ソーホーの石畳の通り道にニューヨーカーに人気のとても雰囲気のいい、ブックストア・カフェがあります。このお店はただのブックストア・カフェではありません。すばらしい社会貢献システムのブックストア・カフェでもあるんです。社会貢献できる古本屋さんというわりには、利用者もお店で働いている人も学生のような比較的年齢層の若い世代が多い印象です。このお店で働いている人たち、そして、並んでいる商品も、実はすべて無償で集めています。というのも、商品は、寄付で集まったものばかり、そして、お店の従業員さんたちは、ボランティアで働いているんですね。この忙しい街ニューヨークで?!って本当驚いてしまいますが、この忙しい街ニューヨークだからこそ、みんな自分のできる精一杯のことをしているんですね。こんなに活気があるハウジングワークスという NPO は、いったいなんなのでしょうか?
ハウジングワークスは、ホームレスやエイズの人たちの救済活動をしている非営利団体です。ブックストア&カフェの他に、実はすぐお隣には、スリフトショップ(Thrift Shop)も運営しています。スリフトショップとは、寄付で集めた衣類や小物、または、家具や家電、食器などを売るお店です。ハウジングワークスの支店はニューヨークに何店舗かあるのですが、ソーホーのブックストア・カフェのお隣のスリフトショップは、衣類や靴、かばん、スカーフなど小物類を中心に取り扱うお店で、お店の中は、そんなおしゃれものを安く仕入れようと、お客さんが集まってきています。それぞれのお店でお客さんのターゲットを絞った、個性的な品揃えにしているようで、確実にお客さんの心をとらえているのがすごいと思います。
週末の本屋さんもとても繁盛している様子です。本のセレクションもなかなかいいと評判で、本好きさんを集めています。ミケランジェロの大全集なんていうレアな本が目に付きましたが、この本屋さんの品揃えはなかなかのレア揃いでおもしろいと思います。
コミックもいっぱいあります。
子供用の本ももちろん揃っています。
2階建てになっている本屋さんの作りも、とてもセンスがよくいい雰囲気です。
ハウジングワークスと言えば、数年前にとても話題になったことがありました。バンクシーという、世界的にも騒がせている正体を明かさない、超有名グラフィティアーティストが、数年前にニューヨークを訪れたときに、23ストリートにあるアートも取り扱うハウジングワークスのスリフトショップに行ったのです。そして、バンクシーは一枚の絵を購入し、その絵に自分の絵を描き加え、再び同じお店へ絵を寄付しました。
もちろん、匿名で寄付をしたのですが、絵にはしっかり彼のサインが残されていて、店頭に飾ったところ、すごいたくさんの人々が見に訪れ、話題となりました。そして、その絵をオークションにかけたところ、とんでもない値段がついたのです。もともとバンクシーはその絵を50ドルで購入しました。彼が描き加え、オークションにかけられた絵は、なんと$615,000 (6000万円以上)の値段がついたのです。そんな奇跡的なこともあるんですね。バンクシーのブランド力にはあたらめて感心させられます。
バンクシーに興味がある人は、以前、こちらで紹介したのでどうぞ。
ミスター ブレインウォッシュ Mr. Brainwash のストリートアートの世界 ニューヨーク ハイラインの隠れ人気ギャラリー Life is Beautiful!
ハウジングワークスの本屋さんの中にあるカフェもいつもお客さんがいっぱいの人気スポットです。コーヒーなどのドリンクや、ちょっとした軽食が、良心的なお値段で買えます。席もお店の空間もいい感じなので、ゆっくり本を読みながらくつろいでいる人が多いです。
ハウジングワークスの本来のミッションは、エイズの人々を救済すること。スリフトショップやブックストア、カフェなどは、そのための資金集めの手段です。ビジネスセンスがあるようで、お店は成功していて、そこでの利益は、全て患者さんのために使われています。患者さんたちの入居施設を運営していて、安倍総理夫人も視察に訪れたことがあるそうです。
このような、アメリカの工夫を凝らした社会貢献活動と、その活動へのサポートのあり方には、いつも感動させられます。その上手く工夫された仕組みが世界に広がれば、もっともっと多くの人々を助けることができ、よりよい世の中を築いていくことができるようになる、そう信じてしまえるほどのすばらしいものがあります。
Housing Works Bookstore Cafe
126 Crosby St, New York, NY 10012 MAP