ニューヨークのお屋敷ギャラリー グロリアクラブでシャーロックホームズ特別展開催中!コナンドイル直筆の遺品 Grolier Club

ニューヨークのアッパーイーストサイドに、グロリアクラブ (Grolier Club) という、お屋敷ギャラリーにて、現在、シャーロック・ホームズ (Sherlock Holmes) の特別展が開催中です。Grolier Club は、ミッドタウン近く、60ストリートのタウンハウスにある、1884年に設立された歴史ある本好きのためのクラブです。クラシックなお屋敷風の館内には、図書館やギャラリーがあり見学できます。図書館内にあるメインギャラリーでは、20世紀初頭前後に世界を席巻し、現在まで多くの推理小説に影響を与えて来た名作、シャーロックホームズシリーズの有名作品に関するコレクションや、シャーロックホームズの著者である、コナン・ドイル (Arthur Conan Doyle) 直筆の手紙など、シャーロックホームズにまつわる221点もの本、雑誌、イラスト、写真、海賊版など様々なアーティファクトが展示されています。

セントラルパークにも近い、ニューヨークのアッパーイーストサイドの 60ストリート (マディソンアヴェニュー & パークアヴェニュー) のタウンハウスには、今、シャーロックホームズの大きな旗が掲げられています。通りがかりに見つけて、何だろう?と思い立ち寄ってみたのですが、現在、ここで、シャーロックホームズの特別展、Sherlock Holmes in 221 Objects が開催されていました。

建物の中に入ってみると、クラシカルなお屋敷のような雰囲気で、1884年に設立された歴史ある本好きが集まる民間クラブ、グロリアクラブ (Glorier Club) の拠点となっています。

ロビーには、様々な本が並べられている他、Glorier Club の初代会長だった、Robert Hoe III の肖像画なども飾られ、落ち着きのある空間です。Robert Hoe IIIは、アメリカで、19世紀に設立された出版社、R. Hoe & Company の三代目社長だった人物です。

1階のロビーの奥には、クラシカルな雰囲気の図書館があり、期間限定で特別展を行うギャラリーにもなっています。
ところで、グロリア (Glorier) という名前は、愛書家として知られる、16世紀にフランス宮廷などで活躍したフランス人、Jean Grolier de Servières にちなんで名付けられています。図書館には、そんな Grolier とルネサンス期のベネチアの出版社、Aldine Press で知られる Aldus Manutius の様子を描いた、20世紀初頭前後に活躍したフランス人アーティスト、François Flameng の絵画が飾られています。

グロリアクラブ (Grolier Club) は、1階の他、階段を上った2階にもギャラリーがあります。階段にも、センスよく写真や絵画が飾られていて、お屋敷にやって来た気分です。

2階では、クラシカルなインテリアや暖炉などがあるリビングルームのような部屋がギャラリーになっていて、こちらでも期間限定で様々な展示が行われています。

今年2022年の1月中旬から4月16日まで、Grolier Club の一階、図書館のギャラリーでは、シャーロック・ホームズ展が開催されています。
ミステリー小説の先駆者には、モルグ街の殺人で知られる、19世紀前半にアメリカで活動した エドガー・アラン・ポー (Edgar Allan Poe) がいますが、そんなポーに続く巨匠と言えば、20世紀初頭前後に、名探偵シャーロック・ホームズを生み出し、大人気となったイギリス人作家、コナン・ドイル (Arthur Conan Doyle) です。シャーロックホームズの本や映画、ドラマを見たことがあるという人は、世界中でとても多いと思います。お馴染み名探偵コナン君の名前は、コナン・ドイルに由来しています。
シャーロック・ホームズのファンは、もちろん、推理小説の古典ということで、ミステリーファンにもおすすめです。入場無料ですが、事前予約 が必須となっています。

展示は、シャーロックホームズシリーズの代表作の本、雑誌、イラスト、ポスターなどを中心に、その他、劇場版、著者であるコナン・ドイル直筆の手紙、海賊版など様々なアーティファクトが展示されています。
シャーロックホームズの一作目となったのが、『緋色の研究』 (A Study in Scarlet) です。シャーロックホームズシリーズでは、ホームズの活躍を助手のワトソンの視点から描くスタイルで、描かれていることが多いです。
『緋色の研究』が、1887年、初登場した雑誌、ビートンのクリスマス年鑑や、その後出版された本などが展示されています。

2作目となったのは、アメリカの雑誌、リピンコットに依頼され執筆した『四つの署名』 (The Sign of Four) です。1890年に出版されました。

こちらが『四つの署名』が初めて披露された雑誌『リピンコット』(Lippincott) です。フィラデルフィアの出版社、J. B. Lippincott により、19世紀後半から20世紀初頭まで発行されていた月刊誌です。

コナン・ドイルは、『緋色の研究』『四つの署名』などの長編小説とは別に、シャーロック・ホームズが登場する短編集も描いています。1891年から1892年にかけて、『シャーロックホームズの冒険』、1892年から1893年にかけて『シャーロックホームズの思い出』が執筆されました。『シャーロックホームズの思い出』の最後の作品、最後の事件で、ホームズは、宿敵モリアーティ教授と共にライヘンバッハの滝へ転落し死亡してしまいます。

イギリス版とアメリカ版それぞれのセクションに分かれて大きく展示されていたのが、8年ぶりに、シャーロックホームズが登場することになった、1901年に出版された『バスカヴィル家の犬』(The hound of the Baskervilles) です。ホームズは、1893年の最後の事件で亡くなりましたが、その絶大な人気から久しぶりに復活し、最後の事件以前のホームズの活躍が描かれるストーリーです。

イギリスが派手な感じになっていて(写真上)、アメリカが地味な感じになっている(写真下)当時のイギリスとアメリカの広告のイラストの雰囲気が違うのが面白いです。

『バスカヴィル家の犬』で、シャーロックホームズの完全復活を期待していた人は、ガッカリしてしまったようですが、それから数年後、とうとうシャーロック・ホームズが帰ってくることになりました。その作品が、1993年から1994年にかけて短編集として執筆された『シャーロックホームズの帰還』(Return of Sherlock Holmes) です。コナン・ドイルは、人気が一人歩きしてしまったフィクションのキャラクター、シャーロックホームズを死なせることで、一作家としてバラエティに富んだ作品を手掛けようとしていたのですが、結局、ホームズを復活させるという条件で、アメリカの雑誌社、Collier’s から破格の執筆料を提示され、描いたのが、『シャーロックホームズの帰還』という短編集でした。アメリカでは、Collier’s、イギリスでは、Strand の雑誌で出版されました。

シャーロックホームズの作品のイラストを手掛けた、Frederic Dorr Steele の原画も展示されていました。 

小説シャーロックホームズシリーズは、大人気となり、劇場でも公開されていました。アメリカで、シャーロック・ホームズを演じていたのは、William Hooker Gillette で、そんな劇場版の宣伝ポスターなどが展示されています。

コナン・ドイルの直筆の手紙の数々も展示されています。

シャーロックホームズシリーズは、「聖書に次ぐベストセラー」と呼ばれるほどの大ヒット作品で、たくさんの海賊版も出版されました。そんな本の数々も展示されています。

シャーロックホームズを読んでみたくなったら
英語版が こちら で全シリーズが無料で公開されています。

日本語版も本が出ています。
・ シャーロック・ホームズの冒険
・ 緋色の研究
・ バスカヴィル家の犬
・ シャーロック・ホームズの帰還
など。

今回の特別展に行って、私もシャーロックホームズの本を久しぶりに読み返してみたくなりました。


グロリアクラブのお屋敷の2階にも行くことができ、そちらでも特別展が開催されています。
“Photographs at the Edge: Vittorio Sella and Wilfred Thesiger” と題された展示が行われていて、険しい雪山や砂漠などアドベンチャーな写真が展示されています。

2階のギャラリーは、リビングルームのような感じで、椅子が配置されていたりと、くつろぎながら休憩もできるスペースになっています。

タンスのような引き出しを開けてみると、面白いデザインの箱も展示されています。

グロリアクラブ Grolier Club
47 E 60th St, New York, NY 10022 地図

シャーロック・ホームズと言えば、ロンドンのベーカー街に住んでいた設定になっていますが、ベーカーストリートには、シャーロックホームズのミュージアムがあったり、最寄りの駅前には、シャーロックホームズ像が立っています。

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ちなみに、ニューヨークのブロンクスには、エドガー・アラン・ポーが住んでいたコテージもあり、こちらもミステリーファンに面白いと思います。

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ニューヨークのお屋敷ギャラリー グロリアクラブでシャーロックホームズ特別展開催中!コナンドイル直筆の遺品 Grolier Club was last modified: 10月 19th, 2023 by mikissh