Juneteenth ジューンティーンスの歴史 6月19日がニューヨークの祝日に

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今日、6月19日は、ジューンティーンス (Juneteenth) の日でした。アメリカの多くの州で記念日となっており、テキサス州では、州の祝日となっている日です。そんな Juneteenth の日が、今年は、ニューヨーク州でも祝日となり、来年以降も祝日となるよう今法制化を進めていこうとしています。現在、ジョージ・フロイドさんの事件をきっかけに全米で盛り上がっている Black Lives Matter の動きに呼応し、Juneteenth の日を、アメリカの祝日にしよう、という動きもさらに活発になっています。1865年6月19日、終戦後も奴隷制が続いていたテキサス州で、奴隷解放が発表された日を起源とする Juneteenth ですが、アフリカ系アメリカ人にとって、Juneteenth の日は、独立記念日的な存在であり、広く自由と平等を讃える日ともなっています。

ジューンティーンス (Juneteenth)

コロナ騒動から一転し、5月末に起こったジョージ・フロイドさんの悲しい事件以来、全米、世界各地に広がっているのが、警察による暴力行為 (Police Brutality) を象徴とする、社会制度に、陰に陽に存在するあらゆる差別の撤廃を求める抗議デモです。

抗議デモを受け、ニューヨーク州では、警察の透明性を高め、特定の暴力行為を禁止するなどスピーディーな変革が行われました。連邦政府や、各州を動かし、直接、制度の変革をもたらしていっています。そんな社会的ムーヴメントの中、現在、大きな注目を集めているのが、今年、ニューヨーク州でも祝日として祝われることになった、6月19日の ジューンティーンス (Juneteenth) です。ニューヨーク市も来年から市の職員や公立学校をお休みとすることを発表しており、アメリカ連邦政府の祝日にしようという動きもあります。

奴隷制度の廃止というと、奴隷制を巡り争われた南北戦争中の1863年1月1日、リンカーン大統領により、公式に発表された奴隷解放宣言が思い浮かびますが、実は、そんな法律が広く行き渡るまでには、かなりの時間を要しました。

南北戦争が終結したのは、1865年5月ですが、テキサス州などでは、奴隷制がその後もしばらく続いており、北軍の将軍、Gordon Granger が、テキサス州 Galveston に入り、奴隷解放を発表したのが、1865年6月19日のことでした。この 6月19日が、ジューンティーンス (Juneteenth) の日となりました。1865年の Gordon Granger による公文書 が、今日、ナショナルアーカイヴにより、公開されています。

ジューンティーンス (Juneteenth) は、これまでは、あまり一般的に知られた記念日ではありませんでしたが、アフリカ系アメリカ人の間では、独立記念日的な存在であり、広く自由と平等を讃える日となっており、今年は、警察の暴力行為をはじめ社会に存在する差別の撤廃を求める声が盛り上がる中、注目が集まっています。これからジューンティーンス (Juneteenth) が、毎年の祝日となれば、マーチや人種問題に関する教育イベントなどが定番となりそうです。

ジューンティーンスってどんな日?は、こちらでもわかりやすく紹介しています。

ジューンティーンス独立記念日ってどんな日? 6月19日はアメリカの新しい祝日 イベント盛り沢山 Juneteenth Independence Day

ニューヨークの今年の Juneteenth

ニューヨークでは、連日、警察の暴力行為 (Police Brutality) に対する抗議と公正で偏見のない司法を求めるデモやマーチが行われていますが、今年、2020年のニューヨークの ジューンティーンス (Juneteenth) の日は、いつにも増して、たくさんの人が参加していました。

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SoHo など市内各所の閉鎖中のお店のショーウィンドウを覆う木版には、みんなの今の思いを伝えるアートやメッセージなどが描かれています。こちらは、ジョージ・フロイドさんをはじめ、これまで警察によって殺害されてしまったアフリカ系アメリカ人の被害者たちが描かれたものです。

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抗議デモは、ロックダウン中から続いています。当初は、破壊や略奪事件までが同時に起こりどうなることかと思いましたが、ニューヨークで現在行われている抗議活動はとても平和なものとなっています。

ニューヨーク ロックダウン最後の熱い週末!ニューヨーカーたちが再び一致団結

アメリカ人種問題の歴史

南北戦争後、1865年12月6日に、奴隷制を正式に廃止とする、アメリカ合衆国憲法修正第13条 (Thirteenth Amendment) が批准され、12月18日に発表されました。1869年には、第14条による市民権付与、第15条による参政権付与、とアフリカ系アメリカ人にも通常の市民権が得られるようになります。その後、アメリカ南部を中心に、州レベルで、合法的に人種差別・隔離が可能となる判例や法律が誕生し、長い間、人種差別が正当化されてきましたが、1960年代に沸き上がった、キング牧師らによる公民権運動により、1964年、公民権法が制定され、国レベルで、人種差別が禁止となりました。

ワシントンDCのアフリカンアメリカン博物館では、そんな歴史と共に、アメリカ初のアフリカ系アメリカ人大統領となったオバマさんをはじめ、スポーツ、ヒップホップ、ジャズ、アートなど様々な分野で活躍している人々がたくさん紹介されています。ミュージアムを見ていると、より良い社会になってきていることを実感できます。

国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館の見どころ ワシントンDCの最新ミュージアム

でも、実は、それは現実社会の一側面に過ぎないものだったのかもしれません。法律ができても、社会が本当に変わるには、とても長い年月がかかります。1864年に完全に人種差別が禁止となったにもかかわらず、現実社会では、様々な差別や不平等が残りながら、現在に至っています。そんな現実が明白化したのが、事件の全容が撮影され、映像で公開され、無視できない現実を突きつけられた、ジョージ・フロイドさん事件です。振り返ってみれば、警察により殺害されたアフリカ系アメリカ人は、実は大変な数います。不要に暴力を奮うような警察官は、ごく限られた人だけなのだとは思いますが、警察において人種差別的な偏見や暴力が存在していることはとても悲しい現実です。

人種問題について深く学ぶ

学校で習う歴史は、どうしても一定方向からの見方に偏ることが多いので、あまり触れられていない側面からの視点や深く掘り下げた詳細な事実にも興味を持ち、知ることも大切です。

ジューンティーンス (Juneteenth) の日にちなみ、今、関連作品が無料で提供されています。

人種間の不平等と産獄複合体 (Prison–industrial complex) の関係をテーマとした Netflix のドキュメンタリー作品、”13th”。

人種問題に関する歴史的な出来事を深く掘り下げて描いたドキュメンタリー作品としては、例えば、1963年、アラバマ州バーミンガム で起こった教会爆破事件で亡くなった4人の少女を描いた、ニューヨークで活躍する映画監督、Spike Lee による 4 Little Girls (映像) があります。Spike Lee さんは、先日、ロックダウン中のニューヨークの映像作品 を公開しています。

フィクションですが、かつて、タルサ人種虐殺事件 (Tulsa race massacre) が起こった、オクラホマ州の Tulsa を舞台とした、HBOで昨年公開されたスーパーヒーロー作品、”Watchman” が、無料公開されていました。あまり広く知られていない、タルサ人種虐殺事件 (Tulsa race massacre) は、1921年、白人至上主義者による、Black Wall Street と呼ばれる裕福な黒人のコミュニティを襲撃し、たくさんの犠牲者を出し、破壊が行われた事件です。こちらの映像では、事件の詳細が紹介されています。

アメリカをはじめ、世界に広がっている “Black Lives Matter” の抗議デモは、黒人に対する人種的な差別が焦点となっていますが、差別やそれを容認する社会的な構造は、他のどの社会にも存在しているかもしれません。そんな社会で差別に苦しむ人の視点から世界を見つめ直してみよう、ということを気づかせてくれた運動でもあると思います。

2021年、ジューンティーンスが、いよいよアメリカ合衆国の祝日 (Federal Holiday) になりました。

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ジューンティーンス独立記念日の全米イベント情報も紹介しています。

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