Modigliani Unmasked (8)

NYモディリアーニの特別展がスタート!ジューイッシュミュージアム

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先週の金曜日からニューヨークのアッパーイーストサイドにあるジューイッシュミュージアム (Jewish Museum) で、あの世界的にも有名な20世紀初期に活躍したユダヤ系イタリア人アーティスト、モディリアーニ (Modigliani) の特別展がはじまりました。今回の特別展、”Modigliani Unmasked” では、イタリアで生まれ育ったモディリアーニが、パリに移住した頃からの作品の展示となっており、細長く、どことなくユーモラスな雰囲気の個性的な肖像画など印象的な作品が数多く並んでいます。

Modigliani Unmasked (8)

モディリアーニと言えば、現在では、その作品が高額で取引されることも多く、世界的に最も有名なアーティストの一人ですが、生前は評価されることがなく、35歳の若さで亡くなってしまいました。20世紀初頭、世界で文化やアートの中心となっていたのはフランスのパリでした。そんなパリには、世界中からアーティストをはじめ、様々な人々が集まって来ていたようですが、モディリアーニもそんな中の一人で、1906年にイタリアから移住してきました。

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アートも含め、社会や文化は常にその時代と場所などの様々な影響や流行の流れの中、進んで行きますが、モディリアーニの作品にも、当時のフランスやパリの社会状況や文化が深く反映されていることが分かる展示となっています。
当時、アーティストとして世間に評価されず、経済的に成功することはありませんでしたが、ピカソやブランクーシらをはじめ同時代の偉大なアーティストたちとも友人だったようで、その感性を共有したり、刺激を受けられる環境で、創作活動においては充実していたのではないかと思われます。

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モディリアーニと言えば、肖像画です。人物を対象とすることが好きなアーティストで、風景画はほぼ描いていません。
時代を追って作品が展示されていて、作風の変化の様子が分かります。パリへやって来た当初は、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック (Toulouse-Lautrec) やピカソの影響が感じられる作品を描いていたようで、モディリアーニらしい作風が完成する以前の作品も展示されています。

面白いのがこちらの1908年に描かれた作品。キャンバスの表と裏の両側に絵が描かれています。当時の貧しかった画家たちがキャンバスを有効利用しようという試みで、わりとよく見られるようですが、表と裏で絵の向きが逆になっている作品はかなり珍しいようです。こちらの絵を正しい向きにすると、

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反対側の “Portrait of Maude Abrantes” は、逆向きになります。こちらは、イスラエルのハイファ大学の Hecht Museum が所有する作品です。長い間ミステリーだったようですが、こちらで紹介されているように、この逆向きになっている女性の絵の下に実はもう一人の女性が、裏側の絵 “Nude with a Hat” と同じ向きに描かれていることを発見したそうです。最初に描いた絵が気に入らなかったのか、上から重ねて描き直したようなのですが、その時に絵を自然に仕上げるために、そのまま重ね描きせず、キャンバスを逆向きに使ったため、絵が逆向きになってしまったようです。

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モディリアーニの作品と一緒に当時のフランスの反ユダヤ的 (Antisemitism) な風潮に関する展示もされています。当時のフランスではユダヤ系の軍幹部がスパイ容疑をかけられた冤罪事件、ドレフェス事件があったりと、反ユダヤの風潮があり、新聞では、ユダヤ人の悪いイメージを広めるイラストなども掲載されていたようです。

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The Jewess。モディリアーニがパリへやって来て、最初に売却することができた作品だそうで、ユダヤ人をテーマにした1908年の作品です。反ユダヤ的な世相の中、ユダヤのアイデンティティを表現した作品です。

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Sotheby’s で、2013年に2600万ドルで落札された1909年の作品、”L’amazone”。現物を借りてくることができなかったようで、デジタル写真での展示となっています。パトロンを描いた作品のようですが、気に入ってもらえず、結局別の人が引き取ることになったそうです。

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当時、フランスでは、植民地の西アフリカなどから大量のエキゾチックなオブジェがやって来てミュージアムなどで展示されていたようで、多くのアーティストに影響を与えました。そんな中で、モディリアーニは、アフリカ風オブジェの雰囲気を自分の作風として、最も上手にナチュラルに取り入れたアーティストかもしれません。

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段々とモディリアーニらしい作品が登場していきます。ブランクーシの影響ではじめたという彫刻の作品です。アフリカだけではなく、エジプト、ギリシアなど古代文明に広く興味があったようで、そんな作品も展示されていました。

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そして、絵画にもその影響がよく見られます。

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1919年に描かれた “Lunia Czechowska”。

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左の黄色いセーターの女性は、モディリアーニの実質上の妻 Jeanne Hébuterne だそうです。

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Jeanne Hébuterne with Yellow Sweater は、少し前までグッゲンハイム美術館にありましたが、現在は、ジューイッシュミュージアムにやって来ています。

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2015年には、モディリアーニのこちらの作品がなんと $500 million 近い金額(約500億円)で落札されました。

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こちらは、モディリアーニについて紹介している映像です。

モディリアーニの様々な作品についてはこちらのビデオでよくまとめられています。

モディリアーニ展は、2018年2月4日までの開催となっています。

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ジューイッシュミュージアムでは現在もう一つ素敵な特別展が開催されています。メルヘンチックな作風で、ニューヨークを描いた作品も多いフローリン・ステットハイマーの特別展で 9月24日までの開催なので、両方の展示を合わせて見ることができるのは今週末までです。両方ともおすすめの特別展です。なお、ユダヤ教で安息日とされている土曜日(正確には、金曜の日没から土曜の夜まで)は、入場無料となっています。

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ジューイッシュミュージアムは、ユダヤの歴史や文化を知ることができる常設展もありますが、現在、新しい常設展 (Scenes from the Collection) の準備中で、来年オープンする予定になっています。

ジューイッシュミュージアム Jewish Museum ニューヨークのユダヤ博物館

ジューイッシュミュージアム The Jewish Museum New York
1109 5th Ave, New York, NY 10128 (92-93St) MAP

NYモディリアーニの特別展がスタート!ジューイッシュミュージアム was last modified: 9月 25th, 2017 by mikissh