ニューヨークのミッドタウンにある、モルガンライブラリー&ミュージアム (Morgan Library & Museum) に、久しぶりに行ってきました。モルガンライブラリーは、長期間の閉鎖を経て、9月初旬から再開し、Betye Saar さんの特別展がスタートしていましたが、10月2日からは、著名イギリス人アーティスト、デイヴィッドホックニー(David Hockney) さんの特別展もはじまりました。いつ訪れても感動する JP Morgan さんの美しい図書館に加え、80歳を過ぎても現役で、iPad などの新媒体での作品にも挑戦している、デイヴィッド・ホックニーさんの人物デッサンの特別展など色々な見どころがあります。
モルガンライブラリー&ミュージアム (Morgan Library & Museum) は、ミッドタウンのマディソンアベニュー沿い、36 St & 37 St にある、ジョン・ピアポント・モルガン (J.P. Morgan) さんの図書館を核としたミュージアムです。J.P. Morgan さん縁のお屋敷、オフィス、図書館などそれぞれ独立した4つの歴史ある建物を、2006年に完成した、現代的な Renzo Piano デザインのシンプルな新館が結びつけています。モルガンライブラリー&ミュージアムは、3月以降ずっと閉鎖が続いていましたが、9月5日から再開しています。
J.P. Morgan さんは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて金融を中心に財閥として活躍し、金融王と呼ばれることもある人物で、希少な書物、デッサン、美術品、歴史的な遺品など様々な分野の収集家としても知られています。コレクションの一部は、メトロポリタン美術館などへと寄贈されていますが、モルガンライブラリー&ミュージアムにも、希少な書物を中心に数多くのコレクションが残されています。
常設スペースの見どころの一つが、そんな J.P. Morgan さんが使用していた書斎です。100年前の様子が思い浮かんで来るような、厳かな雰囲気のオフィススペースです。初期オランダ絵画の巨匠、ハンス・メムリンク (Hans Memling) の作品なども飾られています。
こちらが、J.P. Morgan さんの個人図書館です。絨毯、タペストリー、天井画、彫刻など素晴らしいアートに囲まれた広大なスペースの図書館には、希少な書物の数々があります。
15世紀に初めて活版印刷を用いて印刷された、グーテンベルグバイブル (Gutenberg Bible) をはじめ、歴史的な写本や楽譜などが展示されています。
図書館の隣にある、かつて図書館員室だったギャラリー、The North Room では、中近東、エジプトなど古代文明の遺品が展示されています。こちらのギャラリーにも素晴らしい天井画が描かれていて、ヨーロッパにいるような雰囲気です。
入口を入ってすぐ右手方面にある特別展用ギャラリーに続く廊下にも美しい天井画が描かれています。モルガンライブラリーでは、例えば、レンブラントやロードオブザリングのもととなった指輪物語の原作者、トールキンなど、デッサンやイラストを中心に様々な面白いテーマの特別展が開催されています。
モルガンライブラリー&ミュージアムで、10月2日からはじまったばかりの新しい特別展が、イギリス人アーティスト、デイヴィッド・ホックニーの人物デッサンに焦点を当てた特別展、David Hockney: Drawing from Life です。デイヴィッド・ホックニーさんは、代表作の一つが、2018年、現役としては最高レベルとなる100億円で落札されたことも記憶に新しいアーティストです。
ホックニーは、自分自身や母親をはじめ、身近な人のデッサンを数多く描いていて、そんな作品の数々が、二つのギャラリーに渡り、100点近く展示されています。
こちらは、デイヴィッド・ホックニーさんの自画像。
ファッションデザイナーの Celia Birtwell。
親友で、アート制作の協力者でもあった Maurice Payne。
ピカソ風の作品は、友人でキュレーターの Gregory Evans。
人物画以外の、赤と黒が印象的なイラスト作品集も展示されています。
デイヴィッドホックニーさんの特別展は、2017年に、メトロポリタン美術館でも開催されていました。カリフォルニアに住んでいたこともあり、アメリカ西部を描いた印象的な作品も色々と残しています。
特別展ギャラリーは、2階にもあります。
20世紀初頭前後に活躍したフランス人アーティスト、Édouard Bénédictus さんのアールデコ風の綺麗なステンシル作品が、ギャラリーへと向かう途中の廊下に飾られています。
2階の特別展ギャラリーでは、LAベースで活躍する黒人女性アーティスト、Betye Saar さんの特別展、Betye Saar: Call and Response が開催されています。Betye Saar さんは、1926年生まれの94歳の現役アーティストで、1970年代頃から人種差別など政治的な意味合いが込められたアート作品を制作してきたベテランアーティストです。平面的な作品に立体的要素を取り込み、組み合わせるアサンブラージュの作品がよく知られています。
作風は、シリアスな感じではなく、どちらかというとユーモアと愛嬌がある柔らかな感じの作品が多い印象です。彫刻作品と一緒に、作品作りの前のイメージ図がメモ帳に描かれたイラスト作品も展示されています。
鳥かごに囚われた感じの閉塞感を表現した作品。
愛嬌のあるクマさんが印象的な作品など、可愛い童話作家風のイラスト作品も色々と展示されていました。
ミュージアムの中心にある、広々とした光がよく射し込む明るい広場は、ちょっとした休憩スペースになっていて、ジャズの演奏も行われていました。
広場の一角には、ミュージアムショップがあり、モルガンライブラリーのグッズの他、
特別展グッズも色々と登場していました。
毎週金曜日の午後3時から5時は、無料で開放されていますが、事前予約が必須となっています。ウィズコロナの特別ルール下でのミュージアム訪問となります。詳細は、こちら です。
モルガンライブラリーの基本情報は、こちらです。