インディペンデンスホールなどフィラデルフィアの見どころが色々と集まっているインディペンデンスモールには、2010年に誕生した、国立ユダヤ系アメリカ人歴史博物館 (National Museum of American Jewish History) があります。スミソニアンミュージアムの一つで、様々な分野で活躍し、アメリカの歴史にも大きな影響を与えてきたユダヤ系アメリカ人に関する歴史が紹介されている見応えのあるミュージアムです。
ミュージアムの前には、アメリカ独立100周年を記念して、ユダヤ系アメリカ人の彫刻家により、1876年に製作されたという Religious Liberty が立っています。もともとはフェアモントパークにあったようですが、1986年からは、リバティーベルにも近い現在の位置にあります。自分達の土地を失い、世界を放浪し、マイノリティーとして様々な国で生きてきたユダヤ人にとって、宗教の自由をはじめ、個人の自由を保障したアメリカは夢の国だったのもしれません。
ミュージアムはとても開放的な作りになっています。2階から4階は、常設展になっていて、年代毎に分かれた展示となっていて、最上階の5階は特別展となっています。
まず最上階に向かいます。現在、行われているのは今からちょうど100年前、1917年をテーマとした特別展です。1917年は、アメリカが第一次世界大戦に参戦したり、ロシア革命が起こったりとその後の世界の大きな転機となった年です。
1914年からはじまった第一次世界大戦の様子が解説されています。
ドイツの潜水艦によりイギリスの船が沈められ、多数のアメリカ人の死者が出たこと、またドイツがメキシコを仲間にしようと企てていたことなどにより、1917年にアメリカも参戦することとなりました。
すっかりお馴染みとなった軍隊のリクルーティング用ポスターです。
とても見やすいわかりやすい展示となっています。
自由の女神が印象的なポスター。
1918年に終戦を迎え、新しい平和な年を祝っています。
そんな平和も束の間、自由主義 vs 社会主義という新たな対立の芽が生まれた時代でもありました。
常設展は、アメリカへやって来たユダヤ人の視点で、時代を追ってその歴史を紹介しています。
世界中に散らばるユダヤ人たち。
4階は、Foundations of Freedom: 1654 – 1880
3階は、Dreams of Freedom: 1880 – 1945、
2階は、Choices and Challenges of Freedom: 1945 – Today となっています。
所々に映像があり、分かりやすく紹介されています。
チャンスを見つけては、次から次へとやって来たユダヤ人たち。大都市には必ずユダヤ人がたくさん集まるコミュニティーが出来ていたようです。
ビジュアルが美しい上手な展示となっています。
ニューヨーク州のサラトガスプリングという温泉で有名な街は、19世紀頃、アメリカ人の大人気バケーションスポットでした。そのサラトガスプリングの Grand Union Hotel で起こったユダヤ人を泊めない反ユダヤ的な事件も紹介されていました。
みんなが質問に答える形式のインタラクティブな展示も。
紹介ビデオです。
1階では、著名なユダヤ系アメリカ人の紹介とその人々の愛用品などが展示されています。
おみやげ屋さんとカフェも併設されています。
おしゃれなメノラ (Menorah) など、ジューイッシュらしいセンスのいいおみやげが並んでいます。
ジューイッシュから見た、広く言えばアウトサイダーの移民的視点から見た展示となっていますが、歴史好きであれば、興味深く楽しめる内容のミュージアムとなっています。
国立アメリカ ユダヤ人歴史博物館 National Museum of American Jewish History
101 S Independence Mall E, Philadelphia, PA 19106 MAP
フィラデルフィアの見どころはまだまだいっぱいあります。