今年の夏は、パリのベイカリーが一斉に夏のバケーションをとっていて、パン不足が起こるかもという記事が出ていました。パリのベイカリーにとって、なんと200年ぶりの自由な夏のバケーションだそうです。
フランスというと、長期の夏休みをとるのが当たり前のカルチャーな気がしますが、さすがパンの国、フランス人にとってパンは大切なんですね。フランス革命以来、国民にパンの供給が滞ることのないようにと、ベーカリーの休業日に関する規制があり、自由に夏休みを取ることができなかったそうなのです。そしてその規制が、昨年末、とうとう撤廃され、自由化されたので、今年は、200年ぶりに、ベーカリーが自由に夏休みを取ることができる夏となったようです。
フランスのベイカリーの夏休み規制のルールは、実は、18世紀後半にまで遡ることができる、歴史ある法律なのです。昨年までは、パリのベーカリーの半数は7月に、残りの半分は8月にという具合に調整され、自由にバケーションを設定することができなかったそうです。例年、それを破ってしまい、罰金を科されるベーカリーも20から30軒ほど出ていたそうです。
フランスの現政府は、”choc de simplification”、国の体制が長く続けば、続くほど制度、法律、慣習はどんどん複雑になり、官僚化していきますが、それをよりシンプルにし、経済を活性化しようという政策の一環で、このベイカリーの休業ルールも見直され自由化されることになったようです。
夏のバケーションカルチャーが浸透しているフランスで、客層のほとんどがローカルのお店は、実際のところ、8月は、お客さんのほとんどはバケーション中で、そんな時期にお店を開けていてもお客さんは少なかったはず。それにも関わらず、ベイカリーはオープンしていることを要求されていたようなのですが、法律も改正され、完全に自由に夏の休暇を設定できるようになったので、多くのベイカリーが8月に一斉にバケーションに入っているのではないかと思います。休みに入った多くのベイカリーに反し、8月もオープンすると決めた美味しいベーカリーには人が押し寄せ、売り切れ続出で困っているようです。
旅行者がたくさん訪れるベーカリーやスーパーはしっかりとオープンしているようなので、そんなに心配はいらないようですが、特別の目当てのベイカリーへ行く場合、今年の夏の旅行で訪れたら休暇中ということもあるかもしれません。