アメリカでは、ワクチン接種が進められる中、注目を集めていたのが、ワクチン接種完了後、しばらく経過した後の抗体の減少やデルタ型に対応するため、さらに追加接種するブースターショットが、必要となるかの判断です。そして、今日、FDA のアドバイザーの会議が行われ、ファイザーのブースターショットに関し、65歳以上の人々や、感染すると深刻な病状となる可能性が高いハイリスクの人のみを推奨とし、65歳未満のその他一般の人々に関しては、現段階では、必要性を認めないという結果になりました。
ワクチン接種が進めば、感染者が激減し、コロナを気にせず生活できるようになる、と多くの人が思っていたと思いますが、そんな中、登場してしまったのが、これまでのタイプと比べて圧倒的に感染力の強い、デルタ型で、ワクチン接種が進んでいる国々でも多くの感染者が出ています。
ワクチン接種を完了したにも関わらず、感染してしまうブレークスルーのケースも報告されていますが、感染者、重症患者の多くは、ワクチン未接種者と言うのが実状です。そんな中、ファイザーをはじめとした製薬会社では、デルタ型に特化したブースターショットを開発し、イスラエルなどでは、既に、一般の人々の三回目の接種が開始され、アメリカでも、9月20日から三回目の接種が可能となることをホワイトハウスが発表するなど、ブースターショットの動向に注目が集まっていました。
そんなアメリカでのブースターショットの行方に大きな影響を与える、FDA のアドバイザーが集まった会議が、今日開催され、出された結論は、65歳以上または、ハイリスクの人のみ推奨し、65歳未満の一般の人には、現在のデータでは、必要性は認められない、という結論になりました。現在の状況とデータに基づき、一般の人への3回目の追加接種の必要性に関しては、16-2 で否決されたのです。
コロナが登場し、公衆衛生は確率統計の世界で、自然科学というよりは、社会全体のためにどうやって多くの人々を動かしていくかという、社会科学に近い分野であることをすっかり思い知らされました。新ウイルスということで、専門家も含め、誰もがよくわかっていない世界なので、今後の動向によって、結論もまた変化していくかもしれません。3回目の追加接種をまたするのかと不安に思っていた人には安堵したニュースだと思います。