アメリカのミシガン州を訪れたら、やはりはずせないのは、ミシガン一の大都市で、モーターシティーと呼ばれているデトロイトです。デトロイトというと、2013年に起こったデトロイトの財政破綻を始まりに、アメリカで最も危険な都市、悲惨な都市、住みにくい都市など、様々な悪名の高さで有名になってしまった街です。実際、人々に放置され、廃墟となっている建物も見受けられたりし、普通は旅行で訪れない場所かもしれません。そんなデトロイトの市街地へ観光がてら訪れてみました。
現在でも、街の中心に残るアールデコ建築は、100年程前のデトロイトの街の急激な成長を遂げた自動車産業による繁栄の名残を感じさせます。またロックフェラーセンター、クライスラービルなどニューヨークと似ている部分も感じます。
デトロイトの中心部だけ見てみると、デトロイトの財政破綻や、危険な都市といわれるゆえんが、全く感じられないくらい美しい街並みを見せています。
ダウンタウンにはこんなに美しいアールデコ建築のビルが建ち並んでいます。
こんな豪華なビルを建てることができたのも、フォード、GM、クライスラーなどのアメリカの自動車産業がいかに財をもたらしたかが伺えます。しかし、100年前に始まり続いてきた車産業の繁栄も、世界的な競争の激化の中、衰退していきます。2007年に起こった金融危機の影響で、GMやクライスラーなどの大手の自動車会社が経営破綻し、デトロイト市民、そして、市そのものに大きなダメージを与えました。
街の真ん中にどんっと現れたアート。デトロイトの規模の大きさを表すように迫力のあるとても大きいアートです。
川沿いには美しい開かれた広場、Hart Plazaがあります。
デトロイト川沿いにはリバーウォークがあり、川の向こうに見えるのは、実はカナダです。夏には花火大会が行われ、ミシガンの人々もカナダの人々も楽しみにしているそうです。2国にまたがって一緒に楽しめる花火大会があるなんていいですね。
それにしても、対岸のカナダは、ものすごく目の前に見えるので、簡単に渡れてしまうのではないかと思ってしまうほどです。ボート遊びしている人々もけっこういます。
川の景色を遊覧船で楽しむこともできます。こういう街の中心だけを見ていると、本当に平和そのもの。
じゃあ、悪名高いデトロイトの姿は一体どこにあるのでしょうか?
中心地から少し離れたところに、廃墟が立ち並ぶエリアがあるといいます。
その中でも最も目立つ印象的な建物が、こちら、1913年に誕生し、当時世界で最も背の高い駅だったというミシガン中央駅(Michigan Central Station)です。1988年にその役割を終えて以降、現在も廃墟のままとなっています。
素晴らしい建物なのにもったいないですね。柵で覆われ、中には入れないようになっています。でも、建物の中にアーティストが描いたようなグラフィティがあったりするそうで、この建物を見に時々観光客が訪れているようです。ただし、中には入れませんので、外から写真を撮るのみです。
この廃墟の駅の建物からまたしばらく車で走って行くと、今度は、住宅街の廃墟の姿を目にすることになります。これが今までに見たことないほどの廃墟ぶり。人々が家を放置し、誰も戻ってこなくなると、こんなにも悲惨な姿になるのか、と思ってしまう、ただ古い家だというだけではない、外から見ても明らかに見捨てられた廃墟だとわかるほどの荒廃ぶりなのです。これも一定のエリアに限られているようですが、これこそが、アメリカで最も危険な都市、悲惨な都市、などといわれる所以なのかもしれません。
しかし現在では、逆にそれをチャンスだと思う人も現れ、このデトロイトに可能性を感じる投資家を惹きつけつつあり、最悪な時期は過ぎ、少しづつ良い方向に進んでいるのではないかという印象を受けました。
所々に現れるグラフィティが街を明るくしてくれている感じがします。アートが街の雰囲気を変え、街を救ってくれる糸口になるかもしれませんね。
ところで、デトロイトと言えば、有名ラッパー、エミネムの出身地です。昨年、エミネムがデトロイト出身ラッパーたちと共にデトロイトをテーマにした曲、”Detroit vs. Everybody”を出しています。背景にデトロイトの美しい部分、廃墟の部分の映像が交互に現れ、まさに今のデトロイトの状態を表しています。
デトロイトは、やり方次第では、将来ブルックリンのように大変身を遂げる可能性を秘めた街かもしれない、と思うとこれからの発展が楽しみの街です。
デトロイトにはこの他、色々と見どころがありますが、観光は日中、車で移動しながらしましょう。