ニューヨークの人気スポット、ハイラインの近くを歩いていると、通りすがりのニューヨーカーたちが次々と吸い込まれていく超人気スポットがありました。あまりににぎやかだったので、なんだろう?と思い、中へと入ってみると、あれあれ?なんかすごくなじみのある、みたことあるようなアート作品がいっぱい並んでいます。あまり知られていませんが、どうやら ミスター・ブレインウォッシュ (Mr. Brainwash) という変わった名前のストリートアーティストのポップアップアートギャラリーとなっていて、”Life is Beautiful” と題した展示が行われています。でもそのアートは、美術館のアート作品とは一味も二味も違っていて、パロディー仕立ての作品ばかり。思わずくすっと笑ってしまうようなユーモラスな作品が多く、あまりによくできたパロディー作品ばかりで、ちょっと感動してしまいました。
このアートは、ミスター・ブレインウォッシュ (Mr. Brainwash) という名前でロサンゼルスを拠点に活躍しているストリートアーティスト、Thierry Guetta さんのポップアップアートギャラリーで、14ストリートのハイラインの真下にあります。アインシュタインの “LOVE IS THE ANSWER” が描かれている建物の下のスペースで行われています。
ギャラリーの中にもアインシュタインの”LOVE IS THE ANSWER”のパロディーがいっぱいです。
ミスター・ブレインウォッシュ (Mr. Brainwash) こと、Thierry Guetta さんはかなり変わり種のアーティストのようです。フランス出身で、子供の頃に家族に連れられてアメリカ、ロサンゼルスにやってきたそうで、アーティストとなる以前は、古着屋の経営などアパレルビジネスで成功していたようですが、そのビジネスへの興味を失い、映像の製作にのめりこんでいきました。そんな中、撮影の対象として興味をもったのがストリートアートだったようです。ストリートアートといえば、ニューヨークでも、世界的にも有名なのは バンクシー (Banksy) さん。Thierry Guetta さんが映像製作者からストリートアーティストに転身する、有名になるきっかけとなったのは、実はその正体不明の伝説的なイギリスのグラフィティアーティスト、Banksy さんとの出会いだったようです。
Thierry Guetta さんが、Banksy さんのことを撮影したのですが、出来上がった作品はひどいものだったようで、そこで、どういうわけか、二人は役割を交代して映像撮影します。映像撮影するはずの Thierry Guetta さんがアーティスト役に。ストリートアーティストのはずの Banksy さんが映像ディレクターになりその時の作品を作ったのです。それ以降、すっかりストリートアートに目覚めたのか、Thierry Guetta さんもストリートアーティストとして活躍していきます。
巨人さんがいたり、キャンベルスープ缶のアートなどポップなアートも見ているだけで楽しいです。
あまりに斬新で楽しいアートに、みんな写真を撮ったりして楽しんでいます。
オバマ大統領がスーパーマンに!
美術館で見たことある絵かな、と思ったら、何か違う、さてどこが違うのでしょう?間違い探しのようです。
チャップリンのアートも得意のようで色々あります。
色々なキャラクターたちが共演したり。
ミッキーマウスも出迎えてくれます。
かわいいミッキー&ミニーの絵も好きなようです。
ノーマンロックウェルの絵なんだけど、スターウォーズのキャラクターたちがものすごく自然に入り込んでいます。
ノーマンロックウェルの作品はパロディにしやすいのかたくさんあります。
“Never Give Up!” いい言葉です。
ハートを打ってます。ナイス!!
こちらが、ストリートアーティスト、Mr. Brainwash誕生のきっかけとなった映像です。Banksyさんと役割を交代して、Thierry Guettaさんがストリートアーティストになり、映像ディレクターBanksyさんにより製作されたという、”Exit Through the Gift Shop”の作品の一部です。
実は、Thierry Guettaさん自身がBanksyさんではないかという噂もあるようです。
こちらがニューヨークだけでなく世界的にも有名な謎のアーティスト、Banksyさんです。ニューヨークに2013年に1か月ほどやってきて、正体不明で、誰にも気づかれずに、勝手にパブリックスペースにアートを描いたこともあり、前ブルームバーグ市長に、彼のウォールアートはアートではないと、名指しで批判されたこともありました。
アートとは個人的主観の強いもので、みんなが同意するのが特に難しいものだと思いますが、Mr. Brainwashのアート作品も例外にもれず、賛否両論があるようです。以前は、アートというとアーティスト本人がこだわりを持って全てを製作するという印象がありましたが、今は変わってきているようで、Mr. Brainwashは製作もチームで行っているようです。Mr. BrainwashことThierry Guettaさんは、アーティストなのか、ビジネスマンなのか、マーケターなのか、セールスマンなのか、単純に趣味に没頭しているのか、または、何か社会的な実験をしているのか、ネーミングからして謎に包まれた存在です。ちなみにこちらの記事で、Mr. BrainwashことThierry Guettaさんの軌跡について詳しく紹介されています。いずれにしても、現在のThierry Guettaさんのストリートアートにかける情熱は本物のようで、活動を本当に楽しんでいるように見えます。
こちらの映像では、Mr. Brainwash、また同じく有名なストリートアーティストであるShepard Faireyさんを対象に、アートって何?を問いかけています。
何はともあれ、Mr. Brainwashのユーモアのある面白い作品がずらっと並んでいて楽しいので、近くを通りかかったら訪れてみるといいかもしれません。最近、ある程度大きな都市を訪れると必ずといっていいほど目に付く、ウォールアートですが、グラフィティの元祖Banksyさんはもちろんですが、Mr. Brainwashも大きな影響を与える存在となっているようです。