グッゲンハイム美術館 ジャクソンポロック特別展

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ニューヨークのアッパーイーストサイド、セントラルパークに面したミュージアムマイル沿いで一際目立つミュージアム、グッゲンハイム美術館は、10月3日に再開しました。館内の人数制限のため時間指定チケットの事前購入と、体温チェック、マスク着用など、ウィズコロナの特別ルール下でのリオープンです。再開後のグッゲンハイム美術館で、新たにスタートしたのが、ジャクソン・ポロック (Jackson Pollock) の特別展です。ジャクソン・ポロックは、グッゲンハイム家のペギー・グッゲンハイム (Peggy Guggenheim) がパトロンとなり、1950年代にニューヨークで一躍隆盛となった抽象表現主義を代表するアーティストで、20世紀を代表するアメリカ人アーティストの一人として、今もとても人気があります。

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ニューヨークの人気ミュージアム、グッゲンハイム美術館は、アッパーイーストサイド、セントラルパーク横の五番街で一際存在感のある近未来的な曲線の美しい建物です。20世紀前半を中心に活躍したアメリカの著名建築家、フランクロイドライトがデザインし、1959年に完成した建物で、昨年から フランクロイドライトの建築群の一部として世界遺産に なっています。
ニューヨークでは、8月下旬以降、ミュージアムが順次再開していますが、3月中旬以降、長期間の閉鎖が続いていた、グッゲンハイム美術館も、とうとう10月3日に再開しました。グッゲンハイム美術館へ入場する時の新しいルールとしては、時間指定チケットの事前購入・予約が必須となり、入館前には、体温チェックが行われるようになりました。

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メインの Countryside, The Future をはじめ、多くの展示は、3月の閉鎖時からそのまま継続されていますが、新たにはじまったのが、1950年代にニューヨークをアートの中心に押し上げた抽象表現主義を代表するアーティストとして知られる、ジャクソン・ポロック (Jackson Pollock) の Away from the Easel: Jackson Pollock’s Mural と題された特別展です。

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ジャクソン・ポロックと言えば、1950年前後からはじめた、アクションペインティングによる吹き流した感じのドリッピングの作品が有名です。それ以前は、ちょうど今、ホイットニー美術館で、メキシコ壁画運動をテーマとした特別展 が開催されていて、ジャクソン・ポロックの昔の作品も並んでいますが、メキシコ壁画運動を代表するアーティスト、オロスコ (José Clemente Orozco) や シケイロス (David Alfaro Siqueiros) らの影響を強く受けた、シューレアリスム的な作品を描いていました。そんなポロックの一大転機となったのが、1943年、グッゲンハイム美術館の創設者、Solomon R. Guggenheim の姪に当たり、著名なアートコレクターだった、ペギー・グッゲンハイム (Peggy Guggenheim) とのギャラリー契約です。そして、ペギー・グッゲンハイムさんの部屋に飾る大きな壁画の制作を依頼され、ポロックが描いたのが、こちらの Mural と題された作品でした。ペギー・グッゲンハイムさんの寄贈により、現在アイオワ大学のコレクションとなっている作品で、ニューヨークにやって来るのは、20年以上振りだそうです。

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よく見てみると、色々な動物が見えてくる面白い作品です。ポロックの作品には、あまりサインがありませんが、パトロンに依頼された初めての作品という事で、全身全霊を込めて描いた作品だったのか、Mural には、しっかりとサインがされています。その後のジャクソン・ポロックの成功の道をみていると、当時のアート界の中心にいた、ペギー・グッゲンハイムさんのタウンハウスに絵が飾られたことは、物凄いPR効果があったと思われます。

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こちらも Mural と同時期、1943年に描かれた作品、The She-Wolf。ローマの建国神話に出てくるロムルスとレムスをモチーフとして描いたもので、初の個展に出展された作品で、MoMA が購入し、ポロックの作品の中で、初めて美術館のコレクションとなった作品です。

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その後、1947年頃に、ポロックといえば思い浮かぶ、ドリッピングの作風が確立されました。こちらは、グッゲンハイム美術館所蔵の1949年に描かれた、緑とシルバーが印象的なドリッピング作品で、具体的な対象の姿が見えない、完全に抽象表現的な作品となっています。ジャクソン・ポロックは、1950年前後に絶頂期を迎えますが、メトロポリタン美術館MoMA に展示されている作品も1950年の作品です。

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こちらは、完全な抽象表現から少し離れ、抽象と具象のバランスを変更し、以前の雰囲気に少し戻った感じの1953年の作品、Ocean Greyness です。ドリッピングとは別の新たなスタイルを模索していたのかもしれません。ポロックは、アルコール依存症で、抽象表現主義という新分野を切り拓いたのも束の間、1956年、若干44歳で、アルコールが原因で交通事故死してしまいます。4点のみの展示ですが、ポロックのキャリアの節目となった作品の数々が展示されています。

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ジャクソン・ポロックはこんなアーティストでした。

1950年前後に、ポロックらによって、大きなアートムーブメントとなった抽象表現主義が登場して以降、様々なスタイルの抽象アートが登場して行きます。ポロックの作品群のすぐ隣のギャラリーでは、Knotted, Torn, Scattered: Sculpture after Abstract Expressionism と題された、ミニマリズムの抽象表現アートの展示も行われています。フェルトが特徴の Robert Morris らの作品があり、ディアビーコンのような雰囲気です。両特別展は、2021年9月19日まで開催されています。

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ディアビーコンは、ニューヨークから車で1時間程のハドソン川沿いにある現代美術館で、週末のお出かけ先としても人気があります。

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最上部のギャラリーでは、Marking Time: Process in Minimal Abstraction と題された、1960年から1970年代にかけてのミニマリズム絵画の特別展も行われています。草間彌生さんの Infinity Nets の作品をはじめ、シンプルだけど、色合いや、ユニークなパターンの繰り返しなど独特の雰囲気を醸し出している面白い作品が並んでいます。また、The Fullness of Color: 1960s Painting と題されたカラフルな色合いが特徴のカラーフィールド (Color field) と呼ばれる、1960年代の抽象アートの展示も行われています。

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螺旋状のメインギャラリーでは、グッゲンハイム美術館としては珍しい、Countryside, The Future と題された社会的なテーマの特別展が開催されています。都市部に人が集中し過ぎている、という問題意識から、様々な観点からカントリーサイドの将来について紹介しています。コロナがまだそんなに話題でなかった2月にスタートした特別展で、疫病など公衆衛生の側面には触れられていませんが、カントリーサイドへというテーマの展示で、今絶妙なタイミングで、現実になってきていることに驚きました。コロナが、都市部とカントリーサイドの関係を大きく変え、人々がカントリーサイドに魅力を感じるようになっているのは本当に面白い偶然です。

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コロナ対策で、通常時の25%以下に人数制限されているため、とても空いていて、とても見学しやすくなっています。

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Countryside, The Future の詳細は、こちらです。

グッゲンハイム美術館で珍しい社会派特別展開催中!未来はカントリーサイドに?! Countryside, The Future

人が少ないので、ゆったりと過ごすことができ、普段、なかなか目に付かないような細かい建築の工夫や美しさも色々見えてきます。

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螺旋状のギャラリーの途中にあるミニライブラリーは、閉鎖中です。

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入口近くのギャラリー。普段だと人がたくさんいるのですが、今はほぼ貸し切り状態で悠々と見れます。よくよく見て見ると面白いデザインの建築です。

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出口は、入口とは別になっていて、普段通らない南側からの退出となっています。

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普段は、ミュージアムから出るときにミュージアムショップへ立ち寄ってから帰るのですが、今、人の流れが一方通行になっているため、ミュージアムショップへは、ミュージアムの中からは直接アクセスできず、一旦ミュージアムを出てから、外のお店の入り口からのみ入れるようになっています。

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ウィズコロナの特別ルールで、時間指定チケット が必要となっています。ニューヨークの観光パス シティパス を利用する場合は、予約は必要なく、そのままミュージアムを訪れてパスを見せて入場できます。金曜日と土曜日の午後4時から6時の間は、Pay What You Wish で入場することができます。メンバーや、Pay What You Wish の人も予約が必要となっています。

グッゲンハイム美術館の基本情報は、こちらです。

グッゲンハイム美術館 見どころ有名作品大紹介 NY世界遺産の近代アートミュージアム

楽しい週末を♡

グッゲンハイム美術館 ジャクソンポロック特別展 was last modified: 5月 26th, 2024 by mikissh