ニューヨークのヒップスターたちが集まるホットな街として今注目を集めているのは、ブルックリンのブッシュウィック (Bushwick)。地下鉄のLライン、ジェファーソン・ストリート (Jefferson St) 駅で降りると街の中心にでます。一番印象的なのは、ブッシュウィックコレクティブという芸術的なグラフィテイの街並みです。目を見張るようなすごい壁画のアート作品がいっぱいで、街を歩いているだけで楽しめてしまいます。また、そんなクリエイティブな街ならではの、ブッシュウィックフリー (Bushwick Flea) というフリーマーケットもあるんですよ。
ブルックリンのフリーマーケットというと、ウィリアムズバーグなどで行われているような活気のあるものを想像する人が多いかもしれませんが、このブッシュウィックのフリーマーケットは、実はまだまだこれからという感じ。最近、話題になりつつあるブッシュウィックではありますが、このスモールスケールのフリーマーケットはちょっとびっくりするかも。頑張って街を活気づけようとしている段階だと思います。
このかわいい女の子の壁アート、よくできているんですよ。毛糸編で、近くで見るとよくわかるのですが、とても丁寧に編まれています。このブッシュウィックフリーの象徴にしようと作ったかわいいアートなのですが、実はこれ、問題の渦中にあるアートなんです。というのも、このアート、なんと、無断で人の家の背面の壁に作っちゃったんです。現在そのおうちの人と抗争中。アートを作った側の言い分としては、簡単に取り外せるアートだから心配は無用ということ。許可を取らずに貼り付けておいて何なのですが(笑)
かわいいからいいのでは?その家の人も許してくれるよ、なんて、思ってしまったりするのですが、この問題、本当は、別のところにあるようなのです。表面的にはただのアート問題、勝手に壁を使用したことを怒っているだけのように見えますが、実は根深いものがあるようです。
このブッシュウィックのエリアが盛り上がってきたのもここ数年のこと。新しい人たちがどんどん入ってきて、ジェントリフィケーションが進むのは、地域も発展するし、治安もよくなるし、不動産価値も上がり、いいことだと思う人が多い反面、レントや物価が高騰することにもなるので、もともとの住民たちの中には、そんな勝手な急激な変化を歓迎していない人たちも多いわけです。ブッシュウィックにおしゃれなカフェなどを開く人も増えてきて、おしゃれスポット好きたちが集まってきています。でも、もともとの住人たちはそんなカフェには行きません。昔から慣れ親しんだお店にしかいかないのです。そして、新しく入ってきた人たちは逆におしゃれスポットにしかいきません。
もともとの住人たちが新しくきた人たち、またその人たちの作り出す新しい文化を心から歓迎しているとはいえないのかもしれません。
結局このアートを引き金に色々な問題がエスカレートしてきたため、このアートは撤去されることとなったようです。みんなを笑顔にしようと思って作った自分の作品が問題の渦中にあり、アーティストさんとても悲しそうでした。
これからどんどん変化していく余地が感じられるブッシュウィック。遊びに来るならば、週末の午後が一番活気があります。