アメリカでは、毎年 6月19日は、ジューンティーンス (Juneteenth) と呼ばれる、アメリカの祝日です。ジューンティーンス独立記念日 (Juneteenth Independence Day) は、アメリカ合衆国の新しい祝日 (Federal Holiday) として加わりました。ジューンティーンス (Juneteenth) は、南北戦争の終戦後も奴隷制が続いていたテキサス州で、奴隷解放が宣言された、1865年6月19日を起源とする、黒人奴隷解放記念日です。アフリカ系アメリカ人の間では、ジューンティーンス (Juneteenth) の日は、独立記念日的な存在として、これまで広く自由と平等を讃え、長く祝われてきた日でした。州によっては既に祝日になっていたところもありましたが、アメリカの国レベルの連邦政府の祝日となったことで、今年は、全米でさらに多くのジューンティーンスのイベントが予定されています。
ジューンティーンス 黒人奴隷解放記念日
ジューンティーンス (Juneteenth) と呼ばれる、黒人奴隷解放記念日である、6月19日は、2021年に、新たに制定されたアメリカの祝日です。6月19日が日曜日と重なった場合は、翌日が振替休日となり、政府をはじめ多くの人がお休みとなる他、ニューヨーク証券取引所(NYSE) など金融市場も休みになり、一般企業もお休みになる会社が多くなります。ジューンティーンス (Juneteenth) の振替休日は、一般的には、翌日月曜日に振り替えられますが、州によっては、金曜日をお休みとするところもあります。
自由の国として知られるアメリカですが、実は19世紀中頃までは、アフリカなどから連れて来られた黒人たちを強制的に労働させる奴隷制が続いていました。そんな制度を巡り、1861年から1865年にかけて、アメリカが南北に分かれて争う南北戦争が起こります。奴隷解放と言えば、当時のアメリカ大統領で、奴隷制に反対だった、エイブラハム・リンカーンが、連邦から離脱した南軍との内戦中、1862年に、奴隷解放宣言 (Emancipation Proclamation) をしたことは、よく知られています。
ところが実際には、アメリカ南部の広い領域に奴隷解放が知れ渡ったのは、1865年、南北戦争終戦後でした。
テキサス州ガルヴェストンで、北軍のゴードン・グレンジャー将軍が、戦争終結と奴隷解放をアフリカ系アメリカ人たちに伝えた日、1865年6月19日を起源とした、6月19日を黒人奴隷解放記念日、ジューンティーンス (Juneteenth) としてアフリカ系アメリカ人たちの間で長く祝われて来ました。
19世紀以来ずっと祝われてきた、ジューンティーンス (Juneteenth) は、1980年にテキサス州の祝日となりました。その後2007年にマサチューセッツ州でも祝日となっていましたが、そんなジューンティーンス (Juneteenth) の日が、さらに広く注目されるようになったのが、2020年のことです。
2020年に全米で巻き起こった、ジョージ・フロイドさん事件をきっかけにしたBLM運動によって、ジューンティーンス (Juneteenth) の日が広く知られることとなりました。ジューンティーンスがニューヨーク州の祝日に なり、さらに州の祝日とする州が増えていきました。
そしてついに、2021年に、ジューンティーンス (Juneteenth) が、正式にアメリカの祝日となりました。
新たな連邦政府の祝日が制定され、アメリカの祝日の日が増えたのは、なんと約30年ぶりのことでした。
アメリカの新しい祝日 奴隷解放記念日 ジューンティーンス 6月19日! Juneteenth National Independence Day
ジューンティーンスの歴史、2020年に全米を席巻したBLM運動、アメリカの人種問題の歴史などについては、こちらで詳しく紹介しています。
ニューヨークの Juneteenth イベント
ジューンティーンスの6月19日前後には、これまでも、全米各都市で、様々な特別イベントが開催されていましたが、祝日となったことで、今年は、さらに多くのイベントが行われます。夏の新たな祝日ということで、BBQをしたり、ビーチへ行ったり、旅行に出かけたりなど、他の祝日同様、みんなで楽しむ過ごし方が一般的になると思いますが、ジューンティーンスならではの文化イベントに参加してみるのも面白いと思います。
ニューヨークで行われる、ジューンティーンスのイベントを紹介します。
2023年のジューンティーンスイベント詳細については直前に発表の所も多いので、発表があり次第追記します。
Juneteenth NY フェスティバル
例年ニューヨークでは、Juneteenth NY フェスティバルが19日の前後に開催されます。リンデンパーク (Linden Park) や、プロスペクトパーク (Prospect Park) で、コンサートやパフォーマンスなど様々なイベントが行われます。
セントラルパーク セネカビレッジ
ニューヨーカーにお馴染みのセントラルパークは、かつてセネカビレッジと呼ばれる、黒人たちが暮らした集落があり、その足跡は、現在も残されています。そんなセネカビレッジでは、6月19日に、ファミリーフレンドリーな ジューンティーンスイベント が開催されます。
映画スクリーニング SUMMER OF SOUL
ハーレムの Marcus Garvey Park では、6月17日、1969年の夏、6週間に渡り開催された、ハーレムカルチュラルフェスティバルの様子を描いた、2021年の映画作品、Summer of Soul が上映されます。
この他、ニューヨーク市内の様々な公園では、ジューンティーンスならではの多様なコミュニティイベントが開催されます。詳細は、こちら です。
BRIC Celebrate Brooklyn!
また、市内各地で行われているパフォーミングアートフェスティバルでもジューンティーンスの特別イベントが予定されている所も多いです。プロスペクトパークで開催されている、BRIC Celebrate Brooklyn! では、6月19日に、Juneteenth UNITYFEST 2022 が開催されます。
リンカーンセンター Summer for the City
リンカーンセンターの Summer for the City では、6月19日に、I Dream a Dream That Dreams Back at Me: A Juneteenth Celebration が開催されます。
Park Avenue Armory – A Juneteenth Exhibition
パークアベニューアーモリーでは、6月19日の午後3時から6時に、Archer Aymes Retrospective: A Juneteenth Exhibition が開催されます。
タイムズスクエア BROADWAY CELEBRATES JUNETEENTH
タイムズスクエアのダッフィースクエアのステージで、6月19日の正午から午後1時半まで、BROADWAY CELEBRATES JUNETEENTH と題された、ブロードウェイミュージカルのコンサートが行われます。
アメリカ各地の Juneteenth イベント
アメリカ各地の主要都市でも、特に、音楽を中心に、様々なイベントが開催されます。周辺の人はもちろん、旅行で訪れた際にも、ジューンティーンスならではのイベントに参加してみるのも楽しいと思います。
ワシントンDC
アメリカの首都、ワシントンDC では、様々なイベントが開催されます。国立公文書館 (National Archive) では、特別に、エイブラハム・リンカーンによる奴隷解放宣言 (Emancipation Proclamation) が公開されます。こちら で、色々なイベントが紹介されています。
フィラデルフィア
ニューヨークから近い人気の旅行先、フィラデルフィア でも、盛大なジューンティーンスのパレードやフェスティバルが開催されます。イベントの詳細は こちら。
アトランタ
マーティン・ルーサー・キングJr の誕生の地としても知られる、アトランタ でも、ジューンティーンスフェスティバル が開催されます。
ヒューストン
ジューンティーンス縁の地、ガルベストン近くの大都市、ヒューストン の Emancipation Park でも、恒例のジューンティーンフェスティバルが開催されます。
ニューオーリンズ
ニューオーリンズ では、ルイ・アームストロング・パークなどで、New Orleans Juneteenth Festival が開催され、様々な音楽を楽しむことができます。
メンフィス
メンフィスでは、Memphis Juneteenth Festival が、開催され、こちらもステージでのパフォーミングアートのコンサートが楽しめます。
デンバー
デンバー では、Five Points 地区で、Juneteenth Music Festival が開催されます。
ジューンティーンスの祝日で、今週末はアメリカは三連休です。
2週間後には、アメリカ独立記念日もやって来ます。
ニューヨークの夏の旅行シーズン到来です!