ニューヨークのアッパーイーストサイド、ミュージアムマイル北部にある、シティオブニューヨーク博物館は、ニューヨークシティ (NYC) の歴史や文化を様々な角度から紹介している、NYC好きにおすすめのミュージアムです。ニューヨークの全てのミュージアム同様、今年3月中旬以降、長期間に渡り閉鎖されていましたが、一早く、激動の今年2020年のNYCの様子を紹介する屋外での写真展をスタートし、屋内のミュージアムも再開が可能となってすぐの8月27日からウィズコロナの特別ルールの下、シティオブニューヨーク博物館の館内の一般公開も再開しています。
ニューヨーク市博物館は、アッパーイーストサイドの少し北側、イーストハーレムのセントラルパーク沿いの5番街にあるミュージアムです。1929年から1932年にかけて建設された、イギリス植民地時代の建築によくみられるジョージアン様式を模したデザイン (Georgian Colonial Revival) の建物です。学校の校舎のような雰囲気ですが、実は、ニューヨークのアッパーイーストサイドを舞台にした人気ドラマ、ゴシップガール の学校の撮影場所としても知られています。
建物の正面入口前には、ウィズコロナですっかりお馴染みとなった、ソーシャルディスタンスの目印も用意されています。現在は、25%以下のキャパシティ制限があるため、時間指定チケットの事前購入が推奨されていますが、直接、訪れた場合でも、キャパシティに余裕があれば入館することができます。観光パスを利用する人は、オンラインでの予約なしで、直接訪れることになります。また、他のインドアサイト同様、館内では、マスク着用が必須となっています。
ニューヨーク市立博物館前のテラスでは、歴史的な年となった今年2020年のニューヨークの姿を捉えた写真展が行われています。
受付でチケットを提示し入館すると、早速、ミュージアムショップが広がっています。ミュージアムショップは、入館時と退館時に立ち寄れるように、1階の正門入口の両脇に2ヵ所ありますが、現在は、人の流れを一方通行にするため、博物館の出口は、地下一階となっています。
ミュージアムショップでは、NYC のお土産グッズが色々揃っていて楽しめます。
1階では、長期間に渡り開催されている NYC の歴史をテーマとした展示、NYC at Its Core が開催されています。正面入口の右手のギャラリーからスタートします。先住民の時代、オランダ植民地時代、イギリス植民地時代、アメリカ独立期など17世紀初頭から19世紀末までの重要な港街として発展を遂げた、NYC について紹介されています。
正面入口左側のギャラリーでは、19世紀末から現在まで大きく発展を遂げた NYC 軌跡が紹介されています。NYC at Its Core は、3部構成になっていましたが、現在は、おそらく人のフローの関係で、2部までの公開となっています。
NYC at Its Core の詳細は、こちらで紹介しています。
螺旋階段を上り、2階に向かいます。正面入口の向かいにある螺旋階段部分には、美しいライトのインストレーションアートが飾られていて、ニューヨーク市博物館のシンボルの一つになっています。階段ではなく、エレベーターで移動することもできます。
2階では、ニューヨークで、これまで行われて来た様々な社会運動をテーマとした Activist New York の展示が行われています。今年5月下旬に起こったGeorge Floyd さん事件以来すっかり広く知られるようになった、BLM 運動についてもその歴史が紹介されています。
その他、公民権運動や、女性の権利など様々な歴史的な社会運動について紹介されています。こちらも長期間に渡り開催されている展示です。
展示の合間には、少し変わったニューヨークらしいコレクションも展示されています。こちらは、とても精巧な作りのステットハイマー・ドールハウスです。ニューヨークで20世紀前半に活動した女性アーティスト、フローリン・ステットハイマーさんの姉の Carrie Walter Stettheimer さんのドールハウスです。Stettheimer家に出入りしていた、Marcel Duchamp ら当時の著名アーティストたちも一部制作に参加していたそうです。
ちなみに、フローリン・ステットハイマーさんは、当時はあまりよく知られた存在ではありませんでしたが、現在では、メトロポリタン美術館、MoMA、ホイットニー美術館などニューヨークの主要美術館でその作品が展示されています。ジューイッシュミュージアムでは、特別展も開催されていました。
2階では、この他、ニューヨークでのバスケットバールの歴史を紹介する、City Ball と題された展示も行われています。
時代毎に、ユニフォーム、バスケシューズ、写真など様々なアーティファクトが展示され、ニューヨークでのバスケの歴史を辿ることができる、バスケファン必見の特別展です。2021年1月18日までの開催です。
2階には、大きな窓からの光が気持ちいい、セントラルパークを望む休憩スペースがあります。
3階では、ニューヨークを様々なデータを視覚化し理解するという面白い視点の特別展、Who We Are – Visualizing NYC by the Numbers が行われています。今年、2020年は、アメリカでは、10年に一度の国勢調査 (Census) が行われる年ですが、そんなデータの大切さを訴える意味合いもあります。国勢調査の結果は、予算など将来に色々な影響を与えることになります。アメリカ在住者は、もうすぐ Census 2020 の閉め切りが迫っているので、まだ完了していない人は急ぎましょう。
ニューヨークのデータという事で、デジタル中心、地図が主役の展示となっています。ニューヨークでは、オープンデータ の取り組みがあり、多くのデータが公開されています。新型コロナに関するデータ も分かりやすく公表されています。
NYC で人々が使用している言語地図、地域毎の家庭の収入の中間値を視覚化したという抽象アートのような作品も展示されています。
3階では、ニューヨーク市博物館のコレクションの中からセレクトされた写真展、Collecting New York’s Stories も開催中です。
様々な時期に活躍したフォトグラファーたちにより撮影された NYC の色々な姿が楽しめます。
白黒やカラーの風景写真から、人々の日常の写真など多岐に富んだ ニューヨークを舞台にした作品が展示されていて面白いです。
その時代の雰囲気が伝わってくる生き生きとした作品がたくさんありました。Collecting New York’s Stories は、今年いっぱい、2020年12月31日までの開催です。
この他、廊下では、ブルックリンで活動するフォトグラファーカップル、Alex & Rebecca Norris Webb による The City Within と題された写真展も開催されています。ブルックリンの日常の光景をテーマとした写真ですが、それぞれの個性が出ていて面白いです。
1階は入口のみで、出口は、地下1階になっています。地下1階には、ミニシアターがあって、Timescapes と題された映像作品が上映されています。廊下では、Timescapes の作品の一部などの写真が展示されています。
ミニシアターは、少し狭いという事で、現在は、広々としたイベントスペースで上映されています。
シティオブニューヨーク博物館では、NYC らしい個性的なテーマの特別展が色々と開催されていて、NYC、歴史、アート、写真などが好きな人におすすめのミュージアムです。こちらは、以前訪れた時の様子です。
ニューヨークのミュージアム・観光地が続々オープン中です!