フランスハルス特別展 アムステルダム国立美術館!生き生きとした肖像画で知られるオランダ黄金時代の巨匠の大回顧展

アムステルダム国立美術館 (Rijksmuseum) では、現在、オランダ黄金時代と呼ばれる17世紀に活躍した巨匠の1人である、フランス・ハルス (Frans Hals) の特別展が開催されています。フランス・ハルスは、レンブラントやフェルメール程知られてはいませんが、グループ肖像画など肖像画で知られる、オランダ黄金時代を代表するアーティストの1人で、表情豊かな生き生きとした作品を描く作風で知られています。今回のフランス・ハル展では、そんなハルスの作品が世界各地の著名美術館から集まり、とても見応えのある展示となっています。

アムステルダム国立美術館 (Rijksmuseum) は、オランダ黄金時代を中心に様々な時代のオランダの美術や工芸作品が展示されている、オランダを代表するミュージアムです。アムステルダム国立美術館では、近年、レンブラント、フェルメールらオランダ黄金時代を代表するアーティストたちの特別展が開催されていました。2024年2月中旬から6月9日にかけて開催されているのが、フランス・ハルス展 (Frans Hals Exhibition) です。

フランス・ハルスの特別展の会場となっているのは、北西側の建物の1階にある、フィリップスウィング (Philips Wing) です。特別展は時間指定チケットが必要で、時間になったらロビーがある0階で会場へ向かい、階段を上って1階にある特別展ギャラリーへと向かいます。

17世紀のオランダと言えば、アジアからアメリカ大陸まで世界をまたにかけた貿易で繁栄し、レンブラントやフェルメールら数多くの著名アーティストを輩出したことで知られています。フランス・ハルスもそんな時代を代表するアーティストの1人で、特にグループ肖像画をはじめ生き生きとしたダイナミックな肖像画で知られています。
フランス・ハルスは、1582年頃にアントワープで織物商人の家に生まれました。幼少期にハーレムに移り、その後生涯に渡ってハーレムでアーティストとして活動しました。レンブラントより20数歳年上ですが、アーティストとしての活動時期はほぼ同じで同時代のアーティストとして活動していました。ハルスは、その時代の様々なアーティストたちに影響を与えると共に、その生き生きとした筆使いは、マネやゴッホら後の印象派以降のアーティストたちの作品にもその影響を見ることができます。

フランス・ハルスは、オランダ黄金時代に活躍した著名アーティストの1人で、ハーレムを拠点に、まだ20代後半だった1610年頃から86歳で亡くなった1666年まで、肖像画や人物を中心とする風俗画 (genre painting) などを数多く描きました。現在でも200点近くの作品が残されていて、世界各地の著名美術館で展示されています。今回のフランス・ハルス特別展では、そのうちの50点近くの作品がやって来ていて大規模な回顧展となっていました。
アムステルダム国立美術館のフランス・ハルス展で展示されていた、フランスハルスの有名作品を紹介します。

古典西洋美術の肖像画や、人物画と言うと、無表情で正面を向いたすました顔の作品が多いです。そんな概念を一変させたのが、フランス・ハルスでした。人々の微笑など表情豊かな生き生きとした人物を描き、その場の雰囲気がとてもよく伝わってきます。
そんなハルスらしい代表作の一つが、アムステルダム国立美術館 (Rijksmuseum) 所蔵の『陽気な酒飲み』(The Merry Drinker) です。自由奔放な筆使いが印象的な、1628–1630年頃に描かれた作品で、今にも目の前で話しかけて来そうな臨場感があります。通常は、栄誉の間に飾られていますが、現在は、特別展ギャラリーに展示されています。

こちらは、ルーヴル美術館所蔵、1623年に描かれた『リュートを弾く道化師』(The Lute Player)。 リュートとその演奏者というモチーフは、古典西洋美術でよく見られますが、かすかな微笑を浮かべながら正面ではなく斜め前方を向くという今風の構図で、楽しそうなその場の臨場感が伝わってくる作品は珍しいと思います。

こちらは、1625年に描かれた『笑う少年』(Laughing Boy) です。白い歯を見せて笑っている姿を生き生きと描いた古典西洋美術ではとても珍しい作品です。通常は、マウリッツハイス で展示されていますが、現在は、アムステルダム国立美術館の特別展ギャラリーにやって来ています。

ハルスと言えば、何気ない普通の人々を生き生きと描いた風俗画が印象的ですが、人気の肖像画アーティストで、当時依頼を受けて描いた数多くの肖像画作品も展示されています。
17世紀のオランダと言えば、アジアからアメリカ大陸まで世界をまたにかけた貿易で繁栄し、裕福な市民や組織が増え、たくさんの肖像画が描かれました。ハルスは、レンブラントと並び、オランダ黄金時代の肖像画で最も有名なアーティストです。
オランダ黄金時代の肖像画の特徴は、黒い服に黒い帽子の正装姿です。右手に剣を持って、凛々しいポーズをとっているこちらの作品は、織物商人だった Willem Van Heythuyzen を描いた1625年の肖像画です。ミュンヘンの Alte Pinakothek 所蔵の作品です。

幸せそうなカップルを描いたこちらは、1622年に描かれた肖像画、Marriage Portrait of Isaac Massa and Beatrix van der Laen です。ばっちりとポーズを決め、現在のウェディングフォトのようなハッピーな雰囲気の作品です。Isaac Massa は、穀物やシルクなどの商人だった人物です。

オランダ黄金時代によく描かれていたのが、集合写真のようにたくさんの人々が登場するグループ肖像画です。グループ肖像画で最も有名な作品にレンブラントの夜警がありますが、そんなグループ肖像画の先駆者的な存在だったのが実は、フランスハルスです。

スペインから独立を求めて長期間に渡り戦争が続いていた17世紀前半のオランダでは、自警団や市民軍事組織などが街の防御を担っていました。こちらは、アムステルダムの自警団を描いた 1633-1637年頃のグループ肖像画、The company of Captain Reinier Reael and Lieutenant Cornelis Michielsz. Blaeuw, known as the ‘Meagre Company’ です。それぞれの人がそれぞれのポージングで表情豊かに生き生きと描かれています。
フランスハルスの作品のほとんどは、ハーレムで描かれましたが、こちらは、珍しくアムステルダムまで出向いて描いた作品で、結局完成には至らず、最終的には、別のアーティスト、Pieter Codde が仕上げを行い完成に至りました。アムステルダム国立美術館所蔵の作品で、通常は、レンブラントの夜警の近くに展示されています。

ハルスは、いくつものグループ肖像画を描きましたが、最初の作品となったのが、こちらの地元ハーレムの市民軍事組織を描いた 1616年の作品、A Banquet of the Officers of the St. George Militia Company です。それぞれが個性的に描かれた見ていて楽しいグループ肖像画です。ハーレムのフランスハルス美術館所蔵の作品です。

肖像画と風俗画の境目のような生き生きとした作品が特に印象的です。
美しいドレスを身にまとった小さな少女とナニーさんを描いた、1619‐1620年頃の作品、Catharina Hooft with her Nurse。ベルリン美術館所蔵の作品です。

ロンドンのウォレス・コレクション所蔵、1624年に描かれた『微笑む騎士』(Laughing Cavalier)。今にも動き出しそうな臨場感です。

1626年作の『がいこつを持つ若者』(Young Man with a Skull)、ロンドンのナショナルギャラリー所蔵の作品です。

ルーヴル美術館所蔵、1628年作、『ジプシーの少女』(The Gypsy Girl)。

ベルリンの絵画館 (Gemäldegalerie) 所蔵、ハーレムの街の外にあったホスピスに住んでいた女性、Malle Babbe を描いた 1633-1635年頃の作品。女性の肩にとまっているフクロウが印象的です。

フランスハルスの作品と言えば、そのほとんどが人物が主題となっている作品ですが、中には、より背景にこだわった作品もあります。そんな作品の一つが、フルーツと野菜売りを描いた1630年の作品、Fruit and Vegetable Seller です。フルーツと野菜が全体的にバランスよく美しく並べられている所がポージングにこだわりがあるハルスらしい作品です。

特別展の最後に飾られているのが、ハルスの晩年、1664年に描かれた養老院の理事たちのグループ肖像画、Regentesses of the Old Men’s Almshouse です。こちらもハーレムにある、フランスハルス・ミュージアム所蔵の作品です。

展示の最後には、フランス・ハルス展にちなんだ色々なグッズが販売されています。

アムステルダム国立美術館のフランス・ハルス展は、2024年6月9日までの開催で、その後は、2024年7月12日から11月3日までは、ベルリンの絵画館、ゲメールデガレリー (Gemaldegalerie) で開催されます。アムステルダム国立美術館の前は、ロンドンのナショナルギャラリーでフランスハルス展が開催されていました。

アムステルダム国立美術館、デンハーグのマウリッツハイス美術館は、レンブラントやフェルメールをはじめオランダのアートや工芸作品がたくさん展示されている見どころの多い人気ミュージアムです。フランス・ハルスの作品は、しばらくの間、ヨーロッパ各地を巡回する特別展のために通常のギャラリーでは見られなくなっています。

アムステルダム国立美術館の見どころ 回り方 レンブラント フェルメールはじめ有名作品がたくさん Rijksmuseum

マウリッツハイス美術館 見どころ 有名作品 デン・ハーグのお屋敷でフェルメールらオランダ絵画の傑作鑑賞 Mauritshuis

フランス・ハルスの作品は、レンブラントやフェルメールをはじめ多くの オランダ黄金時代 のアーティストの作品と共に、ニューヨークの メトロポリタン美術館 でも見ることができます。

フランスハルス特別展 アムステルダム国立美術館!生き生きとした肖像画で知られるオランダ黄金時代の巨匠の大回顧展 was last modified: 5月 19th, 2024 by mikissh