バルセロナには、20世紀初頭前後に建てられた、豪華なカタルーニュ近代建築 (Catalan modernism) の邸宅が数多く残されています。そんな素晴らしいデザインの邸宅の一つが、グラシア通り沿い、ガウディの有名なカサ・バトリョの家のお隣にある、カサ・アマトリェール (Casa Amatller) です。カサ・アマトリェールは、日本では、アマリエとして知られる、ミュシャのイラストで有名なスペインの老舗チョコレート屋さん、アマトリェールの3代目オーナーの邸宅だった建物です。世界遺産となっているサグラダファミリアやグエル公園などで知られる、ガウディと、サンパウ病院やカタルーニャ音楽堂などで知られる、リュイス・ドメネク・イ・ムンタネーらと同時代に活躍した著名建築家、ジュゼップ・プッチ・イ・カダファルク (Josep Puig i Cadafalch) がデザインした上品で落ち着いた雰囲気の美しい邸宅で、ガイドツアーで見学することができます。入り口で上を見上げてみると、とても壮麗な美しいステンドグラスの天井が圧巻で期待が高まります。バルセロナの観光パスを使ってお得に行くことができます。

カサ・アマトリェール Casa Amatller

カサ・アマトリェール (Casa Amatller) は、20世紀初頭前後に、バルセロナの誇る著名建築家たちによりデザインされた個性豊かな邸宅が立ち並ぶ、「不協和音の一角」(Illa de la Discòrdia) とも呼ばれる、グラシア通り沿いの一際目立つ区画にあります。カサ・アマトリェールのすぐお隣は、いつも大行列が出来ている、ガウディの有名建築、カサ・バトリョ (Casa Batllo) があるので、合わせて訪れて見るのがおすすめです。
カサ・アマトリェールは、カサ・バトリョと比べると、あまり知られていないため、穴場観光地なのですが、カサバトリョ同様、とても美しい素晴らしい邸宅です。

カサ・アマトリェールツアー

カサ・アマトリェールの内部見学はツアーになります。タブレットを使用するガイドツアーなので、ゆったりと見学することができます。説明は音声ですが、スタッフが少人数のグループを先導して内部を見学していく 45分間程のツアーとなり、30分または1時間おきに開催されています。
カサ・アマトリェールのツアーは、そこまで混み合わないので、当日、現地でのチケット購入でも大丈夫だと思いますが、予定が事前に決まっている場合は、時間指定チケットを事前購入しておいてもいいと思います。カサ・アマトリェールの入場料・ツアー料金は17ユーロです。バルセロナの観光パスを使うとお得にツアーに参加することができます。

1階 (Ground Floor) の受付で、チケットを入手し、スタート時間に集合します。いよいよ階段を上り、2階 (First Floor) の入口へと向かいます。

お屋敷の中に入ると、イスラム建築に影響を受け、スペインのムデハル様式のデザインが取り入れられている、美しい空間が広がっています。タイル、ステンドグラス、照明、インテリアなど全てのものに細やかな工芸技術が感じられ、カタルーニャ建築らしい独特の美しい空間を楽しめます。

ツアーの最初にまず向かうのが、映像ルームです。カサ・アマトリェール、そしてオーナーだったアマトリェール家や、建築家のジュゼップ・プッチ・イ・カダファルク (Josep Puig i Cadafalch) について紹介する映像作品を鑑賞します。

カサ・アマトリェールは、もともとは1875年に建てられた、ごく一般的な普通のタウンハウスでした。そんなタウンハウスを、1898年に購入し、大変身させたのが、アールヌーヴォーの代表的アーティストの一人、アルフォンス・ミュシャのポスターなどでも知られる、スペイン最古の現存する老舗チョコレートブランド、アマトリェール (アマリエ) の3代目オーナー、アントニ・アマトリェール (Antoni Amatller) です。1898年から1900年にかけて、ジュゼップ・プッチ・イ・カダファルク (Josep Puig i Cadafalch) のカタルーニュ近代建築的なデザインにより、リノベーションされ、大変身を遂げます。おそらく物凄いインパクトだったのだと思いますが、その後、ガウディのカサバトリョをはじめ周囲の邸宅も様々な建築家により大変身を遂げ、バルセロナで一際目立つ「不協和音の一角」と呼ばれるほどの豪華な邸宅街になっていきます。

映像作品を見終わった後、iPad とヘッドセットが手渡され、スタッフの案内に従い、それぞれのお部屋で説明を聞きながら、Antoni Amatller さんのお屋敷だった2階(First Floor) を見学していきます。ちなみに、上層階は、賃貸用アパートだったそうです。
とても立派な暖炉のあるダイニングルームからスタートします。

素晴らしい装飾の照明と窓ガラス、ステンドガラスが印象的です。

センスのいい家具も色々と置かれています。

インテリア、照明、ステンドグラスなど細部にまでこだわった装飾が施され、廊下まで美しい空間となっています。

グラシア通り沿いは、プライベートルームとなっていて、ドア部分にも豪華な装飾がされています。

天井まで素晴らしい芸術作品です。

Antoni Amatller さんは、娘さんと二人暮らしをしていたそうで、こちらは、娘さんのお部屋です。流行に敏感だったようで、お隣の部屋は、アールヌーヴォーの次に流行したアールデコ調のお部屋となっていました。

Antoni Amatller さんの個室は、さらに大きく、古代エジプトの遺品をはじめ、Antoni Amatller さんが収集したコレクションが展示されています。

プライベートスペースは、グラシア通り沿いに、パブリックスペースは、グラシア通りから離れたお部屋にありますが、そのプライべートスペースとパブリックスペースのちょうど中間に、Antoni Amatller さんのオフィスが構えられています。

中も、センスのいいとても素敵なオフィスとなっています。

歴史あるチョコレートブランドのアマトリェールさんの邸宅見学ツアーということで、最後には、お楽しみが待っていました。
アマトリェール・チョコレート (Amatller Chocolate) のホットチョコレートドリンクがいただけ、これがとっても美味しく、綺麗な邸宅を見て、美味しいチョコレートを頂いて、幸せなツアーでした。（※今はツアーでは提供されなくなりました。）