ここ数年、急激に人気となり、開発が進んでいるのがブルックリンです。以前は、あまり立ち寄る場所も多くなかったブルックリンのダウンタウンのエリアも、今ではすっかり活気づいています。
先日、ブルックリンダウンタウンに近いブルックリンハイツにある、ブルックリンの歴史を伝えるミュージアム、ブルックリン・ヒストリカル・ソサエティ (Brooklyn Historical Society) を訪れてみました。これがなかなかさすがブルックリンと思わせるローカル・マニアな内容の博物館ですが、中でも特に感動させてくれたのが昔のレトロな雰囲気を残したライブラリーと、他ではあまり見かけないクールなデザインの商品が並んでいる、ギフトショップです。ブルックリン・ヒストリカル・ソサエティでは、博物館内のディスプレイなども含め、所々にブルックリンのクリエイター達の息吹を感じることができます。
ブルックリン・ヒストリカル・ソサエティは、1863年に設立された長い歴史を誇る博物館です。Brooklyn Borough Hall の駅からブルックリンハイツ方面に少し歩いた所にある赤煉瓦が印象的な Beaux-Arts 様式の貫録ある建物にあります。この建物は、ニューヨーク証券取引所をデザインしたことでも知られる当時の有名建築家、George B. Post さんによるデザインで、1881年に完成しました。現在では National Historic Landmark にも指定されている歴史的にも貴重なものとなっています。
入り口を入ってすぐの1階のフロアのレトロな雰囲気も素敵です。
建物の上階から下を眺めると。木がふんだんに使われていて、マンハッタンではあまり見かけないインテリアです。
ロビーから2階へと続く、歴史ある階段。
建物の天井は美しいガラス。日の光がたくさん差し込み、階段中央から思わず見上げてしまいます。
昔から大切に保存されてきた建物には、ところどころにチャームがあります。
柱もこんな模様が入っていて素敵です。
1階のフロアはブルックリンの歴史を、時代ごとに解説するモダンなディスプレイの展示です。
現在、ブルックリンはニューヨーク市の一部の街ですが、実は遠く遡ると、独立した都市でした。長い歴史を誇り、ニューヨーク、マンハッタンの発展と共に成長してきました。19世紀後半、ブルックリンは、ニューヨーク、フィラデルフィアに次いで、アメリカで3番目に大きな都市となっていました。1883年にブルックリンブリッジは完成し、さらに関係の深まった両都市は、1898年に合併することとなったそうです。
マンハッタン同様、様々な経済活動の浮き沈みを経験しながら、いかにブルックリンが変貌してきたか。
ブルックリンは奴隷解放運動も活発だったようで、現在行われているBrooklyn Abolitionists/In Pursuit of Freedomという特別展では、そんな活動で活躍した人々が紹介されています。
解説のしおりがこんなおしゃれな感じでおいてあります。
リンカーンがサインした奴隷解放宣言(The Emancipation Proclamation)のレプリカも展示されています。
2階のフロアー廊下では、ブルックリンの過去のインフラ事業への取り組みが特集されていました。
そして、今回、一番お目当てだったのは実はこのライブラリーです。8月中は閉鎖されていましたが、9月になり再オープンしました。
ブルックリン・ヒストリカル・ソサエティの図書館は、水曜日から土曜日まで午後1時から5時までのみ開館しています。
こんなに素敵な雰囲気の図書館だけど、利用者は少しだけ。というのも、完全に博物館の中の一部なので入場料が必要なのです。年間会員にでもならないとなかなか気軽に図書館を利用できません。とはいえ、この日は、小学生らしき子供たち数人がライブラリー内で優雅に読書したり、遊んだりしていました。司書さんが常駐しているので、ベビーシッター代わりというか、見張っていてくれているので安心なのかもしれませんね。
なんだか、この図書館自体が歴史的な博物館のよう。ランプがいい味だしていて、こんなに素敵な雰囲気があるところはめずらしいです。
現代のブルックリンの人々の様子の写真展。各自映像を見ることもできます。
昔のブルックリンを描いた絵がとても興味深いです。
歴史を伝えるのに一番最良の方法は写真なんだ、ということを改めて実感させてくれます。昔の写真、これが意外とかっこよくて見入ってしまいます。
以前、クライスラービルの建設が命綱なしのすごいものだった、ということをこちらで紹介しましたが、まさにそんな時代の写真です。
トイレ案内のロゴまでおしゃれにしてしまう、ブルックリン。
ところで、このブルックリン・ヒストリカル・ソサエティ、先ほどのライブラリーの司書さんたちといい、受付・ギフトショップを担当する人といい、若いスタッフが中心になって働いているのが印象的でした。普通イメージする歴史的なミュージアムや、大手のミュージアムと印象が違うのはそのためかもしれません。そんな若いスタッフたちのアイディアなのか、このミュージアムのギフトショップはなかなかのセレクションです。
ここのギフトショップは、ブルックリンのクリエイティブな力が発揮されている場所となっています。こちらの入場料なしで自由に見て周れるので、クールなギフトやおみやげ探しをしている人は立ち寄ってみてもいいかもしれません。
ポストカードなどもかなりおしゃれで、ギフトショップを訪れた人は購入していく人も多い感じでした。
ブルックリン関連の本のコレクションもすごい数あります。ブルックリンはライターさんが多いのかもしれません。ブルックリンの Gowanus とか、なかなかマニアなエリアに絞った本から、綺麗な写真集など本当にいろいろあります。
建築、歴史好きの人、個性的なブルックリンらしいおみやげを探している人に特におすすめのミュージアムです。
日本の公民館的な役割も果たしていて、ブルックリンらしく地域コミュニティーに根差した活動を行っています。今月9月から毎月一度、金曜日の夕方5時から9時まで、無料で開放し、特別なイベントも行うという Free Fridays が開催されます。
Brooklyn Historical Society
128 Pierrepont St, Brooklyn, NY 11201 MAP
ダンボにあるエンパイアストアーズの中にも、分館があります。