ニューヨークは、新型コロナウイルスの感染者、死者共に激増中で、ニューヨークはアメリカだけでなく、すっかり世界の新型コロナウイルスの中心地となっています。数字を見てみると、ニューヨーク州だけで、イタリアやスペインとほぼ同レベルとなっており、そんなニューヨーク州の中でも最も感染者が集中しているのが、ニューヨークシティ (NYC) です。NYC での新型コロナウイルスのこれまでの経緯と、今後一週間前後でコロナ感染のピークを迎えるニューヨークの現状を紹介します。
新型コロナウイルスによる医療危機真っ只中のニューヨークは、ロックダウンから2週間が経過しました。医療機関のキャパシティ的には、一番厳しい時期をこれから迎えようとしていますが、そんなニューヨークの現状とこれまでの経緯を紹介します。
ニューヨークの感染者
現在、ニューヨークシティでは連日、数千人規模の新たな感染者と、数百人規模の死者が出る日々が続いていますが、4月5日現在、感染者数は6万5千人、死者は2千5百人程となっています。
エリア別の感染者も発表されており、ニューヨークシティの中でも、どのエリアにどれくらい感染が広がっているかを地図で一目で知ることができます。
現在(4月3日時点)の最新情報のニューヨークシティの感染者のロケーション分布は、以下のようになっています。
色の薄いグレー色が少ないエリア。そこから濃い紫色になるほど感染者が多いエリアとなります。
最も感染者が多いエリアが、クイーンズ。ニューヨークのコロナニュースでよく登場する、エルムハースト病院などがある地域です。続いて、ブルックリン、ブロンクスとなり、マンハッタンから少し離れたエリアに感染者が多くなっています。
コロナの感染拡大に伴い、外出自粛がされている時でも、職業柄、外で働き続けている人も多いからかもしれません。また、家賃の高いニューヨーク特有の環境で、大家族だったり、ルームシェアで生活している人々も多く、大勢で生活環境を共有することによって、家にいても感染リスクが高まっていることも考えられます。現在、数字に反映されているのは、特に重症者の数なので、肺などに持病があったり、高齢だったりと、通常時の健康状態も関連していると思われます。
ニューヨークのコロナ感染者の詳細な情報は、ニューヨークシティの こちら で公表されています。
ニューヨーク州全体の情報は、こちらの COVID-19 トラッカー で見ることができます。犠牲者の人口統計学的属性は、こちら。
現在ロックダウン中のニューヨークですが、コロナは潜伏期間が長いウイルスのため、今の自宅待機の成果は数週間後に現れます。家族など同居者間の感染の可能性はまだあるかもしれませんが、ソーシャルディスタンス、自宅待機を徹底してからは広範囲での感染は抑えられていると思われます。
ニューヨークコロナのこれまでの経緯
もう遠い昔のような気がしてしまいますが、ニューヨークで初の新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは、まだほんの1か月程前、3月になってからのことです。
2020年3月1日 ニューヨーク州初の感染者確認
新型コロナウイルスは、この頃はまだニューヨークでは遠い国で流行している病気という認識でした。
まだ普段通りの生活をしていました。
2020年3月11日 WHO パンデミック宣言
ヨーロッパからアメリカへの渡航禁止に ヨーロッパからの旅行者の入国制限がはじまります
旅行者が減ってきます。
2020年3月13日 アメリカ国家非常事態宣言
アメリカで、本格的なコロナ対策がスタートしました。
2020年3月12日~
ブロードウェイミュージカル休演、そしてすぐ、メトロポリタン美術館の休館 のニュースも出て驚いていたら、続けて他の ニューヨークのミュージアムも全休業に。
非常事態宣言前後もしばらくは、グローサリーショッピングをしたり公園でくつろいだりと、まだリラックスした雰囲気がありました。
2020年3月17日 さらに本格的になり、ニューヨークのレストランが閉鎖 し、テイクアウトとデリバリーのみになります。
2020年3月19日 世界への旅行アドバイザリーレベルがアップ “Do Not Travel” に。
2020年3月20日 ニューヨーク州大規模災害宣言
ニューヨークがアメリカの大感染の中心地に。ニューヨーク州の感染者数が一万人越え。
2020年3月22日 ニューヨーク州で外出禁止令 New York on PAUSE
不要不急の外出は禁止に。食料品の買い物や運動はOK。できるだけ #StayHome 自宅待機になります。
リモートワーク推奨に。オフィスの25%の社員がリモートワークすることというルールだったのですが、3/22 から 100% リモートワークが義務付けられました。
2020年3月30日 ニューヨークに医療船 USNS Confort が到着。ジャビッツセンターなど臨時病院もオープン。
準備期間を経て、いよいよ医療キャパシティ的に最も厳しい時期に突入していき、今後数週間、多数の死者が続くことが予想されます。
2020年4月3日 ニューヨークのロックダウン開始から2週間
世界のコロナ感染者数が100万人を超え、ニューヨーク州の感染者数も10万人越え。世界一の大感染都市になってしまいました。
ニューヨーク周辺では、ちょうどロックダウンがスタートしてから2週間経ちます。感染した人の多くは、2-14日間程で症状が現れます。検査数自体は増えてはいますが、多くの人は検査を受けずに自宅で自力で回復するため、検査を受けている人は、より重症のケースが多く、発症してからさらに4日から1週間程経過した後にテストを受けている人が多いと思います。
また、検査結果が出るまでにも最低でも数日間かかるため、直近の結果は、数日前に行った検査の結果を表しています。
そうすると、感染者数の増加が目に見えて鈍化・減少してくるのは、ロックダウンしてから2-3週間後からとなります。
つまり、医療機関は、これからしばらくが最も過酷な山場を迎えることとなりそうです。
2020年4月6日 ニューヨーク自宅待機延長
ニューヨークの自宅待機期間が4月末まで延長になりました。
ソーシャルディスタンスをさらに徹底させるために罰金が1000ドルに値上がりました。
2020年4月9日 死者数最多となるものの、新入院患者数が減少に
ニューヨーク州のこれまでの感染者数は、約16万人。
死者数が1日で799人。トータルで、7000人越えです。
ロックダウンを始める前に多くの人々が感染し、現在重症になっていますが、ロックダウンの効果が、新規入院患者数の減少に表れてきています。
2020年4月14日 感染者数が減少に
自宅待機によるソーシャルディスタンスの効果が表れてきており、感染者数が減少してきています。
2020年4月23日 コロナ抗体検査
4月20日からニューヨーク州で抗体検査が開始されました。その検査結果によると、ニューヨークシティでは、5人に1人が抗体を持っていました。
2020年5月11日 経済再開の7つのメトリクス & 4つのフェーズ
段階的に自宅待機を解除していく方針ですが、その条件と、フェーズが具体的に示されています。
ブロードウェイの再開が9月に延長に なりました。
コロナによる経済的なダメージも大きいニューヨークですが、支援金が人々の手に届いてきており少し活気が戻ってきているのが感じられます。
2020年6月8日~ 経済再開フェーズ1~4
ニューヨークのコロナ感染者数は、かなり落ち着いてきて、予定通り、経済再開の第一歩を踏み出し始めました。
フェーズ1 2020年6月8日~
フェーズ2 2020年6月22日~
ニューヨークのコロナ対策準備状況
ニューヨーク州では、地域、公私など既存の運営上の区別の壁を取り払い、人材も器具もリソースをみんなでシェアして協力して乗り切る方針です。NYC の一部の病院では、既にキャパシティがいっぱいとなっているようですが、そんなリソース不足を解消すべく、ニューヨーク州内、他州、から多数のボランティアが集まってきています。
また、最大の問題となっているのが、人口呼吸器不足ですが、ニューヨーク州内の病院間で必要に応じて、不足エリアに配分される他、連邦政府や中国、オレゴン州などからも人口呼吸器がニューヨークにやって来ていて、まだ必要とされる見積もり数には達していないようですが、かなりの成果が上がっています。
臨時病院
Javits Center をはじめ、NYC のそれぞれの地域に、急遽、臨時病院が設置されました。Javits Center は、もともとは、新型コロナウイルス以外の普通の患者さん用の病院となる予定でしたが、現在では、新型コロナウイルス用に変更されています。アメリカ軍の医療部隊から1000人程が派遣されてくる予定になっています。
In New York, the @USACEHQ, together w/several agencies including the @USNationalGuard, @fema, & @CDCgov, has transformed the iconic Jacob K. Javits Convention Center into an emergency hospital as part of the DOD’s #COVID19 response efforts. Learn more: https://t.co/BiVBwGhJQy pic.twitter.com/9jUEcm90MA
— Department of Defense 🇺🇸 (@DeptofDefense) April 3, 2020
アメリカ医療船 USNS Comfort
ピア90には、新型コロナウイルス以外の普通の患者さんの急患用に、アメリカ医療船 USNS Comfort も待機しています。多くの人が自宅待機しているため急患も少なく、状況によっては、新型コロナウイルス用に使用する可能性もあるようです。
2020年4月6日 新型コロナウイルス治療用の病院になりました。ニューヨークだけでなく、お隣のニュージャージー州の患者さんも受け入れます。
セントラルパーク野外病院
この他、セントラルパークにも新型コロナウイルス患者用の仮設病院が登場しています。
新型コロナウイルスは、感染者数増に気づいたときには、もう時すでに遅しで、本当にあっと言う間に感染者数が爆発します。無症状の感染者からも感染するということで、CDCもマスクを推奨する ポリシー変更をしましたが、本当に感染力が高いです。まだ大丈夫だけど、一応念のためにくらいの気持ちの時に対策をはじめてちょうどいいくらいなのかもしれないということをアメリカの他州を見ていて思いました。そうでなければ、今のニューヨークのように、猛スピードで、全力でできる限りの対策を取っていかないと、助けられる命も助けられなくなってしまうくらい危機迫る大感染病です。
ニューヨークの様子
今世界各国で、コロナ対策の自宅待機令が出ていますが、グーグルでは、世界各地のソーシャルディスタンシングの具合を数字で見られる、COVID-19 Community Mobility Reports を発表しています。世界中の人々の動きを知ることができるグーグルならではの面白いデータで、平常時と比べて現在明らかに人々の活動量が減っているのがわかります。
そんなグーグルのデータからも、ニューヨークをはじめ全米の多くの州の自宅待機令の効果を示すデータもいくつか出てきています。ニューヨーク州に関するデータは、こちら (PDF) で、通常時と比べると大幅な減少が見られます。
またグーグル以外にも、例えば、ナビゲーションアプリ (CityMapper) の経路検索の頻度の変化も発表されています。ニューヨークを含め、全米各地での移動検索が自宅待機令により激減し、通常時の10%以下となっていて、不慣れな場所でうろうろしている人は、ほぼいなくなっているようです。
(voro.com)
ニューヨークは閑散とし、現在街の様子は、こんな感じになっています。
ニューヨーカーたちはこれ以上病院に負担をかけないためにも自宅待機を守り、引きこもり生活を続けながら、医療関連など現在でも外で頑張って働き続けている人たちを影ながら応援し続けています。
経済対策など、アメリカが行っている新型コロナウイルス対策を、こちらで紹介しています。