ニューヨークでギャラリーというと、チェルシーが有名ですが、実は、アッパーイーストサイドのメトロポリタン美術館周辺エリアにも、素敵なギャラリーが色々あります。現在、アッパーイーストサイドのギャラリーでは、20世紀の中頃、ニューヨークで隆盛だった抽象表現主義アートの代表的アーティストの一人である、デ・クーニング (Wille De Looning) 、そして誰もが知っている現代アートの巨匠、ピカソの特別展が開催されています。アッパーイーストサイドらしい趣のある美しいタウンハウスのギャラリーで開催されているデ・クーニング展では、代表作の一つ、”Police Gazette” をはじめ、デ・クーニングの様々な時期の作品が揃う、見応えのある展示となっています。
ニューヨークのアッパーイーストサイドの閑静なタウンハウスのギャラリー、 Mnuchin Gallery で、4月19日から開催されているのが、“De Kooning – Five Decades” です。
ギャラリーとなっているタウンハウスも、とてもエレガントなアッパーイーストらしい雰囲気で、こんな美しいらせん階段があります。
デ・クーニング (Wille De Looning) は、1904年にオランダで生まれ、後にアメリカで活躍した、1950、60年代にニューヨークを中心に隆盛だった抽象表現主義 (Abstract Expressionism) の代表的なアーティストの一人です。その作品は、メトロポリタン美術館やMoMAをはじめ、様々な美術館で展示されています。また、2015年には、デ・クーニングの1955年の作品、Interchange が、$300 million と、当時の史上最高額となりました。二年前に最高額となった、ダヴィンチの サルバトールムンディ に続く、2番目に高額取引となる作品です。
デ・クーニングの展示が、行われているのは、タウンハウスの1階と2階の2フロアで、デ・クーニングの1940年代から80年代までの長期に渡る美しい色合いの詩的な作品の数々が並んでいて、見応えのある展示となっています。デ・クーニングの作品で、まず思い浮かぶのがデフォルメされた女性像ですが、そんなモチーフが登場したのは、1940年代の後半で、そんな作品群から展示はスタートします。
デ・クーニングが強く影響を受けたアーティストは、ピカソや友人だったアーシル・ゴ-キー(Arshile Gorky) です。こちらの女性を描いた作品 (Woman III 1952-53) のモチーフと色使いからもそんな影響が感じられます。
2人の女性を描いた作品(Two Women 1953)。抽象的な全体像の中、具体的な対象を組み込むスタイルは、バスキアの作品 が思い浮かびますが、おそらくバスキアもデ・クーニングの作品の影響を受けている部分があるのだと思います。
こちらも2人の女性を描いた作品 (Two Women 1954) ですが、段々と、人物と周囲を区別するのが難しくなっていきます。
こちらは、女性と子供を描いた優しいタッチと色合いの作品 (Woman and Child 1967)。
1970年代には、彫刻も製作し、彫刻作品も何点か展示されています。こちらは、潮干狩りをする女性像 (Clamdigger 1972)。奥の明るい黄色の美しい作品 (Pastorale 1963) は、2016年に、倉庫から、デ・クーニングの作品群が偶然発見されニュースとなっていましたが、その中の一つです。
こちらは、1980年前後の作品。人物などの対象が完全になくなり、とても美しい色合いの抽象表現作品です。
今までとは、少し違った雰囲気の美しい色合いの線が印象的な1983年の作品。
こちらでは、デ・クーニングについて、簡単に紹介してくれています。
特別展は、6月15日までの開催となっています。ギャラリーの入り口はいつもカギがかかっているので、ブザーを鳴らしてギャラリーに入れてもらいます。
Mnuchin Gallery
45 E 78th St, New York, NY 10075 地図
デ・クーニング (Willem De Kooning) と共に、1950、1960年代にニューヨークで活躍し、ニューヨーク派 (New York School) とも呼ばれる抽象表現主義の代表的アーティストだったのが、ジャクソン・ポロック (Jackson Pollock) や、マーク・ロスコ (Mark Rothko) です。以前、ニューヨークのギャラリーでは、ロスコの特別展も開催されていました。
Mnuchin Gallery のすぐ近くの Gagosian Gallery では、“Picasso’s Women: Fernande to Jacqueline” と題されたピカソの特別展も開催されています。ピカソが愛した数々の女性がテーマで、2013年に、$155 million で取引されたことでも知られる Marie-Thérèse Walter を描いた1932年の作品、”Le Rêve/The Dream” をはじめ、数々の女性を描いた傑作が展示されています。写真撮影は禁止のため写真はありませんが、今まで見たことのない珍しい作品が数多く展示されていて、ピカソ好きにおすすめの特別展です。5月3日から6月22日までの開催です。
Gagosian Gallery (Upper East Side) 6F
980 Madison Avenue, New York 地図
アート好きの人は、メトロポリタン美術館やグッゲンハイム美術館と一緒に、アッパーイーストサイドのギャラリー巡りもおすすめです。
ピカソの作品は、ニューヨークでは、メトロポリタン美術館、MoMA、グッゲンハイム美術館 などで見ることできます。パリのフランスの国立ミュージアムであるピカソ美術館もとても充実していて、ピカソの長い生涯に渡る数多くの作品が展示されていて素晴らしかったです。