メトロポリタン美術館 チャールズレイの特別展がスタート!有名なカエルと少年の裸像も登場中 Charles Ray: Figure Ground

ニューヨークのメトロポリタン美術館では、LA拠点のアメリカ人現代アーティスト、チャールズ・レイ (Charles Ray) の特別展、Charles Ray: Figure Ground が、はじまりました。チャールズ・レイは、彫刻を中心に、写真など様々な媒体のアート作品で知られています。中でも最もよく知られている作品の一つが、LAの著名美術館、ゲッティセンターの正面に飾られていて、一際存在感のあるカエルを持った少年像です。そんなチャールズ・レイの作品の数々が、現在、メトロポリタン美術館の特別展へやって来ています。

メトロポリタン美術館では、2022年1月31日から、ロサンゼルスで活躍するアメリカ人コンテンポラリーアーティスト、チャールズ・レイ (Charles Ray) の特別展、Charles Ray: Figure Ground がはじまりました。会場となっているのは、2階左手の特別展ギャラリー (Gallery 999) です。

チャールズ・レイ (Charles Ray) は、1953年にシカゴで生まれ、現在は、ロサンゼルスを拠点に活動している現代アーティストで、UCLAの美術学部の教授でもあります。その作品は、ヴェネツィア・ビエンナーレや、ホイットニー美術館の Biennial など様々な著名展でも展示されています。作風は、シューレアリスム、ミニマリズムなど20世紀の様々なアートムーブメントの影響が少しづつ感じられますが、古典西洋美術をもとに、それらを上手く汲みこんで独特のシュールなスタイルを築いている感じがします。

チャールズ・レイの作品の中心となっているのが、彫刻で、今回の特別展でも、色々な素材の彫刻が展示されています。
入場し、まず出迎えてくれるのが、マークトウェインのお馴染みのハックルベリー・フィンの冒険 (Adventures of Huckleberry Finn) の一場面を描いた、2014年のステンレス鋼の彫刻作品、Huck and Jim です。ハックルベリー・フィンの冒険は、ミシシッピ川をいかだで下っていく冒険を描いていますが、少年ハックと一緒に旅をし、主要人物として描かれていたのが、逃亡奴隷の Jim です。

Huck and Jim の隣には、カエルを持った少年像が飾られています。こちらも、実は、ハックルベリー・フィンの冒険の一場面を描いた2009年の作品で、とても存在感のある作品です。ヴェネツィアの中心部に長期間飾られる予定で制作された作品でしたが、こちらの記事でも紹介されていますが、反対の声が高まり、数年間で撤去されることとなり、その後、ロサンゼルスのゲッティセンターのよく目立つ正面階段に飾られていました。

イタリアの巨匠の作品を彷彿とさせる大理石の彫刻に見えますが、ステンレス鋼を白く塗り制作した彫刻です。古典西洋風の彫刻でありながら、アメリカの人気ストーリーを現代的なヒネリを加えて制作した面白い作品です。

チャールズ・レイのカエルを持った少年像が常設されている、ゲッティセンターは、素晴らしい古典西洋美術のコレクションを誇る、ロサンゼルスの著名美術館の一つです。

ゲッティセンターの見どころ ロサンゼルスの絶景美術館 J. Paul Getty Museum

人物を描いた彫刻作品に加え、20世紀後半からの現代アートでよく見かけるモノをテーマとした作品もあります。こちらは、精巧な銀色のトラクターです。本物のビンテージトラクターをよく観察し再現した作品です。この他、テーブルやボックスなどミニマリズム的な作品も飾られています。

次の部屋へ移動する途中に飾られ、独特の色合いで、一際目立っていたのが、こちらの Archangel と題された2021年の作品で、大天使と言う歴史的なモチーフを現代的に描いた、ジーンズにサンダル姿の作品です。なんと日本のヒノキ(檜)で制作されています。

大天使の後ろには、ニューヨークの クロイスターズ などヨーロッパの古い教会でよく見かける人物が横たわっている姿のお墓を模したような感じの作品があります。こちらは、Mime という2014年の作品で、本物のパントマイム役者がモデルとなって寝転んでいる姿を正確に描き、アルミニウムで制作しています。

マネキンのような作品もあります。右手は、少年を描いた1992年の作品、左手は、ヌードの家族を描いた、1993年の作品、Family romance です。どちらもグラスファイバーの彫刻に、色が塗られています。

メトロポリタン美術館の古代ギリシアの石碑を模した作品もあります。

ギャラリーの最後に飾られているのが、Sarah Williams と題されたこちらの作品。古典西洋美術らしい宗教的なモチーフの印象ですが、こちらもハックルベリー・フィンの冒険から描かれた作品で、Sarah Williams は、ハックがなりすまそうとした人物です。ハックルベリー・フィンの冒険が大好きだということがよく伝わって来ます。古典西洋美術好きの人にもおすすめの特別展で、作品のどこかに現代的なヒネリが入っている所が面白いアーティストです。チャールズ・レイの特別展は、2022年6月5日まで開催されています。

メトロポリタン美術館の全体像は、こちらをどうぞ。

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メトロポリタン美術館 チャールズレイの特別展がスタート!有名なカエルと少年の裸像も登場中 Charles Ray: Figure Ground was last modified: 2月 15th, 2022 by mikissh