オルセー美術館の見どころ 印象派の傑作が集まるパリの大人気ミュージアム

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パリには数多くの美術館がありますが、中でも人気があるのが、オルセー美術館 (Musée d’Orsay) です。オルセー美術館は、印象派、ポスト印象派など現在のアートにも強い影響を残す、フランスが世界の文化やアートの中心だったころの作品がたくさん集められているミュージアムで、世界のミュージアムランキングでトップに選ばれるなど、とても人気のあるミュージアムです。かつて、駅だった建物を利用して造られた美術館である、オルセー美術館は、美しく展示された見応えのある彫刻や絵画作品と並んで、その館内の雰囲気も大きな魅力となっています。
パリの人気のオルセー美術館への行き方、チケット情報から、見逃せないおすすめの作品コレクションの見どころとその回り方、美しい居心地のいいレストランとカフェなど、オルセー美術館へ訪れる前に知っておきたい情報も紹介します。

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オルセー美術館とは

オルセー美術館に入館すると、まず驚かされるのが、いかにもヨーロッパの駅らしい雰囲気を感じる建物です。それもそのはず、このオルセー美術館の建物は、もともとは、1900年にパリで開催された万博のために建設された駅 (Gare d’Orsay) を再利用し、1986年にオープンした美術館なのです。

芸術の街、フランス、パリで、世界最大ともいわれているルーブル美術館と並ぶ人気の「オルセー美術館」。そんなルーブル美術館とオルセー美術館の違いは、作品コレクションの時代です。ルーブル美術館は、1848年までの作品コレクションが中心となっているミュージアムなのですが、それに対し、オルセー美術館は、1848年以降から第一次世界大戦のはじまった1914年までの作品が展示されているミュージアムです。この時代というのは、フランス革命以降の混乱期を経て王政が終了し、フランスに民衆の時代が到来した時代でした。この時期パリは世界の文化やアートの中心的存在であり、印象派、ポスト印象派と近代アートの基となり、現代アートに大きな影響を与えてきた作品の数々が、ここオルセー美術館に展示されています。

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ヨーロッパの古典アートと言えば、宗教や神話、歴史、王侯貴族の肖像画などをモチーフとした作品が中心でしたが、自由の時代の到来により、自然や身の回りの景色などの日常的な光景を描く作品が増えていきます。そんな時代の変遷が、ルーブル美術館とオルセー美術館を訪れてみるとよく分かります。

フランスと言えば、啓蒙運動 (Enlightenment) が盛んだった国ですが、アメリカ独立戦争では、アメリカを援助したことでも知られています。その後、フランス革命、そしてそれに続く混乱期には民衆により何度も革命が起こっており、絶対王政時代のヨーロッパで、いちはやく共和制へと移行した自由の国、フランスの中心となる街、パリは、多くの人を惹きつける、ヨーロッパの文化の中心地としての地位を築きました。

フランスが、1886年にアメリカへ贈ったことで有名な 自由の女神 のレプリカが見られます。自由の女神は、現在、ニューヨーク、そしてアメリカの象徴ともなっていますが、バルトルディ (Frédéric-Auguste Bartholdi) によりデザインされました。

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オルセー美術館 行き方 チケット 入場料

オルセー美術館があるのは、パリの中心部、セーヌ川のそばで、対岸には、ルーブル美術館やオランジュリー美術館があります。
オルセー美術館の最寄り駅は、PER C線 オルセー美術館駅 (Musee d’Orsay) または メトロ12番線 ソルフェリーノ駅 (Solferino) です。

オルセー美術館の休館日は、月曜日です。
オルセー美術館の混雑状況は、ルーブル美術館の休館日である火曜日や、週末が特に混み合います。そのため、できるだけ週末と火曜日は避けた方がいい日です。私も最初、知らずに火曜日の朝一番にやって来てしまいましたが、人が溢れ返るくらいの信じられないほどの大行列ができていたので、その日は諦めました。

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(Google Map)

オルセー美術館 Musée d’Orsay
1 Rue de la Légion d’Honneur, 75007 Paris, France 地図

オルセー美術館 休館日 開館時間

休館日:月曜日、5/1、12/25
開館時間:9:30-18:00
木曜日のみ 9:30-21:45

オルセー美術館 チケット 入場料

チケット・入場料:€16
* パリパス (Paris Pass) も利用できます。
オルセー美術館のチケット購入、チケット情報は こちら です。

館内は、1階、2階、5階の3フロアから構成されており、3つのレストランとカフェ、ミュージアムショップがあります。

常設展の他、期間限定の特別展も開催されています。→ 特別展スケジュール

オルセー美術館のフロアプランはこちらです。→ オルセー美術館マップ

オルセー美術館 5階 印象派ギャラリー 見どころ

オルセー美術館の一番の見どころが、最上階、5階の印象派ギャラリーです。ルノワール、モネら印象派を代表する有名アーティストの名作がずらりと並べられた感動のギャラリーです。今でこそ、印象派やポスト印象派以降の作品が人気の高い作品となっていますが、それまでのヨーロッパ古典アートからすると、モチーフや描き方など様々な側面で印象派は革命的な変化だったため受け入れられるまでには相当な時間がかかりました。

ルノワール Pierre-Auguste Renoir

フランス、パリに来て、本当にたくさんの作品が見られ喜んでいたのは、ルノアール (Auguste Renoir) の作品です。
生き生きと躍動感あるタッチで描かれている『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』(Dance at Le Moulin de la Galette)。必見です!

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こちらもルノワール (Pierre Auguste Renoir) 作。都市と郊外でのダンスの様子を対照的に描いた作品、Country Dance、City Dance です。

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モネ Claude Monet

パリには、モネの作品が本当にたくさんあります。オランジュリー美術館 も素晴らしかったですが、オルセー美術館でも素晴らしい作品に出会えます。モネ (Claude Monet) の Blue Water Lilies です。

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とても優しい色使いの日傘をさす女性。

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モネの大聖堂のシリーズは、うっとりする色使いの美しいグラデーションの作品群です。同じ場所で、季節、時間を変えて、その陽の光の変化の様子を上手く捉えています。

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マネ Edouard Manet

印象派の先駆け的なアーティスト、マネ (Edouard Manet) の1863年の作品『草上の昼食』The Luncheon on the Grass。日常的なピクニックの光景にヌードの女性が登場し、当時かなり物議を醸した作品だったそうです。

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こちらは、マネが、印象派の女性アーティスト、Berthe Morisot を描いた作品です。

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ドガ Edgar Degas

ドガ (Edgar Degas) といえば、バレエと馬のモチーフです。
オルセー美術館には、バレエの作品が何点か展示されていて、こちらは、The Ballet Class です。

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バレリーナの彫刻、Small Dancer Aged 14。

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カイユボット Gustave Caillebotte

ギュスターヴ・カイユボット (Gustave Caillebotte) の 床削りの人々 The Floor Planers。ぞくっとするほどリアルに描かれています。カイユボットは、自身もアーティストでしたが、資産家の生まれで、印象派アーティストたちの支援者、コレクターだったことでも知られています。死後、その印象派コレクションは、国へと寄付されたそうですが、当時、印象派はマイナーな存在であったため、交渉は難航し、一部のみ受け入れられたそうです。残りは、後にそのコレクションがフィラデルフィアにある バーンズコレクション となる、Albert C. Barnes へと売却されました。

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セザンヌ Paul Cézanne

印象派以降、ポスト印象派として様々なアーティストが登場しましたが、中でも有名なアーティストの一人がセザンヌです。有名な静物画『リンゴとオレンジ』(Apples and Oranges) です。

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セザンヌの好んだモチーフの一つ、カードゲームをする人々 (The Card Players)。

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スーラ Georges Seurat

点描で有名なアーティスト、ジョルジュ・スーラ (Georges Seurat) のザ・サーカス The Circus。

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シニャック Paul Signac

スーラ同様、美しい点描作品で知られるシニャックの Entrée du port de la Rochelle。

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Cafe Campana

5階には、カラフルで楽しい雰囲気のカフェレストランがあります。

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2階 ポスト印象派、ロダンとアールヌーヴォーのインテリア

2階の右手には、ゴッホとゴーギャンを中心としたポスト印象派のギャラリーがあります。廊下部分には、見事な巨大な彫刻が立ち並び、ロダンの作品も展示されています。駅の待合室のような雰囲気の部屋が並ぶ、2階左手には、アールヌーヴォーのインテリアをはじめ、様々なアート作品も展示されています。

ゴッホ Vincent van Gogh

ニューヨークの メトロポリタン美術館 でも大人気の有名なゴッホの『自画像』があります。

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ニューヨークの MOMA にある同名の作品の少し違った雰囲気の作品、Starry Night です。

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ゴーギャン Paul Gauguin

セザンヌ、ゴッホと並ぶ、有名なポスト印象派のアーティスト、ゴーギャンの作品も色々と展示されています。こちらは、ポリネシア語で楽しいという意味の作品、Arearea。タヒチなど世界を旅したアーティストで、エキゾチックな作品を数多く残しています。

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2階の左手は、駅の待合室のような雰囲気の部屋がギャラリーになっています。

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マティスと共に独特な色使いが特徴のフォーヴィスム (Fauvism) を創始したアンドレ・ドラン (André Derain) の作品なども展示されています。

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2階には、Philippe Meyer さんが寄付した、印象派・ポスト印象派のコレクションのギャラリーがあります。ヴュイヤールやボナール、セザンヌ、モネ、マネ、珍しいアーティストとしては、モンドリアンなどの作品があります。このギャラリーには、La Soirée sous la lampe (Evening By Lamplight) がありました。

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2階左手手前には、19世紀の豪華な家具のコレクションが展示されている部屋もあります。

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アールヌーヴォーの家具

19世紀末から20世紀初頭の平和なベルエポック期に流行した丸みを帯びた華やかなアールヌーヴォーの家具の展示です。インテリア好きには、おすすめのギャラリーです。

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2階左奥には、アールヌーヴォーのインテリアに特化したエリアがあり、フランスの他、ヨーロッパ各国のアールヌーヴォーのインテリアも展示されています。ここでは、クリムトやムンクの絵画も一緒に飾られていました。

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オルセー美術館レストラン

オルセー美術館 2階には、豪華な内装でとてもお洒落なおすすめのレストランがあります。キラキラしたカラフルなかわいい椅子が並び、豪華な天井と美しいシャンデリアの美しすぎる、とても写真映えする、素敵なインテリアのレストランです。とても豪華な雰囲気ですが、お値段は良心的でコースランチで3000円くらいでした。レストランの営業時間とお食事のメニューは こちら

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1階 印象派以前のフランス19世紀アート

1階には、当時のフランスで主流だった18世紀の新古典主義 (Neoclassicism) や、19世紀のロマン主義 (Romanticism) の流れを汲む国立の美術学校が教えるアカデミックアート(Academic Art) の作品が展示されています。ロマン主義アーティスト、Thomas Couture の Romains de la décadence など大作が並んでいます。

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フランスの自然や農村の風景を写実的に描いた作品のギャラリーもあります。こちらは、動物や自然、日常の景色などを写実的に描いた19世紀の代表的なフランス人女性アーティスト、Rosa Bonheur による Ploughing in the Nivernais。

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バルビゾン村周辺の光景を描いたバルビゾン派の代表的なアーティスト、ジャン=フランソワ・ミレー (Jean-François Millet) の代表作、1857年に描かれた『落穂拾い』(Gleaners) は、見逃せない名作です。
この他、周辺には、ギュスターヴ・クールベなどロマン主義への反動から生まれ、印象派誕生へとつながる身近なモチーフを正確に描いた写実主義 (Realism) の作品が多く展示されています。

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いかにもアカデミックアートらしい作品。William-Adolphe Bouguereau の The Birth of Venus。

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歴史やオリエンタルなモチーフを描いたアカデミックアートのアーティスト、Jean-Léon Gérôme の作品。ルイ14世がベルサイユ宮殿で、出迎える歴史の一場面を描いた Réception du Grand Condé です。

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ミステリアスな神話の作品を描いた象徴主義 (Symbolism) の代表的なアーティスト、ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau) の作品もありました。こちらは、モローの1880年の作品、ガラテイア (Galatea)。パリには、ギュスターヴ・モロー美術館 もあります。

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ポスト印象派から宗教画など古典的なモチーフに回帰したアーティスト、モーリス・ドニ (Maurice Denis) の Jeu de volant。

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1階右手にあるロートレック (Toulouse-Lautrec Stained Glass) のギャラリーには、珍しいアールヌーヴォー的なステンドグラスもありました。この他、ボナールと共に、ナビ派の代表的なアーティストであるエドゥアール・ヴュイヤール (Édouard Vuillard) のギャラリーもあります。

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1階左奥にはカジュアルなカフェがあり、その前には、可愛い北極熊がいます。

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1階左奥には、ドラマチックな巨大な作品が並んでいます。歴史的な出来事を描いた Auguste Glaize の The Women of Gaul。

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1階の一番奥には、Charles Garnier によりデザインされ、1875年に完成したパリのオペラ座 (Opéra Garnier) の精密なミニチュア模型が展示されています。

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オルセー美術館は、19世紀から20世紀初頭にかけて世界のアートの中心であったフランスのアートの歴史も分かる見応えのある美術館です。
見学所要時間は、駆け足で一通り見て回る場合で半日程、ゆっくり見て回ると丸一日楽しめます。

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オルセー美術館の入り口ではかわいい象が出迎えてくれています。

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オルセー美術館のピカソの特別展も素晴らしかったです。

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世界3大美術館の ルーヴル美術館 も、パリで見逃せないおすすめのミュージアムです。
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オルセー美術館の見どころ 印象派の傑作が集まるパリの大人気ミュージアム was last modified: 8月 8th, 2023 by mikissh