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Fed って何? 最近注目を集めている アメリカの中央銀行

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(Wikimedia – FRB Building by AgnosticPreachersKid)

先週は、アメリカを中心に世界の金融マーケットがとても慌ただしい1週間でした。金利が上がるとか、上がらないとか、一体全体、どうして、こんなにも大騒ぎになっているのか、不思議に思っていた人も多いかと思います。
2006年以来、約10年間、アメリカでは利上げが行われていなかったのですが、それがとうとう上がるのでは?!ということで、投資家だけでなく、幅広い人々の注目を集めることになっていました。
先週の木曜に、現状の経済の状態を話し合い、金利のレベルを決定するFRB(米連邦準備理事会) の FOMC (Federal Open Market Committee) の会議が行われましたが、今回も、結局利上げはなし、という結論に終わりました。これによって、世界は少し安堵した感がありますが、8月の中国マーケットのクラッシュ以降、世界中の様々なマーケットでは、ボラティリティが高くなり、値段の動きが激しく、迷走を続けていて、今後もまだまだこんな感じが続いていく予感がします。

ところで、世界中から注目を集め、世界中の経済や金融マーケットに、こんなにも絶大な影響を与える存在となっている The Fedって、いったい何なのでしょうか?そして、そのFedが決める利上げによって、どんな影響を受けるのでしょうか? ニューヨークにもFederal Reserve Bank がありますが、今日は、ちょっとだけ経済のお話です。

The Fedってなあに?

Federal Reserve Bank(連邦準備制度銀行)は、アメリカの中央銀行で、日本でいう日本銀行に相当します。その名前にフェデラルとあるので、まるで国の組織のようですが、実際は、FRB(米連邦準備理事会)のみ連邦のエージェンシーで、大統領によりそのメンバーが指名されますが、Federal Reserve Bankの銀行組織自体は、民間の銀行により所有されている民間の銀行です。
Federal Reserve Bank は民間の銀行を管理、規制すると共に、経済の状態を判断し、国全体の金融ポリシーを決定し、お金をつくりだしたり、逆に吸収したりして、通貨の流通量を調整することにより、経済をコントロールする機能も持っています。ちなみにFederal Reserve Bankを所有する民間銀行には年間6%の配当がされているそうです。
今週、話題となっていたのは、銀行間で短期で貸し出すレートの目標値 (federal funds target rate) 、日本で言う公定歩合を、0.25%上げるかどうかでした。この金利が上昇していくことにより、景気の加熱、インフレが抑制されたり、貯金などの利子が上昇していくことになります。

The Fedの役割と現状

Fedは、理論上は、政権の交替など流動的に変化する国政からの影響を受けることなしに、経済活動において自然に起こる浮き沈み、時に極端に動く民衆心理の緩衝材となることが期待され、インフレ率、失業率を低く保ちつつ、国の経済の安定した成長を維持する目的としてつくられた組織ですが、現実は、その変動を助長しているようにも見えます。

興味がある方は、長いですが、こちらのドキュメンタリーもよくできています。

常識的に考えると、人口や土地が増え続ける、または、今あるものを一旦壊して一から作り直すなど、特別大きなトレンドがない限り、経済そのものが全体的に長く成長を続けていくことは困難なことだと思います。国の借金、国債は、常に経済成長があることが仮定されているので、冷静に考えるとPonzi Scheme(ポンジ・スキーム)と似ていなくもありません。現実的には、今の時代、右肩上がりとなるような大きな成長要因はなく、テクノロジーをベースにした新しいビジネスが古いビジネスを席巻しているとは思いますが、全体的なパイの数はほとんど変わらないままで、全体として大きな成長・利益が期待できるわけではないというのが現状だと思います。ポンジ・スキームとは少し違いますが、成長によって得た利益を利子として払っているわけではなく、新たに借金したお金で払い続けているのが現状です。
ちなみにこちらの映像では、Ponzi Schemeについて分かり易く紹介しています。

でも国という大きな存在には、中央銀行があり、お金をつくり出せる特権があります。ポンジ・スキームとは、紙一重な気もしますが、幸いなことにつぶれることのない巨大な存在なのです。
2007年前後に起こったアメリカの住宅、クレジットバブルに端を発した金融恐慌の時に、なりふり構わないフェドの対応を目の当たりにしてか、今や世界各国の中央銀行が凌ぎを削って、自国の経済、マーケットを守るため、金融緩和を続けたり、様々なマーケット操作的な政策を行い、その結果、アセットのインフレや、様々な歪みを生み出している感があります。2007年と比べて、世界の国々の借金は、57兆ドルも増えているそうで、減る気配はない、というレポートもあります。クレジットは使い方によっては成長や収益を加速しますが、成長の機会が多くない状態では投機的な動きを強め、上下動を激しくするだけとなってしまう気がしますね。
そして何より、テクノロジーの発展で、情報が瞬時に伝わるようになり、世界中が相関を強め、多くのものがリアルタイムで変動する中、100年以上も前につくられた制度がそのまま存続し、何人かの人が数か月に一度集まって、ある種、サイコロを振るかのように、見えない場所で何かを決めるという不透明なやり方自体が、逆に特別なイベントにしてしまい、より必要以上に注目を集める結果になってしまっている感があります。

過去の戦争や、大きな技術革新、経済の急激な発展などに、バンキングシステムや、株、借金 (Debt)が、大きな役割を果たしてきたことは明白で、それらを採用することなしに、急成長したり、競争力をつけることはができなかったでしょう。しかし、そんなバンキングシステムに反し、トーマス・ジェファーソンが本当に述べたのか、後に誰かにより関連づけられたのかは定かではありませんが、このようなコメントも、少し大げさかもしれませんが、真実をとらえている側面もあると思います。

I believe that banking institutions are more dangerous to our liberties than standing armies. If the American people ever allow private banks to control the issue of their currency, first by inflation, then by deflation, the banks and corporations that will grow up around [the banks] will deprive the people of all property until their children wake-up homeless on the continent their fathers conquered. The issuing power should be taken from the banks and restored to the people, to whom it properly belongs.

(和訳:
私は、銀行は軍隊以上に我々の自由にとって危険な存在だと思います。もし、民間銀行に通貨発行を許せば、銀行や企業が、インフレ、デフレなどのサイクルを利用し、人々の資産がなくなるまで、全てを奪い続けるでしょう。従って、通貨発行の権限は、銀行から取り上げ、人々のもとに戻さねばならない。)

ちなみに、ワシントン大統領のもと初代財務長官となり、中央銀行を設立したり、国債の発行などを行ったりと、現代につながるアメリカの金融、経済の基礎を築いたアレクサンダーハミルトンですが、こちらの引用集にもあるように、度の過ぎた借金の危険性は強く認識していたようです。

A national debt, if it is not excessive, will be to us a national blessing. It will be a powerful cement of our Union.

(和訳:
国の借金は、度が過ぎない限り、国にとってありがたいものである。我々の連合を力強いものとするでしょう。)

まさに諸刀の剣という感じで、何かを成し遂げようとすると、その結果、他の不都合な何かを助長し、思わぬ副作用が生じかねない上に、さらに世界中の国の相互依存が高まり、一国の経済という実体の定かでないものを上手くコントロールするという、中央銀行という存在の難しさ、これからはどうなっていくのでしょうか。世界中の国が当たり前のように採用しているシステムで、100年以上の間、あまり日の目をみず、ひっそりと営まれてきた活動ですが、こんなに脚光を集めてしまうと色々と疑問に思う人も増えてきてしまうかもしれませんね。

ニューヨークのFederal Reserve Bankを見学

fed-nyc(The Federal Reserve Bank of New York)

ところで、そんな注目のFederal Reserve Bankですが、アメリカの各地に12の銀行があり、そのうちの一つがニューヨークにもあります。
The Federal Reserve Bank of New York(ニューヨーク連邦準備銀行)で、一般の人も見学することが可能です。かなり前から予約する必要がありますが、無料のMuseum & Gold Tourというツアーが平日の 1:00 pm と 2:00 pmに行われています。
かなり前のことですが、以前、見学に行ったことがあります。学生などもいて社会科見学のように、ガイドさんが説明しながら1時間ほどツアーをしてくれます。なかなかレアな観光スポットですが、金融に興味のある人は訪れてみてはいかがでしょうか。

The Federal Reserve Bank of New York
33 Liberty St, New York, NY 10045 MAP

Fed って何? 最近注目を集めている アメリカの中央銀行 was last modified: 9月 18th, 2016 by mikissh

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