ロサンゼルスの人気コンテンポラリーアートミュージアム、MOCA LA (Museum of Contemporary Art Los Angeles) のメインブランチがあるのは、LAダウンタウンのグランドアベニュー (Grand Avenue) です。MOCA には、迫力ある巨大なパブリックアートがあり、一際目立つ存在となっています。MOCA LA は、1940年以降の現代アートに特化した美術館で、館内では、所蔵する現代アートの著名なアーティストの作品の数々が展示されている他、面白いテーマの個性的な特別展なども開催されており、ローカルにも大変人気のスポットとなっています。
ウォルトディズニーコンサートホールや、ザ・ブロード (The Broad) などユニークな建築の立ち並ぶ、LAダウンタウンのグランドアベニュー沿いを歩いていると現れるのが、巨大なウォールアートです。人気の写真撮影スポットにもなっていますが、こちらが、MOCA LA (The Museum of Contemporary Art Los Angeles) のメインブランチ、MOCA Grand Avenue です。
こちらの緑色のかわいいボックスオフィスでチケットを購入し、地下のミュージアム入口へと向かいます。
MOCA LA が、最初に設立されたのは、1979年、リトルトーキョーの倉庫街の一角、現在では The Geffen Contemporary at MOCA がある場所でスタートしました。今では、MOCA のギャラリーは3ヵ所あり、その中心となっているのが、1986年にオープンしたグランドアベニューの美術館 (MOCA at Grand Avenue) です。建物は、日本の建築家、磯崎新さんによるデザインです。
ギャラリーは、1フロアのみなので、時間に余裕がない場合でも、短時間でサクッと見て回ることができるおすすめの美術館です。1940年以降の現代アートに特化したコレクションと展示で、エルンスト、ミロ、ジャコメッティ、ロスコ、リキテンシュタインら20世紀中頃以降の著名なアーティストの作品を見ることができます。また、期間限定の面白いテーマの特別展も随時開催されており、何度も訪れているロサンゼルスのローカルたちにも大変人気となっていました。
現在、MOCA Grand Avenue では、2つの展示が行われています。
一つ目は、美術館のコレクションの中から選ばれた作品が展示される常設展、もう一つは、”One Day at a Time: Manny Farber and Termite Art” と題された特別展です。どちらもおすすめの展示となっています。
MOCA常設コレクションから
入口から右手に向かうと、見覚えのある著名なアーティストの作品が並んでいる美術館のコレクションから選ばれた作品の数々が展示されています。
シューレアリスムの代表的アーティストの一人、マックス・エルンスト (Max Ernst) の彫刻作品。擬人化されたヤギ (Capricorn) です。
ピカソ、ダリと並ぶスペイン出身の著名アーティスト、ジョアン・ミロ (Joan Miró)。いかにもミロらしい抽象シューレアリスムな作品、Personnages Dans la Nuit (Character in the night) です。
一目で分かる、ジャコメッティ (ALBERTO GIACOMETTI) の像が2体。昨年、グッゲンハイム美術館で ジャコメッティ特別展 が開催されていました。
こちらも一度見ると忘れらない、インダストリアルな雰囲気の真っ黒で巨大なクールな作品。ウクライナ出身のアメリカ人女性彫刻家、ルイーズ・ネヴェルソン (Louise Nevelson) の彫刻です。
ガラス箱に込められた小さなシューレアリスム的世界が印象的なジョセフ・コーネル (Joseph Cornell) の独特の世界感の作品群。
無機質感と鋭く尖った感じが共通している John Chamberlain さんの彫刻 と Franz Klein さんの絵画。抽象表現的な作品です。
ポップアートの代表的アーティストの一人、スウェーデン出身のアメリカ人、Claes Oldenburg さんのカラフルで楽しい作品。この他にも、ポップアートでは、リキテンシュタイン (Roy Lichtenstein) や Robert Rauschenberg など映える作品が色々展示されています。
ロスコ (Mark Rothko) の定番モチーフの作品のお部屋です。この部屋は、ロスコの作品のみとなっており、ニューヨークのギャラリーで行われていた ロスコ特別展 を思い出します。先日、訪れたヒューストンには、何とロスコ・チャペルと呼ばれる厳かな雰囲気のギャラリーまでありました。ロスコの作品は通常暗い色合いの作品が多いのですが、MOCA にあるロスコの作品はどれも LAらしい、明るい色合いの作品ばかりで印象的です。
Dan Flavin さんの照明を使ったミニマリストな作品。
こんな鏡のミニマリスト風作品もあります。
Manny Farber and Termite Art
MOCA 入口から左手のギャラリーへと入って行くと特別展のギャラリーになります。画家であり、映画評論家でもあり、エッセイストでもあったという マニー・ファーバー (Manny Farber) さんの作品を中心とする特別展、”One Day at a Time: Manny Farber and Termite Art” が2019年3月11日まで開催されています。白アリアートという面白い名称が付けられていますが、これは、1962年に書かれた Manny Farber さんの広く知られたエッセイ、“White Elephant Art vs. Termite Art”(PDF) から来ています。
白い像のような希少な傑作よりも、数多くの人々の日常的な様々な試みの中、アートの枠を広げて行く白アリのような活動への価値を説いたエッセイで、Manny Farber さんの作品と一緒に、数多くのアーティストによる様々な媒体、手法を用いた個性的な作品の数々が展示されています。
Manny Farber さんが身の回りの何気ないものをカラフルな色使いで色々と描いた賑やかな作品。
キラキラとギャラリーに華を添えてくれていたランプの作品。
対照的に、単色アートの無味な金属の塊のようなトラクター。
何気ない日常の一コマ。
何げない色々なものを取り込んでコラージュの作品に。
こちらも何気ない日常の一コマを映像に捉えたものですが、ずらりと並べてみる映像は圧巻です。
ずらりと並んだ白黒写真。あれもこれも、やっぱりテーマは何気ない日常の中のシーン。
マニー・ファーバー (Manny Farber) さんの作品もテーマは何気ない日常の物。だけど、マニー・ファーバーさんらしい個性的な色使いによって、とても印象的なアート作品になっているのです。
緑で囲まれたとても楽しそうなキッチン。窓の外の穏やかな風の音や、小鳥のさえずりまで聞こえてきそうなシーンの絵です。
生け花アート。
そして、街角のごみ箱ですらフラワーアレンジメントで、華やかに大変身!
ニューヨークで話題になった Lewiss Miller Design の街角フラワーアレンジメントが思い出されます。
マニー・ファーバー (Manny Farber) さんの温かい色使い、楽しい雰囲気を漂わせるこの定番のモチーフは本当に印象的で好きでした。
コツコツと作られた、何気ない粘土の作品も、たくさん集まると、全体としては、すごい作品に見えてきます。
ネイティブアメリカンアートのような雰囲気の独特の作品。
みんな好きなようにアートを作って行こう!というメッセージが感じられる面白い展示となっています。
館内には、”I Will Not Make Any More Boring Art” のメッセージでいっぱいの面白い廊下もあります。
MOCA の地下のミュージアムの入口そばには、ちょっとしたお茶・食事ができるカフェ Lemonade at MOCA があります。さらに上階には、お土産探しにおすすめのセンスのいいミュージアムショップがあります。MOCA のアート鑑賞後に訪れてみるのもおすすめです。
ロサンゼルス現代美術館 The Museum of Contemporary Art
MOCA Grand Avenue
250 S Grand Ave, Los Angeles, CA 90012 地図
現代アート好きの人は、道を渡ってすぐ近くにある The Broad もおすすめです。
まだまだたくさんあるロサンゼルスの見どころはこちらです。