルーズベルトは、史上最年少の42歳で大統領となり、1901年から1909年まで2期に渡り務めました。その評価は高く、サウスカロライナ州のマウントラシュモアには、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファソン、アブラハム・リンカーンと共に、セオドア・ルーズベルトも偉大な大統領として仲間入りしています。
セオドア・ルーズベルトは、幼少期、体が弱かったそうですが、ボクシングやアウトドアなど運動で鍛え、狩猟や探検、旅行を好み、強靭なカウボーイとしてのイメージを残しています。ニューヨークで、母親と奥さんをほぼ同時期に亡くしていて、失意の中、ノースカロライナ州へ引っ越し、カウボーイとして暮らしていた時期もありました。そんなエリアは、現在、セオドアルーズベルト国立公園となっており、ルーズベルトが大統領になる前に使っていた Maltese Cross Cabin という小屋が今ものこされています。
そんな感じで、セオドア・ルーズベルトにまつわるスポットが、ロッキー山脈の東側に広がる大平原、グレートプレーンズにもあり、夏の旅行の定番スポットにもなっています。グレートプレーンズには、ロッキー山脈のロードトリップの途中で訪れましたが、バイソンやプレーリードッグなどにも出会えるおすすめの夏の旅行先です。
