キモノスタイル メトロポリタン美術館 着物特別展 開催中!日本ギャラリーに江戸から昭和初期にかけての着物ファッションが大集合

ニューヨークを代表する巨大なミュージアム、メトロポリタン美術館では、現在、江戸時代から昭和初期にかけての着物及びそんなスタイルに影響を受けたファッションをテーマとした特別展、キモノスタイル (Kimono Style) が開催されています。会場となっているのは、常設の日本美術ギャラリーです。仏像や浮世絵など、メトロポリタン美術館のコレクションに加え、伝統的な日本美術の充実したコレクションで知られる、John C. Weber Collection からの着物を中心とした様々なファッション作品が展示され、日本美術に興味がある人はもちろん、ファッション好きの人にも見応えがある展示となっています。

ニューヨークのメトロポリタン美術館では、膨大なコレクションが展示されている常設展に加え、期間限定で、様々なテーマの特別展が、館内各所で開催されています。メトロポリタン美術館2階の北側にある日本美術ギャラリー (Gallery 223) では、6月からキモノスタイル (Kimono Style) と題した、江戸時代から20世紀初頭にかけての着物とそんなスタイルに影響を受けたファッションをテーマとした特別展が開催されています。

メトロポリタン美術館の日本美術ギャラリーでは、仏像、絵巻、水墨画、茶道具、浮世絵など歴史的な作品から日本の近現代アートまで様々な作品が展示されています。

日本美術ギャラリーは、現在、江戸、明治、大正、昭和初期にかけての着物と、着物に影響を受けたファッションなど華やかな作品が数多く展示され、多くの人がやって来ています。展示は、メトロポリタン美術館のコレクションの作品に加え、充実した日本美術コレクションで知られる、John C. Weber Collection の作品が中心です。
美術館で着物と聞くと、平安時代などはるか昔の古風なものを想像してしまいますが、今回の展示は、江戸時代から近現代にかけての作品が中心で、色鮮やかなお洒落なものが多く、ファッション展のような親しみを持って楽しめる展示となっています。たくさんの人たちが見に来ている、とても人気の特別展です。

手前の作品は、ハナエモリの浮世絵と題された美しいドレスです。
奥には、当時重要な仕事だった火消しの衣装が飾られています。

江戸時代の展示の中心になっていたのが、能と狂言の衣装としての着物です。こちらは、18世紀中頃の豪華な金色の唐織(からおり)の能の衣装で、法輪と雲が描かれています。

波の上をウサギが飛び跳ねていく、こちらの楽しい柄の着物は、19世紀中頃の狂言の衣装です。

江戸時代と言えば、鎖国の中、安定した時代が長く続き、独自の文化が発展し、様々な芸術に加え、素晴らしい工芸品の数々も生み出されました。内部が豪華に刺繍されている美しい小箱をはじめ、印籠、能面、人形、小鼓、扇子など様々な江戸時代の工芸品も飾られています。

お寺のような雰囲気の仏像のギャラリーに、普段、見かけない勇ましい絵が描かれた旗が飾られていました。こちらは、鍾馗と呼ばれる中国の道教の神で、江戸時代に魔除けとして人気を博していたようです。歌川貞秀の作品です。

日本美術ギャラリーには、日系の著名アメリカ人アーティスト、イサムノグチの禅な雰囲気の作品も飾られています。

着物姿の掛け軸と白磁に繊細に色づけされたお人形。
白磁に色鮮やかな赤絵が特徴の柿右衛門様式は、17世紀後半頃に、ヨーロッパへの人気の輸出品だったそうです。
掛け軸から人形が飛び出してきたような飾り方がいいですね。

涼し気な淡い綺麗な色合いの夏の絹織りの着物です。江戸時代に身分が高い女性が身に着けていたとされる、綿密な絵柄、御所解(ごしょどき)の着物で、草花や鳥など美しい自然の光景が細かく繊細に描かれていて、感動します。

勇ましい絵柄の火消しの衣装と並んで、山本寛斎さんのボンバージャケットが飾られています。

色とりどりの夏の着物がこちらにもずらり。帷子(かたびら)という、麻の単衣の着物です。綺麗な着物は女性たちに人気です。

キモノスタイルの特別展では、同時代の日本と外国のファッションの対比がされていて面白かったです。
その一つ目が、19世紀前半頃の日本のベストとイギリスのガウンという二つのパッチワークによるキルト作品が並べて展示されています。

こちらは、20世紀前半の渦巻き柄の夏用の単衣とアメリカのビーチパジャマが並べて飾られています。

当時のフランスのトップデザイナーたちも着物に影響を受けたデザインのドレスを手掛けています。
20世紀初頭頃に活躍した、Callot Soeurs のイブニングドレスと Paul Poiret の緑地に弓矢の羽根が描かれたドレスです。
裾のデザインや、ゴールドの繊細なデザインなど、着物の影響を感じます。

黒い立派な富士山が描かれているのは、20世紀初頭の男性用の長襦袢(ながじゅばん)です。そして、赤い波が描かれているのは単衣の着物です。大正、昭和と時代が変わり、それまでとは、着物のデザインの好みも大きく変化していった感じがします。

お馴染みミッキーが描かれているこちらは、1930年代の子供用の着物です。すっかり世界の流行が日本にも影響を与えるようになっています。

今回の特別展で、特に面白い演出がされていたのが、こちら。昭和初期のレトロな世界にやって来た雰囲気になっています。

レトロな銀座三越の絵を背景に、当時カジュアルなお洒落着として流行した、個性的な図柄で大胆な色使いが面白い銘仙(めいせん)と呼ばれる、先染め平織りの絹織物の着物が飾られています。

合わせて、同時代に、アメリカやヨーロッパで人気だった同様の図柄のドレスも飾られています。

独特のファッションスタイルである着物の影響は、現代のファッションでもよく見られます。20世紀から現在に至るまで、多くのファッションデザイナーたちが着物スタイルのファッションを手掛けています。そんな作品の数々も合わせて展示されています。2017年のMETファッション展 でフィーチャーされていた、コムデギャルソン (Comme des Garçons) のドレスをはじめ、バレンシアーガ (House of Balenciaga)、メゾン・マルジェラ (Maison Margiela)、アレキサンダー・マックイーン (Alexander McQueen)、ヨウジ・ヤマモト (Yohji Yamamoto) など著名デザイナーの作品が展示されています。

Kimono Style は、2023年2月20日まで開催されています。

メトロポリタン美術館の日本美術ギャラリーでは、2019年には、源氏物語をテーマとした特別展が開催され、その時も素晴らしい特別展でした。

メトロポリタン美術館 日本ギャラリー 源氏物語 1000年の歴史を誇る不朽の名作

メトロポリタン美術館については、こちらで特集しています。

メトロポリタン美術館 ミュージアム見どころ完全攻略法

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キモノスタイル メトロポリタン美術館 着物特別展 開催中!日本ギャラリーに江戸から昭和初期にかけての着物ファッションが大集合 was last modified: 7月 19th, 2022 by mikissh