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メトロポリタン美術館創立150周年記念特別展 Making the Met, 1870-2020 開催中!

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ニューヨークを代表するミュージアムのメトロポリタン美術館は、今年2020年で、創立150周年を迎えます。そんな記念すべき年に起こった予期せぬ出来事が、コロナによるパンデミックで、3月中旬以降、メトロポリタン美術館史上最長となる約5ヵ月半もの閉鎖を経て、8月下旬から再開を果たしています。メトロポリタン美術館が、創立150周年を記念し準備していた特別展、Making the Met, 1870-2020 も、無事はじまりました。メットは、5000年にも渡る人類による文明の中で、本当に幅広い地域や分野のコレクションを誇る総合美術館ですが、Metの歴史上重要な作品を含め、多種多様な分野を代表する250点もの作品が一堂に集められ、ミュージアムのハイライトが凝縮された見応えのある展示になっています。

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メトロポリタン美術館は、1870年4月13日に創立され、今年2020年4月13日で、150歳を迎えました。そんな記念のタイミングに合わせた特別企画展が、Making the Met, 1870-2020 です。もともとは、3月30日から8月2日にかけて予定されていましたが、再開後から2021年1月3日まで期間をスライドし開催されることになりました。
150周年記念展、Making the Met, 1870-2020 の会場となっているのは、2階の中央右手、19世紀以降の西洋絵画セクションの近くにある特別展用のギャラリー (Gallery 899) です。まだパンデミック中、ウィズコロナの中なので、特別展のギャラリー内の人数制限があり、人数調整のために列ができていて、スタッフの指示に従って順番に入場していくようになっています。

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特別展の入口を入ってすぐ正面には、イサム・ノグチの1945年の作品、Kouros が飾られています。素朴な石など自然に近い形の作風でよく知られる、イサム・ノグチが、メトロポリタン美術館にある、ギリシア神話のコウロス像を元に作成されたモダンアートらしい作品です。

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この他、入口部分には、ゴッホの絵画やロダンの彫刻、アフリカの木彫りの彫刻、マリリン・モンローの写真など幅広い分野を代表する作品が飾られています。

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ギャラリーは、メトロポリタン美術館の時代毎の作品を紹介する構成になっていて、時計回りに一方通行で進んで行きます。最初のお部屋では、メトロポリタン美術館で最も古い、初期のコレクション作品が展示されています。紀元前6世紀初期のキプロスの髭が印象的な男性の顔像 (Limestone head of a bearded man)、アンソニー・ヴァン・ダイク (Anthony van Dyck) の宗教画 (Saint Rosalie Interceding for the Plague-stricken of Palermo)、マネの女性の人物画、ベンジャミン・フランクリンの胸像など幅広い分野の様々な作品が飾られています。通常の形のオーディオガイドは、ありませんが、いくつかの代表的な作品に関しては、オーディオによる解説 が用意されています。

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半月の前立てが印象に残る、江戸時代、17世紀の伊達家家臣の鎧も展示されています。隣のギャラリーでは、江戸時代、18世紀の能装束をはじめ世界各地のテキスタイルの歴史的な作品が展示されています。

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メトロポリタン美術館には、フェルメールの作品が5点ありますが、その中の一つ、Young Woman with a Lute は、記念展の方へやって来ています。残りの4点は、これまで通り、正面奥の地下のギャラリーで、オランダ黄金時代の絵画展 の一部として、レンブラントらの作品と共に展示されています。

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フレミッシュ出身でイギリスで活躍したアンソニーヴァンダイク、19世紀初頭前後にイギリスで活躍したトーマス・ローレンス、19世紀前半にフランスで活躍したドミニク・アングルらヨーロッパ各国の古典西洋美術の巨匠たちによる女性の肖像画の数々も展示されています。

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壺、花瓶、お皿など世界各国様々な時代の美しい工芸品の数々も展示されています。

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メトロポリタン美術館は、20世紀初頭以降、エジプトの発掘調査にも力を入れていたこともあり、古代エジプトの遺品の充実したコレクションを誇っています。紀元前15世紀前半頃ファラオとして君臨したハトシェプスト女王の座像をはじめ古代エジプトの遺品の数々も展示されています。メトロポリタン美術館の裏手には、セントラルパークがあり、ちょうど古代エジプトのオベリスクが見えるようになっています。

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2017年に開催され、大人気だったミケランジェロの特別展でも大きくフィーチャーされていたミケランジェロのデッサン作品をはじめルネサンス前後の古典西洋美術の作品も展示されていますが、今回の展示の中心は、比較的新しい19世紀以降の作品です。

こちらは、ヨーロッパ美術の影響が強く見られる、19世紀末前後のアメリカンアートのギャラリー。そんな時期を代表する画家、サージェント (John Singer Sargent) の 1883–84年の作品、Madame X (Madame Pierre Gautreau) と、彫刻家、Augustus Saint-Gaudens の黄金の勝利像 (Victory) が向かい合い存在感を放っています。メットの The Charles Engelhard Court の Diana 像も、Augustus Saint-Gaudens による作品です。

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ルイス・コンフォート・ティファニー (Louis Comfort Tiffany) さんデザインの美しいティファニーグラスの花瓶やボウルです。

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19世紀後半、フランスで隆盛となった印象派のセクションもあります。主役となっているのが、バレリーナの彫刻や絵画を中心としたドガの作品です。クールベ、モネ、セザンヌ、メアリー・カサットらの作品も展示されています。

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葛飾北斎の神奈川沖浪裏、喜多川歌麿の遊女の浮世絵2点が展示されています。日本の浮世絵は、19世紀後半、フランスなどで流行し、印象派にも影響を与えました。

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19世紀中頃と20世紀前半と活躍した時代は異なりますが、西洋美術において、大きな転換を引き起こしアカデミックアートと一線を画したアーティスト、クールベと、モダンアートを切り拓いたアーティスト、ピカソの作品です。

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ブランクーシの黄金の顔の彫刻作品、Sleeping Muse。1910年の作品です。ブランクーシは、ルーマニア出身で、パリで活躍した有名な近代彫刻家です。イサム・ノグチの師匠でもあったアーティストです。

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近代アートのセクションでは、20世紀前半に活躍したアメリカ人女性アーティスト、ジョージア・オキーフ (Georgia O’Keeffe) が目立っています。正面には、晩年、ニューメキシコ州を拠点に活躍したオキーフらしいモチーフの1931年の作品、Cow’s Skull: Red, White, and Blue。両脇には、オキーフと友人で、当時アメリカで流行した、プレシジョニズム (Precisionism) の代表的アーティストとして知られる、チャールズ・デムス (Charles Demuth) の作品と、カンディンスキー (Vasily Kandinsky) の作品があります。チャールズ・デムスの数字の5が印象的な作品は、オキーフが所有していた作品だそうです。同セクションには、オキーフが登場する写真も飾られています。

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20世紀後半に入り、ファッションや現代アート、東アジア、イスラム、アフリカなど世界各地の作品もより充実していきます。ファッションでは、モンドリアンの作品をモチーフにした、Yves Saint Laurent のドレスや、バレンシアーガ (House of Balenciaga) のコートなどが展示されています。メットのファッション部門、The Costume Institute による、メットガラや毎年恒例のファッション展は、世界的にも注目される人気イベントです。2018年に開催された、カトリックのファッション展 は、1978-79年にかけて行われた、古代エジプトツタンカーメン宝物展を越え、メット史上最高の訪問者数を記録しました。今年は、メットガラは中止になりましたが、ファッション展、About Time: Fashion and Duration が延期され、10月29日から2021年2月7日まで開催されます。150周年記念に相応しく、その間のファッションのトレンドと歴史をテーマにした展示で、今からとても楽しみにしています。

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中東イスラムアートの工芸品や書の展示はエキゾチックな美しさがあります。

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江戸時代初期、17世紀前半に活躍した狩野山雪の1646年作の老梅図襖絵 (Old Plum) や、中国の芸術的な書体で描かれた11世紀末の漢詩など東アジアの作品も展示されています。8世紀中頃の唐の時代に描かれた、Night-Shining White と題された貴重な馬の作品もあります。

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20世紀後半の現代アートの絵画からは、独特の色合いの抽象アートが特徴の、Ellsworth Kelly さんと、ポップアートでお馴染みのアンディウォーホルのモナリザをモチーフとした作品がきています。実は、世界で最も有名な作品とされる、ルーヴル美術館 の「モナリザ」は、1963年、アメリカにやって来たことがあります。ワシントンDCのナショナルギャラリーとメトロポリタン美術館で展示され、メットでは、たった1ヵ月間の展示だったにも関わらず、カトリックファッション展、エジプトツタンカーメン展に続き、史上3番目の訪問者数を記録していて、そのフィーバーぶりが伺えます。アンディウォーホルのモナリザは、そんな年に制作されたタイムリーな作品です。

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最後のギャラリーでは、近年のメットのコレクションが紹介されています。最近、メットが特に力を入れているのが、多様性で、これまであまり注目されていなかった、世界各地の文化やあまり知られていない分野の作品がコレクション入りしています。
12世紀チベットの仏像、そしてその後ろには、ストリートの様子を描いた珍しい20世紀のキルト作品が飾られています。

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アフリカ系やネイティブアメリカンの作品の展示も増えて来ていますが、こちらは、メットの常設展にも展示されていて、世界の様々な美術館でも見かけることが多くなっている、ガーナ出身でナイジェリアで活躍するアーティスト、エル・アナツイ (El Anatsui) のとても存在感のあるタペストリーの作品や独特な彫刻などが展示されています。

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会場の中心にある通路では、メトロポリタン美術館の歴史的な変遷が紹介されています。

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特別展会場からは、1階が見渡せることができるエリアもあり、普段、あまり見たことがない角度からの建物の様子が見られます。

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メットの建物も、150年の間、増改築やリノベーションが繰り返され、現在の形になっています。その変遷については、こちらの映像で紹介されています。

メトロポリタン美術館による映像で、150周年記念展の様子をオンラインでちょっと覗いてみることもできます。

メトロポリタン美術館150周年記念特別展をオンラインで見てみよう! Making The Met, 1870–2020

再開後のメトロポリタン美術館の様子はこちら。

メトロポリタン美術館再開 行ってきました!ウィズコロナのメット最新情報 新特別展と閉鎖中のギャラリー

ニューヨークの人気ミュージアム、メトロポリタン美術館の基本情報はこちら。是非訪れてみて下さい。

メトロポリタン美術館 ミュージアム見どころ完全攻略法

メトロポリタン美術館創立150周年記念特別展 Making the Met, 1870-2020 開催中! was last modified: 9月 17th, 2020 by mikissh