ニューヨークのお隣、ニュージャージー州で一番大きな都市であり、国際空港もある、ニューアークという街に、ニューアークミュージアム (Newark Museum) という美術館があります。ニューアークの街へはニューヨークシティからも比較的簡単にアクセスできるので訪れてみました。ニューヨークにはメトロポリタン美術館など優れたミュージアムがあまりにも多いため、ニューアークミュージアムはそれほど注目を集めることがありませんが、ニューアークミュージアムならではの個性的なコレクションが揃っていてなかなか面白いミュージアムなので紹介したいと思います。まず、一番印象的なのは、19世紀後半に建てられたお屋敷をそのままミュージアムとして利用していて、そのお屋敷の空間に入るとタイムスリップしたかのような雰囲気を味わえます。こんなところに、こんな隠れミュージアムがあったのかとちょっとびっくりさせてくれます。
ニューアークミュージアムは、メインビルディングの他、ノースサイドとサウスサイドのお隣同士の建物3つ分が全てミュージアムとなっています。
実はこのニューアークミュージアムは、1909年にオープンした、100年以上もの歴史を誇るミュージアムです。ニューアークという街は、20世紀後半から衰退をはじめ、1990年代にはアメリアで最も危険な都市に選ばれたこともあるのですが、それ以前は、とても栄えた都市で、20世紀前半には、アメリカで最も交通量の多い交差点があったことでも知られています。
このミュージアムもそんな時代の名残りだと思いますが、最近、明るい兆しが出てきているような感じを受けます。
こちらのお屋敷は、Ballantine Houseと呼ばれ、当時、大きなビール会社を経営していたJohn Ballantineさんにより1885年に建てられました。National Historic Landmarkにも指定されている建物です。
お屋敷の風格漂うインテリアが見ものです。
ちなみに1906年当時、Ballantineのニューアークのビール工場はこんな様子だったようです。一時はアメリカでも有数のビール会社だったそうですが、20世紀後半、ニューアークの街の衰退と共にこの工場も衰退し、現在はPBRで有名なPabst Brewing Companyがブランドを所有しているそうです。
この他、特に感動させてくれたのがチベットアートの展示です。
ニューヨークにもチベット、ヒマラヤ、ネパール周辺のアートに特化したルービン美術館がありますが、ニューアークミュージアムのチベットアートのコレクションも目を見張るものがあります。
リンカーン像。
日本美術、特に浮世絵のコレクションも充実していてなかなか驚きました。葛飾北斎や歌川広重の浮世絵コレクションもあります。
オキーフ (Georgia O’Keeffe) の美しい花の作品のコレクションもありました。
エドワードホッパー(Edward Hopper)。
ニューヨークのブルックリンブリッジなどをテーマにしたアートコレクション。
イサム・ノグチの作品もあります。
ニューヨークのクイーンズにイサム・ノグチの専門ミュージアムもあります。
この他、こちらのビデオで紹介されていますが、ニューアークの都市を3Dで体験できる映像の展示もあります。
19世紀から20世紀前半、とても繁栄していたニューアークには素晴らしい建築のビルや教会などが建てられ、現在でも残っていることを再認識させてくれます。
中庭のガーデンへ出る扉を開けると、美しい緑の芝生が広がっています。
中庭には、ちょっとした彫刻アートが見られたり、消防の展示のミュージアムもあります。
週末のちょっとしたおでかけにいかがでしょうか?
Newark Museum
49 Washington St, Newark, NJ 07102 MAP