メトロポリタン美術館 と クロイスターズ美術館 の両館で現在ファッションインスティテュートの特別展、Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination が開催されています。毎年恒例のメトロポリタン美術館のファッションの特別展、今年のテーマはカトリックのファッションということで、テーマを聞いたときは意外で驚きましたが、実際訪れてみると、予想を超える素晴らしさで感動の連続でした。通常、メットのファッション展は、メトロポリタン美術館の本館のみですが、中世ヨーロッパアートを専門としたクロイスターズにも素晴らしい展示があり、合わせて訪れてみるのがおすすめです。
Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination
メトロポリタン美術館で、毎年大きな注目を集める特別展が、Met Gala を機に、はじまるコスチュームインスティテュート (The Costume Institute) によるファッション展です。昨年は、日本でもお馴染みの、コムデギャルソンの 川久保玲さんの特別展 でしたが、今年のテーマは、昨年とはすっかり変わったカトリックをテーマとしたファッション展、”Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination” で、5月10日から10月8日まで開催されています。
メトロポリタン美術館の中世アートのコーナーが、カトリックの世界に包まれます。
凛としたファッションから
なんとも可愛いおしゃれなファッションまで。
斬新さに目が釘付けになります。
テーマは天使。
司教など聖職者たちの服もファッションという世界で表現できるものがあることに目から鱗が落ちるものがありました。おそらく仏教の世界にも一般には公開されていない、こういう素晴らしいものがたくさんあるのかもしれません。今回のメトロポリタン美術館のファッションインスティチュートの特別展のテーマは、何年も前から温めてきた企画で、当初は、世界の五大宗教をテーマにしたファッション特別展を開催するというアイディアだったそうです。けれど、アメリカのファッションデザインというと、どうしてもカトリックに関連するものが圧制となってしまうため、反論を覚悟で思い切ってカトリックのファッションをテーマにしたようです。
美し過ぎるドレスの数々。
中世ヨーロッパは、まさに王家とカトリックが中心の世界。王家のような衣装にも神聖な雰囲気が感じられます。
中世アートのセクションの奥にある、印象派の絵なども並ぶ奥の展示ルームにも Heavenly Bodies の展示は続きます。周囲の展示と合わせ、今までとは違うカラフルな世界が広がります。
天使のような美しいドレスのコレクションです。
メトロポリタン美術館内の Heavenly Bodies の特別展会場は大きく分けて二つあり、貴重な品々が厳重に管理されて展示されているのは実はもうひとつの会場である、The Costume Institute のアナウィンターコスチュームセンター (Anna Wintour Costume Center) のギャラリーの方です。メイン会場から少し離れた、エジプト展示セクションの下の階という、隠れた場所にあるので、見忘れてしまう人も多いのかもしれませんが、こちらの方が空いていて静かにゆっくりと鑑賞できる落ち着いた空間になっています。バチカンからやって来た歴史的な遺品の数々はため息が出るほど美しいものばかりで、この貴重な機会に感謝するのみです。あまりに美しい繊細なものがいっぱいで、うっとりしてしまいますが、残念ながら写真撮影は禁止となっています。そんな素晴らしい展示の様子は、こちらの映像で見ることができます。
クロイスターズ美術館の特別展 Heavenly Bodies
メトロポリタン美術館の Heavenly Bodies の特別展を見て、興奮の余韻が冷めないうちに、クロイスターズ美術館の方も訪れてみました。メトロポリタン美術館の会場とはまた違う、中世ヨーロッパの雰囲気溢れるクロイスターズ美術館ならではの展示で、とても素晴らしいものとなっています。
クロイスターズ美術館は、メトロポリタン美術館からバスで一時間ほど行ったところにある、緑豊かなニューヨークとは思えないような美しい中世の雰囲気が広がる素敵な美術館です。今回のカトリックをテーマにした特別展の会場としてはこれ以上にないくらい素晴らしくマッチした場所で、想像以上の見応えのある展示となっています。
クロイスターズの中庭のスペースにもファッションが並び、どれもこれも目を奪われる展示ばかりです。
クロイスターズ美術館は、何度も訪れている美術館ですが、今回は今までにない感動とワクワクがありました。常設の美術館の展示の中に、今回のファッション展をコラボさせて、紛れ込ませる展示のため、いつもとは少し違う雰囲気となり、新しいファッションの展示が映える一方、いつも見ている作品にもまた違った印象が感じられます。
普段は何もないところに、ファッションが隠れていたりして、ワクワクします。
音楽とドラマティックな演出の展示が素敵です。
そして、真ん中に堂々と展示されているのは、クロイスターズの雰囲気にマッチした聖職者風の衣装です。
修道女風なファッションも。
クロイスターズ美術館の名作のひとつ、ユニコーンのタペストリーのお部屋も、真ん中がクールなファッション展示スペースに。
クロイスターズの騎士が眠る部屋に突如現れた美しい女性像。こちら側から見ると美しい女王のようですが、反対側から見ると、鎧をまとう強い女性像が見られます。すべてはファッションで表現されているのです。
左側の赤ちゃんを抱く聖母の像は、クロイスターズ美術館の常設の展示品ですが、その横に、赤ちゃんを抱っこする聖母のデザインのドレスが並び、ステンドグラスからこぼれる日の光に照らされてとても神々しいのです。
メトロポリタン美術館とクロイスターズ美術館で開催中の Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination は、下記映像でバーチャル体験できますが、美しいドレスが集結した、非常に面白い、とてもおすすめの特別展です。2018年10月8日までの開催です。
メトロポリタン美術館のファッション展は毎年とても楽しみにしています。過去に訪れた時の記事は以下になりますが、どの特別展も素晴らしいものばかりでした。
2015年 China: Through the Looking Glass
2016年 Manus x Machine: Fashion in an Age of Technology
2017年 Rei Kawakubo / Comme des Garcons: Art of the In-Between
メトロポリタン美術館とクロイスターズ美術館の行き方と、各美術館の見どころはこちらをどうぞ。