話題のドラマ『ギルディド・エイジ』の舞台 ニューヨークの豪邸 グレンビューお屋敷ツアーとハドソンリバーミュージアム

ニューヨーク周辺には、ギルディドエイジ (Gilded Age) と呼ばれる、アメリカが急成長を遂げた19世紀末に建てられた、歴史ある豪邸が点在しています。今年は、HBO で、ギルディドエイジ時代をテーマにしたドラマシリーズ『The Gilded Age』(ギルデッド・エイジ -ニューヨーク黄金時代)が公開され、ニューヨークやその周辺の歴史ある建物が登場し注目を集めています。ドラマに登場した歴史ある建物の一つが、NYCからも訪れやすい、ヨンカーズ (Yonkers) にある、グレンビュー (Glenview) マンションです。グレンビューマンションは、ハドソンリバー派の作品をはじめ様々なアート作品で知られる美術館、ハドソンリバーミュージアム (Hudson River Museum) の一部となっていて、お屋敷内部は、ツアーで見学することができます。

ハドソンリバーミュージアム (Hudson River Museum) は、ブロンクスの北側、ウエストチェスターカウンティの一部である、ヨンカーズ (Yonkers) にある美術館です。設立は、1919年と長い歴史がある、ウエストチェスターで最も古いミュージアムで、1929年から、グレンビュー (Glenview) がある現在の場所に移り、1948年からハドソンリバーミュージアム (Hudson River Museum) として運営されています。ミュージアムでは、アート鑑賞の他、グレンビューマンションのお屋敷ツアー、プラネタリウム、子供用のアート体験コーナーなど色々な楽しみ方ができます。

ハドソンリバーミュージアム (Hudson River Museum) があるのは、ハドソン川が見渡せる高台の公園、トレバーパーク (Trevor Park) 内で、ニューヨークから公共交通機関で訪れることができます。
ハドソンリバーミュージアムへの行き方は、一番最寄りの駅が、メトロノースのハドソンライン、グレンウッド (Glenwood) 駅です。グランドセントラル駅から35分、下車後、徒歩10分で簡単に行くことができます。

または、ブロンクスから Bee-Line と呼ばれる、ウエストチェスターのバスで訪れることもできます。ニューヨークの地下鉄1番線の最後の駅、Van Cortlandt Park–242 St で、Bee-Line に乗り換えます。ちなみに、Bee-Line は、今夏、レイバーデーまでの間、特別に乗車無料となっています。

ハドソンリバーミュージアム (Hudson River Museum) は、入口から左手に広がるスペースの1階と吹き抜けの地下の2フロアが、ギャラリーになっていて、コレクション作品を中心に、様々なテーマの企画展や特別展が行われています。
現在、1階のギャラリーの入口付近には、夏らしい海底を描いた涼し気なアート作品が登場しています。こちらは、コロンビア出身で、現在は、マイアミで活動しているアーティスト、Federico Uribe さんによる環境問題をテーマにした、Plastic Reef と題された作品です。プラスチックのゴミを再利用して独特の海底の世界を表現しています。

ハドソンリバーミュージアムのコレクションには、著名アーティストの作品も多くあり、現在は、そんなコレクションを中心とした二つの企画展が行われています。
1階は、“Cycles of Nature” というコレクションのハイライト展が行われていて、抽象表現主義の代表的アーティスト、ポロックの妻としても知られる女性アーティスト、Lee Krasner さんの抽象アート作品、Re-Echo や、ハドソンリバー派アーティストによる風景画などコレクションの代表的な作品が飾られています。

ハドソンリバーミュージアムで一番面白いと思った作品が1階の奥のギャラリーにあるこちら。
まるで絵本の中から飛び出してきたような本屋さんの面白いインストレーションアート、ザ・ブックストア (The Bookstore) です。こちらは、なんと1979年に、ポップアートで知られる、Red Groomsさんにより制作された作品で、途中、リノベーションを挟み、現在も飾られています。

外から眺めているだけでも楽しい本屋さん。本屋さんの中に入ってみると、ワクワクする楽しい空間が広がっています。

The Bookstore の周囲には、ポップアートを中心に20世紀後半の作品が展示されています。こちらは、ブルックリン美術館 の The Dinner Party で知られる、ジュディ・シカゴ (Judy Chicago) の作品です。

ポップアートの代表的アーティスト、アンディ・ウォーホルの魔女をモチーフにした珍しい作品も飾られています。

地下では、Order / Reorder と題された、時代を超えた組み合わせが面白い企画展が開催されています。新旧の作品が、人物などテーマ毎に集めて飾られています。

地下のギャラリーの中央は、吹き抜けになっていて、開放感のある空間になっています。1階から階段、またはエレベーターで移動することができます。

展示の中には、マティスのタペストリーの作品や Marisol Escobar のポスターのような作品など著名アーティストの作品も点在しています。
こちらは、巨大な黒い構造物アートで知られる女性アーティスト、Louise Nevelson さんの珍しいコンパクトな作品です。

自然がいっぱいのハドソンリバーならではの作品で素敵だったのはこちら。なんと大木の一部にハドソンリバー派風の絵が描かれています。ハワイ出身で、ニューヨークのビーコンで活動している日系女性アーティスト、Alison Moritsugu さんの作品です。

地下には、中央のギャラリーの他、奥にもギャラリーがあり、面白い作品が色々飾られていて、楽しめます。

ハドソンリバーミュージアムの入口を入って正面奥のガラス越しには、ヴィクトリア様式の立派な石造りの豪邸、グレンビューマンション (Glenview) が見えます。
ハドソンリバーミュージアムを訪れたら、歴史や建築好きの人には、是非、参加して欲しいのが、ギルディドエイジ (Gilded Age) の初期の頃、1877年に建てられた歴史的なお屋敷、グレンビュー見学ツアー (Glenview Tour) です。

グレンビューマンションは、パークアヴェニューアーモリー をデザインしたことでも知られる当時の著名建築家、Charles W. Clinton さんのデザインの建物で、国家歴史登録財 (National Register of Historic Places) に指定されています。

グレンビューマンションのお屋敷内は、Downton Abbey のクリエイター、Julian Fellowes による、19世紀末のニューヨークを舞台にした話題の HBOの新ドラマシリーズ『The Gilded Age』にも登場しています。

お屋敷の中は、ツアーに参加し、解説を聞きながら1階のお部屋を見学して回ることができます。グループツアーは、各回15名限定で、週末は、午後1時と3時、木曜と金曜は、午後1時に行われています。グレンビューツアーのチケットは、こちら から。

時間になったら、ガイドさんを先導に、お屋敷内へと向かいます。お屋敷内に入ると、外とはすっかり別世界で、タイムスリップしたような感覚になります。
玄関を入ると、グレートホール (The Great Hall) と呼ばれる広いスペースが広がっています。有名な発明家、トーマス・エジソンの家 など色々な場所で見たことがある光景で、19世紀後半の典型的なスタイルです。

グレンビューマンションは、19世紀中頃から後半にかけて、ウォール街の証券ブローカー業で財を成した、John Bond Trevor さんのお屋敷です。廊下には、John Bond Trevor さんの肖像画が飾られています。ハドソン川沿いには、既に19世紀中頃から、ハドソンリバーレイルウェイにより、鉄道が開通していて、なんとマンハッタン間を鉄道で行き来することができました。

John Bond Trevor さんが、1890年に亡くなった後も、しばらく家族はこのお屋敷に住み続け、最終的には、1922年に引っ越しのため、オークションにかけられます。そこで、ヨンカーズ市が、ミュージアム用にお屋敷を取得することになりますが、家具その他のオリジナルのインテリアの多くは、そこで売却され、失われてしまいました。現在のインテリアは、点在するいくつかの家具やタイルなどのオリジナルを含め、残りは、写真など当時の資料を元に再現されたものです。
豪邸の大切な役割は、人々を招き、もてなすための舞台で、1階は、主に、パーティ会場用にデザインされています。玄関右手には、人々が集い、歓談する憩いの部屋、イギリス風のパーラー (The Parlor) があります。

玄関の左手には、黒い本棚が印象的なクラシカルな雰囲気の書斎 (Ebony Library) があります。キャビネットは、ドイツ出身で、フィラデルフィア拠点の当時の有名家具職人、Daniel Pabst によるものです。

男性的な雰囲気の書斎の隣には、ガラっと雰囲気が違う、女性的な雰囲気の明るい Sitting Room があります。

大きな窓からは、緑いっぱいのお庭とハドソン川の対岸のパリセイドの崖 (The Palisades) が見えます。

Sitting Room のお隣へ行くと、クラシカルな雰囲気のダイニングルームがあります。こちらの部屋にも、Daniel Pabst のサイドキャビネットなどオリジナルの家具が残されていて、相手へ思いやりの大切さを説く、イソップ童話のきつねとつるのお話の絵が描かれています。

当時ビリヤードやゲームなどを楽しむ娯楽用スペースだった Billiard Room は、Nybelwyck Hall Dollhouse と呼ばれる豪華なドールハウスの展示スペースになっています。24もの部屋からなる贅沢なドールハウスで、それぞれのお部屋にストーリーがあります。インテリアデザインもすばらしく、手間暇かけて作られたファンタジーの世界が広がっています。

廊下には、趣ある階段があり、お屋敷らしい雰囲気を感じることができます。上階は開放されていないため、見学できるのは、一階のお部屋のみとなります。

上を眺めてみると、3階まであり、美しい空間が広がっています。2階、3階の部屋は、復元されておらず、オフィスなどに使用されています。お屋敷のハイライトは、こちら でも紹介されています。

ハドソンリバーミュージアムには、プラネタリウムもあります。
週末には、一日数回、違う内容の作品が上映されています。プランタリウムの周りには、宇宙をテーマとしたアーティファクトやアート作品が展示されています。

ハドソンリバーミュージアムの入口右手の建物へ行くと、キッズ用の体験型のコーナーになっています。この日は、キャンパスに向かって自由に抽象画のアートを描く体験でした。

ミュージアムショップもあります。

お屋敷ツアー、プラネタリウムの他、外には円形劇場もあり、コンサートなど様々な特別イベントも開催されています。スケジュールは、こちら です。
ハドソンリバーミュージアムの見学所要時間は、お屋敷グレンビューツアーも含めて、2時間程見ておくといいと思います。

Hudson River Museum
511 Warburton Ave, Yonkers, NY 10701 地図

ヨンカーズの北側、タリータウン (Tarrytown) にある、同じく『The Gilded Age』で登場した、 Lyndhurst Mansion、ロックフェラーの大邸宅、Kykuit なども合わせて訪れてみるのもいいと思います。『The Gilded Age』には、キャッツキルズ近くの歴史ある街、トロイ も登場します。

ギルデッドエイジの豪邸に興味がある人は、ニューヨークでは、例えば、モルガンライブラリークーパーヒューイットデザイン博物館 など訪れてみるのもおすすめです。
少し足を伸ばすと、当時競い合って建てられた大変豪華な豪邸がたくさん並ぶ街、ロードアイランド州の ニューポート もあります。夏の旅行のおすすめスポットです。

ニューポート観光 豪邸巡りが楽しい ロードアイランド州の別荘地に夏旅行!

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