現在、ブルックリンのネイビーヤードというエリアでは、急速に開発が進んでいます。そこは、かつて、アメリカ海軍の造船施設の一大拠点だった歴史的な場所です。そんな歴史を伝えるネイビーヤードのミュージアム BLDG92 へ行ってきました。
ブルックリン ネイビーヤードといっても日本の人には全然馴染みがないように感じるかもしれませんが、実は、日本人もよく知っている、教科書に出てくる有名な人がいた場所なのです。江戸時代、日本の開国のきっかけとなった重要人物といったら、黒船のペリー提督 (Matthew C. Perry)。そう、実はここは、あのペリー提督が施設長をしていたことのあるアメリカ海軍の造船施設でした。それだけでなく、第2次世界大戦時に、パールハーバーで日本の攻撃により沈められたアメリカの戦艦「アリゾナ」、そして、太平洋戦争の降伏調印式が行われた戦艦「ミズーリ」など、歴史上名の残る多くの戦艦が造られた場所なのです。ブルックリン ネイビーヤードの BLDG92 のミュージアムでは、そんな歴史を知ることができます。
ブルックリン ネイビーヤードというエリアは、近年、小規模な製造業やスタートアップが集まるホットなエリアとなっています。オフィススペースや新たなフードホールなどの複合施設などの開発が進められていて、急速に発展していっています。そんなブルックリン ネイビーヤードですが、その歴史は古く、このエリアは1801年に連邦政府により購入され、United States Navy Yard として1806年から1966年までの間、アメリカの海軍の造船所としての機能を担っていました。そんな歴史を紹介するミュージアムとしてオープンしたのが、ブルックリンネイビーヤードセンターの BLDG92 です。
ブルックリンネイビーヤードのミュージアムは、2011年にオープンしたミュージアムです。このブルックリンネイビーヤードがあるエリア、ビネガーヒルが “Wallabout Bay” と呼ばれていた時代から現在までの変遷が紹介されています。
ブルックリンの昔の様子が描かれた絵。
アメリカの歴史上、重要な戦艦が数多く造られた場所から、
ブルックリンベースの小規模な製造業が入居する施設という現在の姿までの展示です。
ブルックリンネイビーヤードを詳しく紹介してくれるツアーも開催されていて、意外と多くの人が参加していました。
ミュージアムには、古くからの様々な戦艦の模型が展示されています。
ニューヨークは世界で初めて乗客を乗せて蒸気船が走った場所です。フルトンストリートの名前にもなっている Robert Fulton さんが、ハドソン川沿いのニューヨークとアルバニーを蒸気船で結びました。そして、John Stevens さんが、ニューヨークとホーボーケンを蒸気フェリーで結びました。
江戸時代、日本に開国を迫ったペリー提督 (Matthew C. Perry) は、海軍船の蒸気化を図った人で、1840年に Commodore の称号を与えられ、ニューヨークネイビーヤード、現在のブルックリンネイビーヤードで最も偉い、施設長を担っていた時期もありました。中には入れませんが、今でも存在する Commandant’s House に住んでいたそうです。
日本の教科書で見たことがあるベリー提督の絵。これ実はメトロポリタン美術館の所有の絵だったんですね。
1853年、1854年に、USS Missippi をはじめ何艘もの蒸気船を従えて日本へやって来たペリーの黒船は、鎖国の続いていた日本にはとても大きな衝撃を与えたようで、そんな記録がされた書物が今でもスミソニアンに保存されています。
ドックの様子。
当時の船のミニチュアコレクションがミュージアムに展示されています。
19世紀後半に造られた戦艦で、1898年にキューバ湾での爆発により沈没した USS Maine です。
第2次世界大戦中は、7万人もの人々がこのブルックリンネイビーヤードで働いていたそうです。
USS Brooklyn の造船時の様子。
こちらは、ブルックリンネイビーヤードで造られ、パールハーバーの攻撃により沈没した 戦艦アリゾナ (THE USS ARIZONA) が、ニューヨークから出航する時の様子です。現在は、ハワイのパールハーバーで、アリゾナ記念館としてメモリアルとなっています。
こちらもブルックリンネイビーヤードで造られた USS Missouri。日本の第2次世界大戦における降伏文書への調印が行われた戦艦です。パールハーバーにあり、内部を見学することができます。
ハワイ・オアフ島のパールハーバーで見学してきました。
建物の入口部分には、1960年代に造られ、2006年に引退した USS Austin の巨大な錨が置かれています。
ミュージアムのある建物内には、休憩スペースなどもあり、
ブルックリンのコーヒー屋さん、ブルックリンロースティングカンパニー (Brooklyn Roasting Company) も入っています。カフェの中はなかなかいい雰囲気の空間です。
ブルックリンネイビーヤードへの行き方は、ニューヨークの新しいフェリーサービス NYC ferry がおすすめです。Williamsburg South または、Dumbo から歩いて行くことができます。フェリーはかなりの人気となっているようなので、週末などは、マンハッタンの始発のフェリーターミナルから利用し、ブルックリンからの帰りは地下鉄やバスを利用する方がいいようです。ブルックリン側のフェリー乗り場は行列になっているようです。
ビネガーヒルエリア周辺を散歩してみると、グラフィティなどちょっとした壁画やアートが色々な所で目につきます。
鳥の巣のアートがさりげなく。
来年、2018年には、アメリカのベストスーパーに選ばれたウェグマンズ (Wegmans) がこのあたりにオープンする予定になっています。ウェグマンズは、昨年に続き、こちらのレポートによると2017年も、あのトレーダーズジョーを押さえ、ベストスーパーに選ばれているようです。
かわいいシュガーの広告アート。
華やかな店構えのお店もちょこちょこあります。これからもっと色々おもしろいお店が集まってきたら、にぎやかな街になるのかもしれません。楽しみです。
BLDG 92
63 Flushing Ave, Brooklyn, NY 11205 MAP