アメリカでは、ここしばらくインフレが続いていますが、インフレの始まりの年 2022年以降大きな注目を集めてきたのが、アメリカ財務省による低リスクのインフレヘッジ預金用債券、Series I Savings Bonds です。I-Bonds は、年に2回、5月と11月に、半年間の金利とインフレ率に応じて、利率が変更されます。I-Bonds の史上最高金利となったのは、2022年5月の9.62%でした。その後のインフレ対策による利上げにより、インフレが落ち着いてきたこともあり、インフレ連動預金用債券 I-Bonds の年利はどんどん下がってきています。
今回 2024年5月の更新では、固定金利部分は前回同様 1.3% となり、全体としては、利率 4.28% になり、再び年利は低下しています。
アメリカで、インフレが顕著に感じられた2021年の秋から2022年の春にかけて、注目を集めたのが、アメリカ財務省が提供している、インフレヘッジ預金用債券の Series I Savings Bonds です。利率が、半年間の金利とインフレ率のベンチマークとして都市部の消費者物価指数 (CPI-U) に応じて変更されます。
ゼロ金利下、2021年11月は、年利7.12%となり話題になりましたが、一昨年2022年5月の更新では、さらに上昇し、9.62% の史上最高金利となりました。
その後、急激な利上げ効果もあり、落ち着きつつあり、2022年11月は、6.89%、2023年5月は、4.3% と下がって来ていましたが、2023年11月の更新では、年利5.27% と再び上昇に転じましたが、今回 2024年5月の更新では、4.28% と再び低下しています。
固定金利部分は、2023年5月は 0.9% で、2007年以来の最高値となっていましたが、2023年11月からは、さらに上昇し、1.3% となっています。固定金利部分は、その後のインフレ率に関わらず、満期までの30年間継続されます。
急激な利上げにより、現在、フェドレートが 5%以上に達しているため、 Treasury Bill や、預金口座、CD の利率もかなり上がって来ています。そのため、短期的な預金先として1年以上前に I Bonds を購入した人は、そろそろ預金先の移動をを考えている人も多いかもしれません。インフレ連動預金用債券 I Bonds の解約は、5年以内の解約の場合は、ペナルティとして3ヵ月分の利子が差し引かれてしまいます。それを織り込んでも他により良い預金先があれば移すのもありかもしれません。
固定金利 1.3% にインフレ部分を足して年利 4.28% となるのは、I Saving Bond を 2024年5月から2024年10月末までに購入した人だけです。それ以前に購入した人は、購入時期によって固定金利部分が異なります。例えば、最高利率になった、金利 9.62% の時に購入した人の場合は、固定金利部分が0.0%のため、現在は、インフレ部分のみ利子が付くこととなり、最終的に年利 2.96% にしかなりません。そのため、そろそろ引き出して、高金利の預金先に変える人も多いと思います。
インフレ連動預金用債券 I Bonds で貯まった利子部分にかかる税金は、毎年払いを選択していない場合は、引き出した年度に発生することになります。
利上げは、ここしばらく行われておらず、様子見状態で、6月中旬の FOMC でも変動なしが予想されています。
ちなみに、固定金利 1.3% 付きの I Saving Bond は、ある意味魅力的な商品でもあります。
I Bond は、年利4.28% で、現在の Treasury Bill や CD などと比べると見劣りしてしまいますが、長期的な預金先としては、固定の金利部分が 1.3 % と高いので、今後インフレが再燃したり、デフレになって、金利が再びゼロに戻るような状況を想定するならば、いい預金先と言えると思います。民間の金融機関は破綻する可能性がありますが、I Bonds は、米財務省の商品なのでより安心感はあるかもしれません。
ところで Series I Savings Bonds ってどんなもの?の詳細については、こちらで紹介しています。