クリーガー美術館 ワシントンDC郊外の閑静な邸宅ミュージアムでモネ、ピカソらのモダンアートを堪能

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ワシントンDCには、まだまだ紹介しきれないほどの隠れたおすすめの美術館があります。今回、ワシントンDCでのお花見旅行で訪れるのを楽しみにしていた美術館の一つが、クリーガー美術館 (Kreeger Museum) です。ワシントンDCの郊外、丘の上の閑静な住宅地にある邸宅美術館で、この美術館の建物は、実はあのフィリップ・ジョンソンさんのデザインの建築なのです。とても雰囲気のいい建物で、アートも素晴らしいものばかり、モネやピカソの数多くの作品の他、印象派以降の近代アートの名作を鑑賞することができます。

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お屋敷の外には、ヘンリー・ムーア(Henry Moore) やイサム・ノグチ (Isamu Noguchi) の彫刻もあり、少し箱根彫刻の森美術館を彷彿とさせる雰囲気です。

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David Lloyd Kreeger さん、Carmen Kreeger さん夫妻の邸宅として、グラスハウス などで知られる20世紀後半の著名な建築家フィリップ・ジョンソンさんにより、1963年にデザインされた建物です。

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20世紀後半に隆盛だったコンクリート造りのモダニズム建築が、どこか日本でも見かけたような懐かしい雰囲気がします。

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館内に入るとミュージアムと言うよりは、まるで郊外の素敵な個人の邸宅に遊びに来た感じがします。美術館としてのオープンは、David Lloyd Kreeger さんが亡くなられた後の1994年です。クリーガー夫妻は音楽好きで、昔からここで演奏を披露されていたそうです。現在でも特別イベントとしてコンサートなどが行われることもあるそうです。

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David Lloyd Kreeger さんは 経営者として、保険会社のガイコ (Geico) の成長に大きく関わった経営者です。ビジネスの傍ら18世紀後半からの印象派アート以降の近代アートのコレクターとしても活躍した人物です。ちなみに、Geico は、現在では、ウォーレン・バフェットの Berkshire Hathaway 傘下で、アメリカの大手保険会社の一つとなっています。

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個人の邸宅美術館なので、コレクター自身のテイストが大きく反映され、印象派、抽象アートなど1850年以降の作品が中心となっています。コンサート会場になることもある一番大きなお部屋では、印象派の風景画の作品が展示されています。まず圧倒されるのが、クロード・モネ (Claude Monet) の作品群です。淡い色使いの美しいモネの作品が9つも展示されています。
モネの1882年の作品、Sunset at Pourville。あまりに美しい色彩にうっとりしてしまいます。

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こちらはモネにより描かれた Les Petites-Dalles の崖。イングランドの Seven Sisters のような海岸線の光景がドーバー海峡の対岸、フランスのノルマンディーにも広がっています。

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クリーガー美術館に集められている、クロード・モネ (Claude Monet) の作品コレクションは、今まで見たことがある作品の中でも美しい色合いの独特の雰囲気のあるものばかりが揃っていて、クリーガーさんのこだわりが伝わってきます。こちらも、フランスのノルマンディーの海辺の奇岩の光景です。

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モネに近い作風のアルフレッド・シスレーの作品も展示されています。

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セザンヌ(Paul Cézanne)。Houses and Fir Trees (Maisons et sapins), c. 1881

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叫びなど表現主義的な作品で有名なムンクの印象派的な穏やかな作品。

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ピサロの美しい緑のシャープな作品。

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ボナール(Pierre Bonnard)の作品もあります。全体的に、青を基調とした水辺の作品が多い感じを受けます。

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黒く太い輪郭が独特の味わいのあるベックマン(Max Beckmann)の作品。Sunny Beach with Bathers or Green Sea with Yello Skiff (Grünes Meer mit gelbern Kahn), 1937

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風景画中心の広いお部屋から小部屋に入ると、こちらではより日常的なシーンを描いた印象派の作品が並んでいます。

バレエや馬をモチーフとした作品で有名なドガの作品。

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ゴッホが独自の作風を生み出す前の1886年の作品ですが、ゴッホらしさも垣間見られます。

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ロートレック風にカフェを描いたピカソの初期の作品。

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マルク・シャガール(Marc Chagall) の1912年の作品、Composition。

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絵画と一緒に、オーギュスト・ロダン (Auguste Rodin) の彫刻作品なども並んでいます。

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もう一つの展示部屋では、抽象アートの作品が集められています。
パブロ・ピカソ(Pablo Picasso) は、青の時代、赤の時代、キュビズムなど時代に応じて様々な作風の作品を描いたことで知られていますが、こちらはその集大成、それまでの様々な要因が合わさった感じの作品群です。初期の頃の作品とは、まるで別人が描いたような作品です。

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ピカソと並び、キュビズムで知られるジョルジュ・ブラック(Georges Braque)の作品もあります。

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ピカソ同様、スペイン人アーティストのジョアン・ミロ (Joan Miró)の作品。

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アーシル・ゴーキー(Arshile Gorky) の作品。

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階段周辺には、コンテンポラリーアートを含め、珍しい作品が飾られています。館内地下にもギャラリーがありますが、現在はリノベーション中で閉鎖されています。

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カンディンスキーのとても珍しい作品、Relations もあります。Relations, 1934
このカンディンスキーの作品は実は砂絵なんです。驚いてしまいました。

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館内には小さなライブラリーもあり、モンドリアンの作品が飾られています。Oostzijdse Mill with Panoramic Sunset, Mill at Center, 1907

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モンドリアンと言えば、幾何学模様とリキテンシュタインに影響を与えたと思われるカラフルな色使いで有名なアーティストですが、自身の作風を完成させる前は、クラシカルな印象派的な作品を描いていたようでビックリしました。ちなみに、こちらはフィリップスコレクションに飾られているモンドリアンの作品です。モンドリアンの作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館、MOMA、グッゲンハイム美術館などでも見ることができます。

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図書館からの庭の様子。庭は、スカルプチャーガーデンとなっていて、コンテンポラリーの彫刻作品が飾られています。

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クリーガー美術館は、ナショナルギャラリー、フィリップスコレクションと並び、印象派、モダンアート好き、建築好きにおすすめのワシントンDCのミュージアムです。個人の邸宅というプライベートな雰囲気の中、優雅に素晴らしいコレクションの作品を鑑賞することができます。

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クリーガー美術館 Kreeger Museum
2401 Foxhall Rd NW, Washington, DC 20007 地図

クリーガー美術館 ワシントンDC郊外の閑静な邸宅ミュージアムでモネ、ピカソらのモダンアートを堪能 was last modified: 4月 25th, 2018 by mikissh