アメリカ金利0.25%の利上げ!FF金利 5.25% 2007年以来の高金利に 今後は様子見局面入りの可能性も

アメリカの政策金利のレベルを決定する、連邦準備制度理事会 (FRB) による、米連邦公開市場委員会 (FOMC) が、昨日から今日にかけて開催されていましたが、今回5月は、市場の予想通り、25bp、0.25% の政策金利の利上げが発表されました。アメリカでは、ここしばらく高インフレが続いており、そんなインフレ抑制の最大のツールとなっているのが政策金利で、パンデミック中のゼロ金利政策から脱却し、約一年間で、0% 付近から 5.25% へと急ピッチで金利が引き上げられました。ここしばらくの消費者物価指数、その他のインフレ指標は、下降基調ではありますが、高止まり感があり、今回は、前回、前々回に引き続いて、0.25% の上昇となりました。アメリカでは、利上げにより、毎月のように預金の金利もぐんぐん上がっています。FRB の声明からは、追加利上げの必要性に関するコメントが削除され、そろそろ利上げが一旦停止となり、今後のインフレ、景気、金融機関の状況の様子見局面へと移行していく可能性を示唆していました。



アメリカでは、今年に入ってからも、40年振りの高インフレがずっと続いています。食料品やガソリンなど、日常の生活の中でインフレを実感する場面が多くあります。インフレの原因は、パンデミックによる需給の激しい変動やサプライチェーン問題、ロシアによるウクライナ侵攻など様々な要因によるもので、コントロールするのは難しいですが、そんな中、政策金利の利上げは、インフレ抑制の最大のツールの一つとなっていて、この一年間で急激な利上げが行われています。
最近では、急激な利上げにより、インフレは落ち着きついて来た感じを受けますが、その一方、シリコンバレー銀行(SVB)、シグネチャー銀行、直近では、ファーストレパブリック銀行など金利リスクなど経営状況に不安がある銀行が取り付け騒ぎで破綻するなど副作用も出てきています。

パンデミック以来続いていたゼロ金利が今年3月に解除されて以来、5月4日には、2000年5月以来となる 50bp、0.5%の引き上げ が行われ、6月15日には、1994年11月以来となる 75bp、0.75%の大幅利上げ、7月27日には、再び 0.75%の大幅利上げ、9月21日も、0.75% の大幅利上げ、11月2日も、4回連続となる0.75%の大幅利上げ、12月14日は、利上げ幅が少し下がり、0.5% の利上げ、2月1日は、さらに利上げ幅が下がり 0.25% の利上げ、3月22日も、0.25%、25bpの利上げとなっていましたが、今回5月3日も、同じく0.25%、25bp となり、10回連続での利上げとなりました。
これで、フェドレートは、5.00%-5.25% となり、不動産バブルとなっていた2006-2007年以来の高金利になっています。
今回のインフレサイクルで最高を更新した、6月の消費者物価指数、石油などエネルギー価格の下落にもかかわらず、高いインフレが継続していた、7月8月9月、そして、ようやくインフレが落ち着いて来た印象を与えた、10月11月12月、高止まりの印象を与えている今年2023年に入ってからの1月2月3月の消費者物価指数の発表などを受け、今回は、市場の予想通り、利上げ幅が下がり、25bp の利上げとなりました。


(tradingeconomics.com)



FF金利の今後の見通しを表すドットプロットの中間値である 5.125% に達し、FRB の声明からは、これまであった、さらなる利上げを示唆する文言が削除され、インフレ、雇用、景気、クレジットに関するデータを見ながら、今後の判断をしていくとしていて、状況によっては、今後しばらく様子見局面となる可能性を示唆していました。

ドットプロットは、FOMC を構成する12人のメンバーの今後のFF金利の見通しをグラフ化したもので、今回は、更新されていませんが、4半期(3ヵ月)に一度、年に4回アップデートされ、前回の3月のFOMCで更新されました。
全体的には、前回昨年12月と同様の予測となっていて、中間地は、前回とほぼ同様の5.125% ですが、その後の下りが若干緩やかになっています。


(FOMC – Projection 20230322(PDF))

昨年12月時点でのドットプロットは、こちらです。


(FOMC – Projection 20221214(PDF))

9月のFOMCのドットプロットでは、12月は 50bp または、75bp のペースでの利上げが想定されていて、来年2023年には 4%後半に達する見通しとなっていました。


(FOMC – Projection 20220921(PDF))



FOMCの発表の詳細は こちら です。FRBのジェローム・パウエル (Jerome Powell) 議長の声明は、こちら(PDF) です。目標に掲げる 2% のインフレ率を目指し、利上げのペースは減速しており、今後数回のFOMCでピークに達しそうな感じです。

急激な金融緊縮が続けば、株式や不動産の価格下落など資産価格全般への影響は不可避となり、既に様々なリスク市場で、大きな変化が起こっています。アメリカは、これまで同様、インフレ抑制に本気で取り組み続ける一方、景気などの動向にも注意を払っていくとしています。次回の連邦準備制度理事会 (FRB) の開催は、6週間後の6月13日、14日となり、据え置き、または、25bp の利上げが予想されています。

銀行間の短期の貸し借りで使用される政策金利のFFレート (Federal Fund Rate) が上昇すると、短期金利が上がり、預金の金利が上昇するのはうれしいですが、一方、ローンやモーゲージ、クレジットカードなどで借りる際の金利も上昇してしまいます。
モーゲージレートも、大幅上昇していて、不動産市場にも大きな影響があります。前回のサイクルトップ、2006、2007年の水準を超え、2001、2002年の水準に近づいていました。しばらくCPIの数字などインフレ抑制への期待感から将来の予想金利水準が下がり、アメリカ国債価格の下落などの影響もあり、モーゲージレートも下がって来ていました。3月頃までは銀行の破綻などによる金融不安から再び上昇していましたが、最近では、少し下がった後は、横ばいになって来ています。


(freddiemac)

アメリカのインフレの最新情報は、こちらです。

アメリカ インフレ CPI 5.0% 3月の消費者物価指数 エネルギー価格下落により小幅上昇

インフレの真っ只中、大人気となっていた、アメリカ財務省の預金商品、I Saving Bond の5月からの利率は 4.3% とだいぶ下がって来ています。一方、FFレートの利上げにより、預金やCDなどの利率はかなり上がって来ています。

年利4.3%まで低下!アメリカの低リスク インフレ連動預金用債券 I Bonds 2023年5月更新 固定金利部分0.9%に

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アメリカ金利0.25%の利上げ!FF金利 5.25% 2007年以来の高金利に 今後は様子見局面入りの可能性も was last modified: 12月 13th, 2023 by mikissh