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アメリカのサマータイムと単位システムには要注意!

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すっかり忘れていましたが、明日からサマータイムです。アメリカの恒例、年に2回の時計の針を動かす日です。サマータイムは、正式には Daylight saving time (DST) と呼ばれていて、3月の第2日曜日は、そのDSTの始まる日です。日曜の深夜2時、つまり今夜2時になると一気に1時間進んで3時になります。このDSTが終わるのは、11月の第1日曜日の深夜2時、この日は逆に2時になった瞬間、1時に時間が戻ります。
サマータイムが終わるときは、1時間得した気分でいいのですが、サマータイムの始まりは、気づかないでいると1時間遅刻になってしまいます。フライトなど大事な予定がある人は注意しましょう!

Benjamin Franklin

ニューヨーク(アメリカ東部時間 (standard Time=EST) )と日本との時差は14時間ですが、サマータイムの間(EDT)は13時間となります。例えば、スタンダードタイムでは、日本の正午は、ニューヨークの前日の夜10時となりますが、サマータイムの間は夜11時となります。

この時間をずらすという考え自体は、かなり昔からありました。アメリカの Founding Father’s の一人、Benjamin Franklin がパリに滞在していたころ、“An Economical Project for Diminishing the Cost of Light” というエッセイで、ジョークだったようですが、そのようなアイデアを書いているそうです。実際に使われだしたのは第一次世界大戦頃の1916年、実はドイツ・オーストリアが最初だったそうです。
一方、アメリカで初めて取り入れられたのが1918年。ところがこの時は人気がなく、すぐに廃止になってしまいました。第2次世界大戦中に一年中時間をシフトする “War Time” として復活したそうですが、戦後しばらく混乱は続きました。最終的には Uniform Time Act of 1966 としてとりあえず統一した形になったようですが、最終的な時間に関する権限はそれぞれの州に託されました。その後、何度かDSTの開始と終了のタイミングが変わりながら今に至っています。サマータイムの制度は、現在、アメリカの中でも採用していない州があります。ハワイ、アリゾナなどいくつかの州と、プエルトリコ、USバージン諸島、グアムなどではDSTは採用されていないそうです。
現在、DSTは世界中で70か国以上が採用しているようです。

そんな DST の歴史、現状、問題点について、こちらの映像をご覧ください。

もうひとつ、アメリカで暮らしていて何年たってもなかなか慣れないことがあります。それは温度の単位!
アメリカでは気温の単位も世界標準ではない、華氏を使っています。華氏の32度が摂氏0度に相当し、換算式は、[°C] = ([°F] − 32) × 5⁄9になっています。それぞれの天気予報もこんな感じになります。間違える人はいないと思いますが、32度(華氏)で、常夏だって思って来たら、実は0度(摂氏)で極寒だった、なんてことがないよう、アメリカに旅行に来る人は、要注意!
華氏

摂氏

ちなみに現在でも華氏を使用している国はアメリカを含めて世界でまだ5か国あるそうです。

fahrenheit
(Imgur)

華氏だけではありません、U.S. Customary Systemということで長さ(inch, foot, yard, mile)、重さ(ounce, pound)と全て昔のイギリスに由来する独自の単位系なんです。世界標準に統一してくれるとありがたいと思う人も多く、Petitionも出されていますが、政府としては”国が強制すべきことでない”という考え方のようです。

現在、公式にメトリクスシステムを採用していない国は、アメリカも含めて、ミャンマー、リベリアなど少数の国になっています。
Metric_system_adoption_map
(Wikipedia)

アメリカ独自の”国が強制すべきことでない”という考え方もあり、法律でも単位系でもそうですが、一度何かのきっかけで決まってしまうと、明確に問題があるか、明らかに代替案の方がすぐれていない限り、なかなか変更をするのは大変なようです。
アメリカ独自の単位系に慣れていない人は、変換アプリをインストールしておくと役立ちます。

アメリカのサマータイムと単位システムには要注意! was last modified: 3月 7th, 2017 by mikissh