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アメリカ中央銀行 10月から金融資産を縮小へ

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2007年から2008年にかけて起きたアメリカのサブプライムモーゲージマーケットに端を発した世界的な金融危機から約10年。アメリカ中央銀行の FRB (Federal Reserve Board 連邦準備制度理事会) は、金融緩和政策を色々実行してきましたが、その柱の一つが国債などの金融資産の買い上げで、現在、 保有金融資産は、なんと 4.5 兆ドルにまで膨れ上がっています。今では、アメリカだけではなく、世界の主要中央銀行が右に習い、マイナス金利の導入と、国債のみならず社債や株式の買い上げなどを実行し、さらに過激さを増しながら、金融マーケットに莫大な影響を与える存在となっています。そんな現状ですが、いよいよ来月10月から 保有金融資産を縮小していくことが発表されました。

今日、FOMC (Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会) の会議が行われ、予想されていた通り、10月から FRB のバランスシートを縮小していくことが発表されました。現在その資産規模は、金融危機以前と比べると4倍以上に巨大化しています。既に 2014年からは満期の債券のみ再投資することにより増減なしの状態が続いていましたが、今後は、満期のものを再投資しない形で、毎月、100億ドル規模の減少からスタートし、一年後には 500億ドル減に、そしてその後はそのペースを維持しながら、緩やかに減少させていくことになります。金融資産は、米国債やモーゲージ債などが中心で、社債や株式は保有していません。

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(St Louise FED)

金利については、現在のまま据え置きですが、今年中にもう一度利上げが行われると予想されています。金融緩和のもう一つの柱の「ゼロ金利」からは、アメリカは一足早く、昨年12月に抜け出しました。

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アメリカの FRB が金融緩和政策から抜け出そうとしている一方、日本銀行やヨーロッパの ECB は、社債や株式を買い続け、バランスシートを膨らませ続けているので、世界の金融資産マーケットは、今後も堅調が続くかもしれません。ただし満期のある債券と違い、最終的に、マーケットにあまり影響を与えずに、どのように株式などの所有を縮小させていくのか?という疑問は残ります。

スイスの中央銀行 SNB (Swiss National Bank) に至っては、他国の株式まで買い上げています。アメリカの FRB が買い支えることなしに、スイスの中央銀行がアメリカ株式を 800億ドル以上も所有している現状は、もはや国営投資ファンドの様相です。国レベルの巨大なプレーヤーたちが金融マーケットへ与える影響力があまりに大きくなり過ぎているのが現状ですが、そんな状態から正常化へ向けてのアメリカ中央銀行の動きは、一つの区切りと言えるイベントです。

アメリカ中央銀行 10月から金融資産を縮小へ was last modified: 5月 4th, 2022 by mikissh