The Armory Show (10)

アーモリーショー ニューヨーク最大のアートイベント!

ニューヨーク最大のアートイベントの一つ、アーモリーショー (Armory Show) が今年もはじまりました。今回初めてプレビューに訪れてみましたが、アート好きの人にはぜひぜひおすすめしたいおもしろいイベントです。さすがアートの街ニューヨークのイベントなだけあり、アート関係者をはじめ、たくさんの人々が訪れとても盛り上がりを見せていました。



ニューヨークでは一年中様々なアートイベントが行われますが、その中でも特に大きなイベントが、20世紀のモダンアート、そして現在進行形のコンテンポラリーアートの作品が数多く展示されるアーモリーショー (Armory Show)です。会場はミッドタウンのハドソン川沿いの Pier 92 と 94 で、世界中からギャラリーや、コレクター、キュレーターなどアート関係者が集まるイベントとなっており、今週末の日曜日まで開催されています。

株式マーケットの好調に支えられてか、セールスもなかなかのようで、こちらの記事ではプレビューの日のセールスの状況が紹介されています。

Pier92、Pier94とその間を結ぶエリアが会場となっており、以前は会場がモダンとコンテンポラリーと明確に区切られていたようですが、今年は新しいコンセプトのもと大幅に配置変えが行われたようで、全体を周ってみましたが、どこもとても見応えのある展示となっていました。

最も多いのがコンテンポラリーを扱う通常のギャラリーですが、その他、著名なものでは、ダリ、マグリット、ミロ、ピカソ、キリコなど20世紀の作品を扱うインサイツ(Insights)、巨大なアートを扱うプラットフォーム (Platform)、“What Is to Be Done?” と題された社会に訴えかけるテーマを持ったフォーカス (Focus)、少数のアーティストに特化した新しいギャラリーのセクション、プレゼンツ (Presents) など、それぞれ異なった明確なコンセプトの下、キュレートされたアートが並んでおり、アーモリーショーは本来トレードショーなのですが、ミュージアムのような雰囲気の中作品を楽しむことができます。詳細はこちらです。

日本のギャラリーもいくつか見かけました。例えば、こちらの草間彌生さんのアートも展示されていました。

アーモリーショーで一際目立って、注目を集めていたのは、何といっても、草間彌生さんの作品、ギャラリー Victoria Milo の “GUIDEPOST TO THE NEW WORLD, 2016” です。 レポーターが中継をしていましたが、こちらのアートは、$1 million 近くの金額で取引されたようです。

こちらの絵もこの日に売れたものなのですが、ギャラリーを見て歩いていると、確かに商談が成立しているシーンに時々出くわします。買い手がついた絵はその場で外されることも多く、あ、売れたんだー、とわかるんです。

また、会場の所々に軽食やシャンパンなどのドリンクを購入することができるお店や、デザインセンスのいいソファや椅子が置かれていて、こちらも楽しめます。

フランスのコンテンポラリー家具ブランド、Roche Bobois のソファなど、アーモリーショーの会場内には、色々なモダン家具ブランドの椅子やソファーが休憩スペースに置いてあり、宣伝も兼ねたおしゃれな会場でした。

南アフリカのギャラリー、SMAC の作品がおしゃれで目を引きました。キラキラした作風が素敵です。

会場の中央にどんと現れたレゴのアート。

ドイツのギャラリー Ludorff など貫禄あるギャラリーがより集まっている、Pier92 の会場。

Aicon Gallery の光の美しい作品も素敵でした。こちらの作品は、11000ドルとのこと。

アーモリーショーに訪れる人たちは、なんだかおしゃれな人が多くて、ファッションショーのようでもありました。

実はよく見ると、小花が敷き詰められたとてもかわいいアートです。ニューヨークらしさを表現しているのか?ネズミもちょろちょろといます。

真っ白な作品を色々なギャラリーで見かけました。中には、遠目には真っ白なキャンパスにしか見えない作品がいくつも並んでいて、近づいていってよく見てみると、文字が浮き出て見えるような作品などもあり、興味深かったです。

とてもナチュラルな色合いと素材のアートでとても印象的な作品でした。北欧フィンランドのギャラリー Galerie Forsblom より。

ところで、このニューヨーク最大のアートイベントは、どうして「アーモリーショー(Armory Show)」という名前なの?と疑問に思う人も多いと思いますが、まだアメリカがヨーロッパに強い憧れを抱いていた時代、アメリカにヨーロッパのモダンアートが伝えられ、大反響となり、カルチャーショックを引き起こしたのが、1913年の初春にニューヨークの 69th Regiment Armory を会場として行われた、元祖アーモリーショーです。アメリカのアート史上大きなイベントとして認識されていて、写実的なアートが中心であった当時のアメリカにとって、現実世界からは想像もつかない形に変化を遂げたヨーロッパの印象派の作品は、とてもショッキングだったようです。ちなみに当時こちらの作品群が出展されていたようです。

ニューヨークで現在開催されているアーモリーショーは、1994年にスタートしたアートショーで、途中、1999年には 69th Regiment Armory で開催されたこともあり、そんな歴史的なイベントにちなんで「アーモリーショー(Armory Show)」に名前が変更されたようです。その後、2001年からハドソン川の西側で開催されています。

14th Street & 8th Ave、タイムズスクエアなどニューヨークの地下鉄の駅や街中でよく見かけるアート。Tom Otterness さんの作品です。

このショーは、犬も一緒にOKです!犬と一緒にアート鑑賞するお客さんも何人か見かけました。
草間彌生さんのアートのすぐお隣で、一際目立って、大盛況になっていたJeffrey Deitchさんのギャラリー。セロファンで飾ったきらきら感のある入り口が他のギャラリーとは違う存在感を放っていました。

メトロポリタン美術館にニューヨークをテーマにした個人的に気に入っている作品がある、フローリン・ステットハイマー (Florine Stettheimer) さんの作品をはじめ、メルヘンチックな雰囲気の作品が多く展示されています。

人が中に入って体験できるような実物のブロック作品もありましたが、ブロックをテーマにした作品がユニークなギャラリーでした。

シャンパン片手にアート鑑賞するお客さんもいましたが、会場のところどころにカフェやシャンパンバーなどがあります。

このアーモリーショーのアートイベントには、世界中のギャラリーが出店していて、とてもインターナショナルなイベントになっています。

プレゼンツの会場。

少しかしこまった感のある Pier92 の会場と賑やかな Pier94 の会場は、この階段でつながっていて、雰囲気はガラッと変わります。Pier92 の会場にもコンテンポラリーアートのギャラリーが存在しますが、雰囲気としては、Pier94 の会場の方がより親しみやすいカジュアルな雰囲気になっていて、人も多かったです。

燃えるような個性的な作品など、ユニークな作品がいっぱいあります。

ブルックリンミュージアムのディナーパーティー(The Dinner Party) の作品のような雰囲気の展示も。ニューヨークの様々なミュージアムを一通り見て周ったことがある人なら、このアーモリーショーの作品には知っているアーティストさんやそんなアーティストに影響を受けた作品を見ることができてより楽しめると思います。

かわいい子猫ちゃん。

ミステリアスな一枚のアート。みんな思わず立ち止まります。もはや自分自身がアートとしてセルフブランディングされているパフォーマンスアーティスト Marina Abramović さん。

アーモリーショーは応相談ということで、金額は表示されていませんが、100万円、1000万円単位の作品がずらりと並ぶ驚きのマーケットです。そんな中、意外と多くの人の心をとらえていたのが、こちらのアイデア賞のギャラリー、Axel Vervoordt Gallery です。1ドルでアートを、という感じでまるでアジアの出店のような雰囲気を作ったユニークなギャラリーで行列ができていました。

綺麗なブルー色のアート。ありそうでなかった、ちょっとした一工夫がアートになっている作品が多く見られました。

ブルックリンミュージアムでも人気のアーティストさんの作品が並ぶギャラリー。

黒人さんアート系もユニークな作品が多く大盛況でした。

インスタ映えするアートも多いです。

キラキラ輝くゴージャスなベビーカー。ロンドンの Pi ARtworksより。

Pace Gallery は大物の展示です。巨大な四角いコンクリートのオブジェが、ゆっくりとくるくる回ります。閉じられていたカーテンが開いたかと思うと、ショーのように、作品が動き始めました。

ニューヨークのギャラリー、Peter Blum Gallery。

休憩スペースには、おしゃれなレトロなゲームなども置いてあります。アーモリーショーの会場も素敵ですが、そこに来る人たちもおしゃれで見ていて楽しいです。

世界から様々な作品、アイデアが集まってくるだけに、普段見かけることのないアートの世界を見せてくれるイベントで、アート作品を探している人はもちろん、そうでない人もミュージアム巡りのような感じで楽しむことができます。

アーモリーショーに参加している作品は、こちらで詳しく紹介されています。

2018年アーモリーショー開催日
3/8(木) 12–8pm
3/9(金) 12–8pm
3/10(土) 12–8pm
3/11(日) 12–6pm

アーモリーショー Armory Show
Piers 92 & 94
711 12th Ave, New York, NY 10019 MAP

アーモリーショー ニューヨーク最大のアートイベント! was last modified: 3月 21st, 2018 by mikissh