いよいよ長距離ドライブの末、テキサス州、メキシコとの境にある国立公園、ビッグベンド国立公園 (Big Bend National Park) に到着。といっても、実はゲートに到着してから、公園の中心、ロッジやお店など見所があり観光の拠点となるChisos Mountainsまでさらに一時間程車で走ります。今までいくつもアメリカの国立公園を訪れていますが、こんなにもアクセスの不便な公園は初めてかもしれません。でもだからこそ、人の手の加わっていない昔から変わらない自然を体験してみたかったのです。ビッグベンドナショナルパークは、辺境の地にあり、最も訪れる人の少ない国立公園の一つですが、その広さはロードアイランド州、アメリカの小さい州をも超えるそうです。来てみた感想はもちろん、期待以上でした。大自然の中の雄大な山が見せる景色の美しさ、山を越え崖を越えた先にある大自然の中の天然温泉、美しくなだらかな山に囲まれた太陽がみせる夕日と朝日の芸術的な景観、そして真っ暗な夜空を流れるように走る星の大群、たった一泊の滞在だったにも関わらず、こんなにも色々なことを楽しむことができ感動的な公園でした。
このあたりにはおもしろい植物が生息しています。途中、こんな大きなツクシのような植物がたくさん生えています。
国立公園に到着してまず最初にすることは、インフォメーションセンターへ行ってレンジャーさんから情報をもらうことです。ところがこの国立公園にはインフォメーションセンターが数軒しかなく、入り口すぐのところにあるインフォメーションセンターの閉館時間には間に合いませんでした。まずは、一番遅い時間まで開いているPanther Junctionのインフォメーションセンターを目指して走ります。車で30分かかるのですが、途中、山の景色が綺麗で写真を撮りたくて止まりながら進むのでなかなか進みません。それでもなんとか間に合いました。あまり公園内のことについては調べていなかったので、地元育ちっぽいレンジャーさんの助言はとても助かりました。初めて訪れてたった一泊しかしない私たちには伝えたいことを全然伝えきれなかったかもしれませんが、とりあえず基本コースを回るということで、2日間の大体の予定を立てることができました。その後は、この国立公園の中心地、宿のあるChisos Mountainsエリアへ向かってまっしぐらに走って行きます。この大きな山が、Chisos Mountains、そしてそのふもとに宿泊施設があります。
Chisos Mountainsのふもと、The Window Overlookから夕日を見ます。どんどんピンク色になり幻想的な景色でした。
とってもかわいいバンビにも会いましたよ。残念ながら写真におさめることはできなかったのですが、コヨーテも見ました。
日の入りのおすすめスポットはいくつか紹介されました。The Windowと、Dogout Well, Santa Elena Canyonです。Dogout Wellは池に太陽が映りこんで太陽が二つに見えるそんなおもしろい景色が見られ、レンジャーさんの個人的な一番のお勧めでしたが、時間の都合でパス。翌日通りかかったところ道が未舗装道路で人がなかなか行かなそうな雰囲気でした。何回も来てる人向けかもしれません。Santa Elena Canyonは翌日ゆっくり訪れたい場所だったので見送り、The Windowで夕日を見ることに決めました。
The Windowは夕日も綺麗でしたが、実は、天体観測でも有名な場所なんです。人が少なくて、周りに邪魔になる光も少ないので闇が深く、ハワイ、アラスカを除いたそれ以外のアメリカでは最も天体観測(star gazing)におすすめのスポットの一つだそうです。でも本当に納得です、夜空を見上げて驚いてしまいました。こんなにたくさん星って見えるものなの?今まで思い出に残る星空と言えば、ハワイ島や南アフリカのKalahari Gemsbok National Parkというサファリへ行った時にも驚くほど綺麗な星空を見ることができましたが、この日の夜は何と言っても流れ星が多かったこと。本当にぴゅーん、ぴゅーん、って星が流れていくのがはっきりと肉眼で見えるのです。なんてすごいところなんだろう、と驚いていたら、実はこの日は、ちょうどふたご座流星群の見える日、一年の中でも、最も流れ星が見える特別な日だったようです。すごい天体望遠鏡を持ってきている人も多く、そうではない人も星を楽しみに寒いけれども夜空を見に来ていました。これは全く計画していなかったことなので本当にうれしいサプライズです。
こんな感じの星空の中、さらにいくつも流星が流れていきます。
翌朝、レンジャーさんのおすすめは、Lost Mine Peakという山登りでした。そこから見る日の出がとっても美しいのだそうです。でも、よくよく見てみると、往復3時間コース?!最後まで登らなくても大丈夫とは言われたけれど、朝7時の日の出を見るために早朝山登り。しかも野生動物の活動時間に山へ入っていくのは勇気がいります。ブラックベアが生息するこの国立公園、熊さんに出会ってしまったらどうする?朝、車でLost Mine Peakの前を通りかかったら車が1台だけ止まっていました。1組だけ頑張って朝日登山を実行した人がいたようです。
日が昇ってくると、空がピンクとパープルのグラデーションに。
わぁ、綺麗。とても幻想的な世界が広がっています。夕方と早朝が一番美しい景色が見られます。
この日は朝から温泉に入りにやって来ました。朝一番のハイキングコースはHot Spring Trail!
Hot Spring Trailの入り口まで車で来れるのですが、最後の方には細いがけっぷちの道もあります。大きい車で来るのはやめた方がいいです。最後の5、10分程は、未舗装の道ですが安定した道なので普通の車でも大丈夫でした。レンジャーさんによると夕日を見た後、暗くなってからでも全然平気と言っていましたが、慣れていない人は日が昇っている時間にしておいた方がよさそうです。トレイルの入り口に車を止めていざ、出発!
途中、20世紀初頭に温泉リゾートとして建てられたという歴史的な建物の跡が残っているのが見られます。
こちらのトレイルを歩いていくこと、10分くらいで、
温泉に到着です!リオグランデのわきで湧き出る天然温泉です。 Boquillas Hot Springsとも呼ばれ、国の史跡にも登録されているそうです。
溢れんばかりに湧き出す温泉。結構高めの温度で真っ赤になります。やってくる人も少なく、たまに重なりますが、交替で貸し切り状態でのんびりできました。
茂みの向こうには馬が見えます。Hot Spring Trailはこの温泉がゴールではなく、実はまだ先も続いているのですが、温泉に入ったので満足し戻ります。
トレイルの帰り道、行く時にはなかった珍しいものが並んでいます。このリオグランデの川の向こうはメキシコ。もしかして、メキシコからこっそり進入してきてここで商売してるのかな?無人店舗で、お金は缶に入れておいてね方式です。器用に作ってるけど、サソリのアートとか無理。ちなみに、昔はよくこの川を越えて、メキシコから勧誘や物売りがやってきて、アメリカ側からメキシコ側へ渡ったりとかもしていたようですが、今はとても厳しく禁止されています。
なんだか朝からホクホクに体が温まり、今日も一日、国立公園を楽しむ元気が沸いてきました。温泉は一番東側のエリアにあるので、これから一番西側のエリア、Santa Elena Canyonを目指して走ります。あ、でもその前に、Chisos Mountainsへ一旦戻って、宿のチェックアウト、ランチをしてきます。この国立公園唯一のレストランはやっぱり噂どおりでした。中では、サラダとスープのバイキングだったらまずまず悪くないかな、っという感じです。
Chisos Basinから1時間半ほど走り、Santa Elena Canyon Overlookへやってきました。壮大な景色です。ここでオーストラリアからやってきた一人旅の女性に会いました。オーストラリアからアメリカってものすごく遠いんです。すごく自然が好きなんですね。でも確かにアメリカの国立公園の大自然ってヨーロッパの人にも人気がありますが、写真では全然伝わらない本当にスケールが大きいところで、来てみないと本当の魅力はわかってもらえないかもしれないような場所です。
サンタエレナ・キャニオンの目の前まで来ました。これからSanta Elena Canyon Trailを歩きます。下から見ると何だかすごいところに人がいるように見えて、どうやってあんなところ登るの??って思ってしまいましたが、登り始めると意外と簡単なことがわかります。とても親切丁寧に道が作られているんです。下から見た時は何もない崖を登っているように見えましたが、歩く道のりはできていてそこを登っていくだけです。ただ、柵が一切ありません。結構高いところまで登っていって、その後は、徐々に下の方に、川辺へと続く道になります。
これが、Santa Elena Canyonです。1時間くらいの簡単なトレッキングコースですが、綺麗な澄み切った空気の中、切り立つ崖の間をリオグランデが流れる絶景を見ながら歩くことができ、本当に気持ちがいいところでした。
一日半の滞在でもかなり楽しむことができましたが、もう少し暖かい時期だとキャンプや、色々なトレッキングをしたり、リオグランデを船で下ったりといろんなアクティビティが楽しめそうです。
なんとここまでで、前日の朝のエルパソから大体400マイル程ドライブしてきました。そして、これから再び長距離ドライブ、気合いを入れてサンアントニオに向けて出発です!
もう少し詳しくビッグベンド国立公園を見てみたい方はこちらをどうぞ。