ニューヨーク州バッファローと言えば、19世紀中盤から20世紀中頃までとても栄えた街で、その時代に建てられた数多くの建物が修復されながら現在でも美しい状態で残されています。今年、生誕150周年を迎えたアメリカの著名な建築家、フランク・ロイド・ライトの有名な建築も数多く残っているエリアで、そんな中でも、ライトのデザインした ダーウィン D. マーティン邸 (Darwin D. Martin House) は、シカゴの ロビーハウスと並び、プレーリースタイルの最高傑作の一つとして知られています。
今回は、残念ながらツアーに参加している時間はありませんでしたが、オルブライトノックス美術館の帰りに外観だけ見に立ち寄ってみました。閑静な美しい住宅街に建つ壮観な建築です。
この家の建築を依頼した Darwin D. Martin さんというのは、Larkin Company というバッファローベースの石鹸会社の重役さんでした。会社のオフィスビルに加えて、自宅のデザインまでフランクロイドライトに依頼したという程、フランクロイドライトを高く買っていて、友人でもあったそうです。こちらの自宅は、潤沢な予算と、大きな信頼の下、かなりフランクロイドライトの自由裁量によりデザインされました。1905年に完成した邸宅で、歴史的建造物 (National Historic Landmark)、国家歴史登録財 (National Register of Historic Places) にも指定されています。
フランクロイドライトの象徴的なステンドグラスも見られます。
まさに、シカゴのロビーハウスの雰囲気です。ロビーハウスの完成は1909年なので、Darwin Martin House の方が数年前に完成したことになります。
シカゴ大学にあるロビーハウスも美しいですが、周囲に建物が多くあり、なかなか全景が捉えられないのに対し、こちらは広々とした場所に立っているため美しい全景写真を撮ることができます。
ロビーハウスについてはこちらをどうぞ。
予算が潤沢に与えられていたことが一瞬でわかるほど、大きな敷地に建つ大きな美しい邸宅です。
こちらでは、フランク・ロイド・ライトについて、また、Darwin D. Martin との関係について詳しく紹介されています。
ダーウィン D. マーティン邸
Frank Lloyd Wright’s Darwin Martin House
125 Jewett Pkwy, Buffalo, NY 14214 MAP
Darwin D. Martin さんは、さらに夏の別荘もフランク・ロイド・ライトに依頼しています。フランク・ロイド・ライトにとって Darwin D. Martin さんは、は本当に上顧客でした。こちらの夏の別荘は、バッファローの街から少し離れますが、エリー湖湖畔にあり、1920年代に建てられたもので、グレイクリフ (Graycliff) と呼ばれています。
グレイクリフ (Graycliff)
6472 Old Lake Shore Rd, Derby, NY 14047 MAP
Larkin Company のオフィスビルは取り壊されてしまいましたが、この他、バッファローには、Bluesky Mesoleum、ボートハウスなどが残っています。また、実際に建てられることはありませんでしたが、ライトがデザインしたガソリンスタンド が ピアス アロー ミュージアム (Pierce Arrow Museum) に展示されています。
今年は、フランクロイドライト生誕150周年記念ということで、ライトに関連した様々なイベントが行われています。ニューヨークの MOMA でも、特別展が10月1日まで開催されています。