アメリカの政策金利のレベルを決定する、連邦準備制度理事会 (FRB) による、米連邦公開市場委員会 (FOMC) が、昨日から今日にかけて開催され、今回7月は、市場の予想通り、政策金利は、25bp 引き上げられ、5.25-5.5% となりました。アメリカでは、ここしばらく高インフレが続いており、そんなインフレ抑制の最大のツールとなっているのが政策金利です。パンデミック中のゼロ金利政策から脱却し、約一年間で、0% 付近から 5.25% へと10回連続で急ピッチで金利が引き上げられました。前回6月は、久しぶりの小休止となりましたが、今回7月は、再び利上げが行われました。
アメリカでは、昨年2022年は、40年振りの高インフレとなりましたが、パンデミックの終焉による正常化や、2022年3月以来10回連続の急激な利上げの効果もあり、最近では、インフレはだいぶ落ち着いて来ています。その一方、シリコンバレー銀行(SVB)、シグネチャー銀行、春には、ファーストレパブリック銀行など金利リスクなど経営状況に不安がある銀行が取り付け騒ぎで破綻するなど副作用も出ましたが、こちらも収まっています。
パンデミック以来続いていたゼロ金利が昨年2022年3月に解除されて以来、2022年5月4日には、2000年5月以来となる 50bp、0.5%の引き上げ が行われ、6月15日には、1994年11月以来となる 75bp、0.75%の大幅利上げ、2022年7月27日には、再び 0.75%の大幅利上げ、2022年9月21日も、0.75% の大幅利上げ、2022年11月2日も、4回連続となる0.75%の大幅利上げ、2022年12月14日は、利上げ幅が少し下がり、0.5% の利上げ、2023年2月1日は、さらに利上げ幅が下がり 0.25% の利上げ、2023年3月22日も、0.25%、25bpの利上げ、そして、前回2023年5月3日も、同じく0.25%、25bp となり、10回連続での利上げが行われた後、前回の2023年6月14日は、利上げがありませんでしたが、今回2023年7月26日は、再び0.25%、25bp の利上げが行われました。
フェドレートは、5.25%-5.50% となり、ITバブルが起こっていた2001年の年初頃以来の高金利になっています。
インフレの指標となっている消費者物価指数、CPI は、2022年6月は、9.1% と今回のサイクルの最高値となりましたが、その後下降し、最新の 2023年6月のCPI では、3% まで下がって来ています。
とは言え、ウクライナからの小麦などの輸出が再び難しくなり、食料関連価格の値上がりが再び続く可能性が高まりました。経済、労働市場、株式市場、不動産市場は、まだ好調が続いていることもあり、再び利上げが行われました。
FF金利の今後の見通しを表すドットプロットの中間値である 5.125% に達し、FRB の声明からは、これまであったさらなる利上げを示唆する文言が削除され、インフレ、雇用、景気、クレジットに関するデータを見ながら、今後の判断をしていくとしています。
今回は、FOMC を構成する12人のメンバーの今後のFF金利の見通しをグラフ化したドットプロットの更新はありませんでした。ドットプロットは、4半期(3ヵ月)に一度、年に4回アップデートされ、前回6月のFOMCで更新され、金利サイクルの最高利率の中間値は、これまでの 5.125% から 5.6% と上昇していて、今年、さらに2回程利上げが行われる可能性が示唆されています。その後の下がり具合は緩やかになっています。
(FOMC – Projection 202303614(PDF))
FOMCの発表の詳細は こちら です。FRBのジェローム・パウエル (Jerome Powell) 議長の声明は、こちら(PDF) です。目標に掲げる 2% のインフレ率を目指し、利上げのペースは減速しており、今後のインフレ、雇用、経済の状況により対応を変えていくとしています。
次回の連邦準備制度理事会 (FRB) の開催は、6週間後の 9月19日、20日となり、据え置き、または、25bp の利上げが予想されています。
銀行間の短期の貸し借りで使用される政策金利のFFレート (Federal Fund Rate) が上昇すると、短期金利が上がり、預金の金利が上昇するのはうれしいですが、一方、ローンやモーゲージ、クレジットカードなどで借りる際の金利も上昇してしまいます。
モーゲージレートも、大幅上昇していて、不動産市場にも大きな影響があります。前回のサイクルトップ、2006、2007年の水準を超え、高水準を推移していましたが、最近では、FF金利が今回のサイクルの天井に達したのでは、という予測の下、下がりはじめています。
アメリカのインフレの最新情報は、こちらです。
インフレの真っ只中、大人気となっていた、アメリカ財務省の預金商品、I Saving Bond の5月からの利率は 4.3% とだいぶ下がって来ています。一方、FFレートの利上げにより、預金やCDなどの利率はかなり上がって来ています。
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