ニューヨークのアジアソサエティ (Asia Society) では、現在、「鎌倉 (Kamakura)」と題された特別展が行われています。珍しい日本の鎌倉時代のアートの展示ということで、ふらりと立ち寄ってみました。ちょうど訪れた時、「鎌倉」のレクチャーが行われているよ、と受付で案内をされ、せっかくなので参加してみることに。すると、会場を埋め尽くすほどすごい人数の人たちが参加するレクチャーで、会場に入った瞬間その熱気に驚かされました。
実はちょうど、この展示に合わせて、鎌倉時代の仏教アートのシンポジウム (“Empowering Objects: Kamakura-period Buddhist Art in Ritual Contexts“) もニューヨークで行われていて、その関係者たちがたくさん訪れていました。この日に行われていたのは、鎌倉時代の仏像の見るべきポイント、特徴などをスライドの写真で紹介しながら、わかりやすくお話してくれる導入編のキーノートレクチャーでした。思わず参加することになりましたが、新鮮な視点からのお話で、興味深く聞くことができました。イェール大学の方によるレクチャーだったのですが、例えば、仏像の着崩した納衣に関するファッションについてとか注目したこともなく、今まで日本でも仏像についてこのような形でじっくりと聴くような機会などなかったので、なかなか面白かったです。
「Kamakura」の展示の様子の写真は撮影できませんが、美しい、印象的な仏像が多く、仏像の美のすばらしさを改めて感じさせられた展示でした。快慶の不動明王像をはじめ、印象的なすばらしい作品ばかりが並ぶ展示だったのですが、どこから来たものなのかと興味深くひとつひとつ見ていたら、以外にも日本からきたものはひとつもなく、全てアメリカ国内の美術館などから集めてきた作品ばかりでした。ニューヨークのメトロポリタン美術館をはじめ、ミネアポリス美術館、ボストン美術館、フィラデルフィア美術館、ダラスのキンベル美術館、などに加え、プライベートコレクションから借りられた作品も並んでいました。聖徳太子の2歳の頃などという珍しいものもありました。それにしても、みんなシンポジウムに出席するほどの人々なので、この鎌倉時代の仏教アートが本当に好きで興味がある人たちばかりが集まっていて、仏像の並ぶ展示室はとても盛り上がっていました。作品を見ながら色々と意見を交わし合ったりして、とても楽しんでいる様子がみられました。
今回展示されていた鎌倉の仏像作品の多くを集めた、日本アートの著名な収集家に、Mary Griggs Burke さんという方がいます。日本国外では最大の日本アートの収集家と言われていたそうですが、2012年に亡くなられ、その後、そのコレクションは、メトロポリタン美術館とミネアポリス美術館に遺贈されました。実は、今回のこの展示会で、その寄贈品として散らばっていった鎌倉時代の作品群が、再びニューヨークのこの会場に集まっているのです。
「Kamakura」の予告ビデオです。
アジア・ソサエティ (Asia Society) では、定期的に今回のようなテーマを絞った特別展が行われています。1階にはアジアンテイストな素敵なギフトショップがあります。
海外の人にも人気のある、浮世絵の本。
お琴のCDや、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の怪談の本まで。
今回の特別展示「Kamakura」の本が、すごい勢いで売れていました。
こけしのようなかわいらしいお人形も。
エキゾチックな仏像ディスプレイの店内には、着物の帯などもありました。
アジアらしい鉄瓶のお茶入れもいろいろ。
Asia Society NYC
725 Park Ave, New York, NY 10021 MAP
このような日本古来の仏教アートの特別展も一例ですが、日本ならではの新旧入り混じった独特の文化、美しい景観、美味しいグルメ、質にこだわった工芸品など、世界中からとても注目を集めています。
ちなみに、こちらは日本の歴史をコンパクトに9分間にまとめた映像で、世界中で非常に多くの人たちに見られています。日本が世界をあっと驚かせたマイナス金利の発表の後だったこともあるかもしれませんが、今月登場したばかりにもかかわらずビュー数は、既に600万ビューを超えていて、日本への注目度が伺えます。映像の内容は、大雑把ですが、的は得ていて、今風な演出を交えながら、分かりやすくつくられているので、興味がある人はどうぞ。