ニューヨークアッパーイーストサイドのジューイッシュミュージアム (Jewish Museum) では、メルヘンチックな独特の世界を描くアーティスト、フローリン・ステットハイマー (Florine Stettheimer) の特別展が開催されています。フローリン・ステットハイマー (Florine Stettheimer) は、ニューヨークをモチーフとした絵をよく描いたアーティストで、メトロポリタン美術館などにも展示されていますが、彼女の作品がこれほど一堂に集まっている展示は見たのは初めてです。
ジューイッシュミュージアムで、現在、行われているのは、“Florine Stettheimer: Painting Poetry” と題された特別展で、色使いや雰囲気で一目でフローリン・ステットハイマー (Florine Stettheimer) だと分かる作品が数多く展示されています。最近、人気急上昇中なのか、フローリン・ステットハイマー (Florine Stettheimer) の作品を見かける機会が増えている気がします。
テーマはニューヨーク、セントラルパーク。
メトロポリタン美術館 にもニューヨークをテーマとしたメルヘンチックな作品が展示されています。
楽しむ女性たちの一コマを描いた作品群。
フローリン・ステットハイマーの作品は、ニューヨーク最大のアートイベント、アーモリーショー (Armory Show) でも人気となっていました。
こちらで紹介されていますが、フローリン・ステットハイマーは裕福な家庭に生まれ、ニューヨークとヨーロッパで育った、20世紀前半に活躍した女性アーティストです。そんな彼女がギャラリーで展示したのは実は人生でたった一度きりでした。しかも一つも売れることなく、失敗に終わり、その後、アーティスト達と交流しながら、自分の興味のままに描き続けた人でした。死後、自分の全ての作品を廃棄するようにとの遺言を残したそうですが、コロンビア大学や MOMA などに作品は寄贈され、マーケットで取引されることの少ないアーティストでした。当時のアートの潮流からはかけ離れていたのかもしれませんが、逆に、現在ではより評価される作風と言えるかもしれません。
マルセル・デュシャン、フランシス・ピカビアらとも友好関係にあり、特にデュシャンは特別だったようで、作品にも登場します。
MD (Marcel Duchamp) の額縁が個性的でかわいくて、フローリン・ステットハイマーらしいふんわりとした空気感のある作品で、デュシャンが登場しています。この作品を含め、何点か写真撮影禁止の作品があったので、こちらは本からです。
こちらはデュシャンの肖像画。
今回は撮影禁止になっていましたが、以前、ホイットニー美術館で見かけた自由の女神のいるニューヨークの作品もありました。
画家以外では、舞台・衣装デザイナーとしても活躍していたようです。オペラのセットや衣装を担当したり、
姉のドールハウス(Stettheimer Dollhouse)のプロジェクトを手伝ったりもしていたそうです。
そんな一コマ一コマの作品に引き付けられ、女性ファンが多い印象でした。
物語を描いたようなこんな作品のシリーズもあります。
彫刻作品も独特です。
自分で個展を開いたのは一度だけ、その失敗以降、自分と周囲の友人のみのために描き続けていたフローリン・ステットハイマーですが、まさか死後70年以上たった現在でも個展が開かれているとは夢にも思わなかったでしょう。
フローリン・ステットハイマー (Florine Stettheimer) の特別展は、9/24/2017 までです。
ジューイッシュミュージアム Jewish Museum
1109 5th Ave & 92nd St, New York, NY 10128 MAP