ニューミュージアム 新メディアアート & 映像特別展 テクノロジーを駆使した個性的なアーティストたちの斬新な作品が勢揃い

ニューヨークのロウアーイーストサイドにある、ニューミュージアム (New Museum) は、ニューヨークを代表する現代アート美術館です。アメリカだけでなく、世界中のアーティストたちをフィーチャーした、期間限定の特別展が開催されています。毎回、訪れる度に、想像もしなかったアート作品にびっくりさせられることが多い美術館ですが、現在は、映像やニューメディアの作品を得意とするアーティストたちの個展、コラボ展が開催されています。今回も、個性的なアーティストたちの奇想天外なコンセプトに、新しい発見がある斬新な作品がいっぱいでした。

ニューヨークのロウアーイーストサイドに建つ、ブロックが重ねられたかのような一際目立つ建物が、ニューヨークを代表する現代アート美術館の ニューミュージアム です。こちらの建物は、日本の建築ファーム、SANAA によりデザインされたもので、今後、ミュージアムは拡張され、隣接して新館が登場することが発表されています。
ニューミュージアムでは、冬から春にかけて、黒人アーティストたちのグループ展 が開催されていましたが、それに合わせて、”blues blood bruise” というメッセージアートが登場しました。

ニューミュージアムは、ロウアーイーストサイドでは、一際高い建物で、7階のテラスからは、ロウアーマンハッタンの絶景が見渡せます。

ニューミュージアムでは、6月末から映像作品を得意とするアーティストたちのいくつかの特別展が並行して開催されています。
コロナ以降のニューヨークのミュージアムで、より注目されるようになっているのが、映像アートです。パンデミック以降、多くの人が様々なジャンルの映像を楽しむ機会が増えたと思います。アートの世界でも、映像作品は、どこかに出かけることなく、自宅やオフィスでも気軽に鑑賞でき、キュレーターたちが企画しやすいのか、搬出入の作業を軽減するなど、様々な理由があるとは思いますが、現在、多くの美術館やギャラリーで、以前にも増して多く見かけるようになっているのが、映像アートです。

ロビーの奥のギャラリーでは、“This End the Sun” と題された、映像作品を中心とした、3人のアーティストたちのコラボによる、不思議な世界感のインストレーションアートが展示されています。

2階では、ニューヨークとサンフランシスコで活動しているアメリカ人女性アーティスト、Lynn Hershman Leeson さんの個展、“TWISTED” が開催中。様々なニューメディアやテクノロジーをテーマに、一貫したシュールな雰囲気が特徴のアーティストで、独特の世界を築き上げています。

人間とロボットの狭間のサイボーグを長くテーマとしているアーティストで、Seduction of a Cyborg と題された映像作品が上映されている他、

人形や標本など博物館のような展示物、魚のいる水槽まで登場するなど様々なメディアを用いた作品が展示されています。統一感を持って美しく並べられた几帳面な配置が印象的です。

自然科学博物館のような雰囲気の展示セクションもあり、蝶の標本をはじめ不思議な展示物が一定間隔で美しく配置され、音響効果まであるものもあります。

こちらでは、緑色に輝く猫の写真と合わせて、なんと美しい熱帯魚までいます。最近は、観葉植物など植物の作品が目に付くようになっていますが、美術館の展示で生きている動物を見たのは、初めてかもしれません。

遺伝子工学の影響と言った最先端科学の社会的な影響をテーマにした展示です。

SF的な不思議な世界感で、いったいどんな人物か興味を惹かれてしまいます。

3階では、香港人アーティスト、Wong Ping さんの展示、WONG PING: YOUR SILENT NEIGHBOR が行われています。社会や個人の願望など人間的なテーマを、レトロなテレビゲーム風のアニメ映像で扱うという独特のスタイルのアーティストです。

こちらは、童話風のストーリーに独自の解釈を与えている映像作品、Wong Ping’s Fables 2。

くつろいで鑑賞できるスペースも用意されていて、人気スポットになっていました。

この他にもいくつかの映像作品が上映されています。

4階は、イギリス人アーティスト、Ed Atkins さんの特別展、ED ATKINS: GET LIFE/LOVE’S WORK です。Nokia Bell Labs が、ニューミュージアムのスポンサーとなり、テクノロジーとアートの境界をテーマとする、Experiments in Art and Technology (E.A.T.) の展示が開催されています。映像作品は、高画質CGによるもので、顔の表情や動きは、モーションキャプチャやフェイシャルキャプチャにより、取り込まれているそうです。

CG作品では、アーティストと母親との対話の様子が描かれていますが、繊細な部分までしっかりと描かれている感じを受けました。ますますCG制作の簡略化が進んで行きそうな気がします。

映像作品は、思わず引き込まれそうになる、巨大な木箱の一面で上映されています。

今回紹介した現在開催中の全ての特別展は、2021年10月3日までの開催です。

ミュージアムショップは、再開後しばらく閉鎖されていましたが、今再開しています。アート関連の本がとても充実しています。

ニューミュージアムの詳しい紹介は、こちらです。

ニューミュージアム New Museum ニューヨークの斬新なインターナショナルアートが魅力の現代アート美術館

ニューミュージアム 新メディアアート & 映像特別展 テクノロジーを駆使した個性的なアーティストたちの斬新な作品が勢揃い was last modified: 8月 19th, 2021 by mikissh