ニューヨークの最新スポット、モイニハントレインホール (Moynihan Train Hall) は、ニューヨークで最も大きなターミナル駅、ペンステーションが拡張され、今年1月1日に誕生したばかりの場所です。アムトラック (Amtrak) と、ロングアイランド鉄道 (LIRR) の電車が発着する新ターミナル的存在のスペースで、これまでのペンステーションの雰囲気とは一転し、まるで空港のような開放感ある雰囲気になっています。今後は、人気のお店屋さんやフードホールが登場し、活気あるニューヨークの人気スポットとなりそうな予感がします。そんなトレインホール内には、天井に高層ビルのさかさまアートや、ステンドグラスの美しい天井画が登場していたりと、個性的な面白いパブリックアート作品が色々飾られていて楽しい空間になっていて、モイニハントレインホールの見どころとなっています。
モイニハントレインホール (Moynihan Train Hall) は、ペンステーションが西側に拡張されて、今年、2021年1月1日にオープンしたばかりのニューヨークの最新スポットです。薄暗く、複雑な地下にあるこれまでのペンステーションとは全く雰囲気が違う、明るい広々とした空間が印象的です。今後は、アムトラック (Amtrak) と、ロングアイランド鉄道 (LIRR) のターミナルだけではなく、フードホールやリテールスペース、オフィスも登場し、ますます活気が出て来ると思います。そんなモイニハントレインホールでは、実は、パブリックアートが見どころの一つとなっています。
現在は、その姿は全く残されていませんが、1910年に完成した、かつてのペンステーションは、当時の著名建築ファーム、McKim, Mead & White がデザインした、ボザール様式の豪華な駅でした。モイニハントレインホールが誕生した、ペンステーションの西側の巨大な建物、James A. Farley postal building も McKim, Mead & White がデザインし、1912年に完成した建物です。今回誕生した、モイニハントレインホールは、ワンワールドトレードセンターなども手掛けた著名建築ファーム、SOM (Skidmore, Owings & Merrill) により、かつてのペンステーションを模して内部のデザインがされ、明るく、美しい空間が広がっています。
トレインホール内で、一際目立つのが、中央に飾られている、アールデコ調の時計です。高さ 3.7 m (12 feet)、幅1.8 m (6 feet) の巨大な4面時計で、ニューヨークの建築家、Peter Pennoyer さんを中心とする建築ファームにより制作されたものです。
トレインホールの東側には、ロングアイランド鉄道 (Long Island Rail Road) の待合スペースがあり、かつての豪華なペンステーションの歴史的な瞬間を、セラミックインクによりガラス版に再現したという、カナダのバンクーバーで活動するアーティスト、Stan Douglas さんのいくつものパネルからなる作品、Penn Station’s Half Century が飾られています。Stan Douglas さんは、歴史的な瞬間を物やキャストを配置したりして再現し、写真や映像などに仕上げる作品で知られるアーティストさんです。映画やドラマのような制作風景となります。
モイニハントレインホールの作品では、1910年から1963年まで存在したボザール様式の美しいペンステーションの歴史上の印象的なシーンの数々が表現されています。1914年、スノーストームで、ペンステーションで足止めされたパフォーマーたちが、即興で、演じたシーンなど様々なエピソードが選ばれています。
今までのペンステーションからは想像できない快適な待合スペースです。
旅客機の黎明期、第二次世界大戦中など時代に応じて変化を遂げた待合スペースの様子を捉えたシーンも飾られています。
駅というと、人と人との出会いや再開の場であり、さらに別れの場でもあります。ペンステーションのそんなお別れや再開の感動シーンも描かれています。
モイニハントレインホールには、入口がいくつもあります。建物の正面の 8アヴェニュー沿いの2ヵ所の入口の他、31ストリートと 33ストリートの 8アヴェニューと 9アヴェニューの間にも入口があり、入ってすぐの天井部分にアートが飾られています。
建物の南側、31ストリートの入口に飾られているのが、The Hive と題された、高層ビルアートです。天井から逆さまにぶら下がった街の模型で、目を引く素敵なアート作品です。北欧で活動する2人組のアーティスト、Elmgreen & Dragset の作品で、ニューヨーク、シカゴ、香港、クアラルンプール、ロンドン、パリなど世界中の主要都市の高層ビルがミックスされています。
The Hive の逆さま高層ビルアートは、なかなか面白い作品で、天井を見上げて写真撮影に夢中になっている人も結構みかけました。
建物の北側、33ストリートの入口に飾られているのが、ステンドグラスの天井画です。中央には大きな作品、その両脇に丸い2作品が飾られていて、現代風な教会の天井画のような面白いアートになっています。
モイニハントレインホールのステンドグラスの天井画は、ブルックリンで活動するアーティスト、Kehinde Wiley による Go と題された作品です。
Kehinde Wiley さんは、古典西洋美術風の作品に、アフリカ系アメリカ人が登場するモチーフのアートで知られていますが、モイニハントレインホールのステンドグラスの作品にも、青い空に雲という典型的な天井画に、黒人さんが描かれています。
天に舞う人と鳥の姿はまるで教会の天井画にありそうな光景です。
天井画によく見られる天使が舞っている姿が、女性たちの躍動感溢れるブレークダンスで表現されています。
Kehinde Wiley さんの作品は、ブルックリン美術館の特別展などによく登場しています。ブルックリン美術館で、面白い天井画も以前見たことがあります。
モイニハントレインホールのアート作品の詳細な紹介は、こちら でご覧いただけます。
34ストリートのエントランスからは、ボザール様式のモイニハントレインホールの建物と一緒に、美しいエンパイアステートビルの景色も見ることができます。
新ホワイトハウスが誕生し、ニューヨーク州知事クオモさんのペンステーションをはじめとした NYCの交通ハブの拡張リノベーション計画 (PDF) もこれからより進展していくのではないかと思います。ペンステーションに関しては、電車のトラック数を増やし、現在のペンステーションの南側に新ターミナルを建設する計画があります。ハイラインが延長される可能性があります。また、ペンステーションの他、ポートオーソリティバスターミナルも大規模なリノベーション計画が出て来ています。
ペンステーションが拡張され登場した最新スポット、モイニハントレインホールについては、こちらで詳しく紹介しています。