メトロポリタン美術館では、ポートレート、ファッションフォトグラファーとして活躍した アーヴィング・ペン (Irving Penn) さんの生誕100周年を記念する特別展が行われています。絵画や彫刻などフリーフォームの媒体とは異なり、写真で、その人ならではの個性を出すことはより難しいことだと思いますが、構図といい、ポーズといい、アーヴィング・ペン (Irving Penn) さんの作品を見ると一目で彼の作品だと分かるような個性の強い素晴らしい作品が並んでいます。
アーヴィング・ペン (Irving Penn) さんは、もともとはファッション雑誌 ヴォーグ (Vogue) のカメラマンで、カバー写真の撮影を行っていましたが、後に独立し、広告用写真全般の撮影も行っていました。そのアーティスティックなセンスが評価され、多くのクリエイティブな世界で活躍する著名人、ブランドなどが顧客となっていました。
そのシンプルかつフォームの美しい写真に、見ている方も思わず撮影してしまいます。
素晴らしい構図の設定。
素敵な被写体がより美しく、そして生き生きとした様子が伝わる、最高の瞬間を捉えていて感動する作品ばかりです。
あのパブロ・ピカソまでいます。
オードリー・ヘブバーン。ドレスを着ているわけでもない自然体の姿での撮影なのに、かわいさとウキウキ感が伝わってくる素敵な笑顔の写真です。著名人たちが Irving Penn さんに写真撮影を依頼した気持ちが分かる気がします。
被写体をどう映すか、毎回の試行錯誤のアイディアが楽しいです。
これらの素晴らしい作品を生み出したカメラがこちら。こんなに巨大だと持ち運びも大変です。現在のカメラの進化はすごいです。
浮き上がるようなリアル感がつたわってくるビビットさ。
静物写真でもこんな調子。”Photographing a cake can be art” という彼の言葉が分かる作品です。
世界的に著名な建築家 Le Corbusier。建築でも、ミッドセンチュリーモダンの時代ということで、そんなスタイリッシュさの影響を写真にも感じます。
ファッションと人物写真が有名ですが、世界の様々な文化にも興味があったようで、アフリカやペルーのクスコなどで撮影されたエキゾチックな写真も展示されています。
アーヴィング・ペン (Irving Penn) さんの展示を見てきて、自分も美しい写真が撮りたいと思った人は、こんな撮影スポットも用意されています。行列のできる人気ぶりでした。
ギフトショップも大人気。
少し長いですが、こちらのビデオでは、アーヴィング・ペン (Irving Penn) さんと作品について詳しく解説されています。
アーヴィング・ペン (Irving Penn) さんの特別展は、7月30日まで開催されています。これまでミュージアムなどで写真展をたくさん見てきましたが、写真で人に感動を与えるのはなかなか難しいことだと思います。そんな中、アーヴィング・ペン (Irving Penn) さんの写真は彼らしい統一されたスタンスがあり、アートと呼ぶに相応しい作品群で、写真好きにとてもおすすめの展示です。
現在メトロポリタン美術館で開催中の特別展、アーヴィング・ペン (Irving Penn) 特別展と、川久保玲 / コムデギャルソンの特別展を見ていると、今年のメトロポリタン美術館のテーマと目指している所は、Commercial & Artistic かもしれません。メトロポリタン美術館は今みどころ満載です!