新型コロナウイルスにより、世界中の多くのビジネスが影響を受けていますが、特に大打撃となっているのが、店舗閉鎖を余儀なくされている、リテール業です。アメリカでは、ニーマンマーカスや、JCペニーなどの経営破綻が噂されていましたが、大手リテールで、今回コロナによる初の経営破綻となったのが、ニューヨークにヘッドクオーターがあり、ロックフェラーセンターをはじめ、いくつかの店舗があるファッションブランド、J. Crew です。
現在、多くのビジネスが閉鎖中ですが、そんな中経営破綻の噂がされていたのが、ニーマンマーカスや、JCペニーなどの大手デパートの破綻でしたが、コロナ禍で、アメリカの大手リテールで最初の経営破綻となったのは、ファッションブランドの J. Crew でした。
J Crew は、経営再建を目指し、今日、連邦倒産法第11章 (Chapter 11) を申請しました。詳細は、こちら にありますが、既存の $1.65 Billion の債務を株式に変換し、$400 million の新規借り入れを確保し、再建を目指すそうです。
J. Crew は、かなり長い歴史のあるファッションブランドで、1947年に創業、80年代にカタログ販売で急成長を遂げ、社名も現在の J. Crew と変更し、アッパーミドルクラスに人気のファッションブランドとなりました。90年代に、現在の主要株主でもある、プライベートエクイティ投資会社の TPG(Texas Pacific Group) が、経営権を握り、2006年に上場します。2011年には、TPG と Leonard Green & Partners によるレバレッジバイアウトで、非上場となり、近年では、あまり存在感を示すことができない状態が続いていました。
こちらの映像では、J. Crew の変遷がまとめられています。
https://youtu.be/_GJxhwXr6kA
最近の経営破綻で典型的となっているのが、買収先の資産やキャッシュフローを元に、借金して買収する (LBO) などの手法で、対象となった買収企業に巨額の債務を残すことになる、プライベートエクイティファンド絡みのものです。プライベートエクイティは、見方によっては、借金して買収し、旗向きが悪くなるとチャプター11で、債務を帳消しにしたり、金融、法律、税制など様々な社会制度を駆使したマネーゲームのアートのようなビジネスと言えるかもしれません。
昨年オープンしたばかりのハドソンヤードに登場したばかりのニーマンマーカスも、2005年、TPG らにより LBO され、その後、 2013年に、Ares Management と the Canada Pension Plan Investment に売却されたデパートです。現在、チャプター11、または、それ以外のファイナンス方法を模索しながら再建を目指しているようです。
ニューヨークでは、デパートは、コロナ以前から厳しい状態が続いており、Lord & Taylor、ヘンリベンデル、バーニーズニューヨーク など老舗デパートの破綻が続いています。
昨年、新しくなったばかりの、サックスフィフス や ノードストローム の動向も気になります。
メーシーズは、当面のファイナンスは大丈夫なようで、今後、6-8 週間程で、全ての店舗を再開する予定だそうです。
Macy's said it will reopen all of its 775 locations in the coming weeks, and the way it plans to do it offers a glimpse at what pandemic-era shopping may look like https://t.co/iaN2i09bI6
— The New York Times (@nytimes) May 1, 2020
メーシーズ は、独立記念日の花火大会やサンクスギビングデーパレードなどでも、毎年、活躍しているニューヨークの老舗デパートです。