ニューヨーク夜間外出禁止令のアップデート情報です!
昨夜、午後11時から午前5時まで、一日限りの夜間の外出禁止令が出ていた、ニューヨークシティ (NYC) ですが、状況は改善せず、今夜からも引き続き、外出禁止令が続くことになりました。今後、6月7日(日)の夜まで、毎晩、午後8時から翌午前5時までの間が、外出禁止 (Curfew) となります。
ニューヨークでは、大規模な抗議デモの広がりを受け、お店のショーウィンドウが破壊され、商品が盗まれるなど犯罪行為も目立つようになり、昨日、6月1日、初の夜間外出禁止令が出ましたが、夜遅くからのスタートだったこともあり、今度は、ヘラルドスクエアや5番街などで被害が出てしまいました。こちら の映像で、昨日の様子が紹介されています。犯罪に加担しているのは、抗議に参加している人々ではなく、どうやら混乱に乗じた組織的な専門犯罪グループのようなので、NYPD も知恵を絞った対策が必要になりそうです。
昨日の状況を受け、夜間外出禁止令は、はじまりの時間を午後8時からとし、NYC の経済再開予定日 前夜の 6/7 夜まで延長されることになりました。詳細は、こちら で、救急や消防隊員、エッセンシャルワーカー、ホームレスなどは対象外となっています。エッセンシャルワーカーのために、公共交通機関は動き続けます。
さらに、夜間外出禁止令中は、マンハッタンの96th St 以南へは、一般車両進入禁止となるようです。
TRAFFIC CLOSURE:
At 8pm tonight when the #curfew begins in #NYC, there will be NO vehicular traffic allowed south of 96th Street in Manhattan — with the exception of residents, essential workers, busses, and truck deliveries. pic.twitter.com/bpiVb45Gej— Chief Terence Monahan (@NYPDChiefofDept) June 2, 2020
ニューヨークシティは、現在、まだ New York on PAUSE の自宅待機令中ではありますが、静かだったコロナの自宅待機の時から一転し、ここ数日、大規模デモで街が大騒ぎになっています。一週間前にミネソタ州で起こった、アフリカ系アメリカ人、ジョージ・フロイド (George Floyd) さんが警察官の手によって亡くなってしまう、という悲しい事件をきっかけに全米各地に広がっている大規模デモに人々の注目が集まっています。抗議デモに参加している大部分の人は、本来の抗議活動のルールに則り活動を行っているのですが、中には、犯罪行為も勃発しており、特に昨夜は、ニューヨークの高級ショッピング店が集まる SOHO など一部エリアのお店が破壊され、店内の商品が奪われるなどの事件も起こっており、防犯のため夜間外出禁止令が出されました。
コロナにより、約2ヶ月半程、ロックダウン状態で、6月8日の経済再開の第一歩を控えるニューヨークですが、そんな穏やかだった NYC から一転し、一部エリアで活発となっているのが、大規模な抗議デモです。NYC だけでなく全米各都市で、活発になっている抗議デモのきっかけとなったのは、今から一週間前、5月25日にミネソタ州ミネアポリスで起こった、アフリカ系アメリカ人、George Floyd さんが、路上で、警官により押さえつけられ、窒息死してしまうという悲しい事件 (映像) です。ニューヨークのセントラルパークでも、白人女性が、黒人男性にルール違反を注意されたことに腹を立て、その男性に襲われている、という虚偽の 911通報をした事件 (映像) も先日ありました。これらの犯罪は、決して許されることではありませんが、コロナによるアジア系やユダヤ系への差別などにも見られたように、パンデミックへの恐怖感や、長い期間、自宅隔離していたことにより、ストレスフルな状態の人が増えていて、精神的にも大きな影響を与え、差別や苛立ち、攻撃性という形で表れているのかもしれません。いずれにしても、司法により公正な裁きが迅速に行われることが期待されます。
そして、そんな悲しい差別的な事件をきっかけに、全米、世界各地に広がっているのが、抗議デモです。バスキアも、警察をモチーフとした作品を多数描いていましたが、以前ほどではないかもしれませんが、今でも、アフリカ系アメリカ人にとっては、警察に理不尽な対応を受けることがまだまだあるのかもしれません。
バスキア グッゲンハイム美術館で行列の人気特別展開催中!Basquiat’s “Defacement”: The Untold Story
大多数は、ルールに則った大人な抗議活動を行っているのですが、そんな中に、混乱に乗じて、人や物を破壊する犯罪行為を行っている人も出てきています。昨晩は、特にひどい事態となり、SOHO などのお店屋さんの窓ガラスが割られ、商品がごっそりと盗まれていました。ケートスペードや、ルルレモンのお店の現場も中継されています (映像)。ただでさえ、コロナで大打撃を受けているリテールにとっては、ダブルパンチとなっています。一方、逆に、警察が、無抵抗の人に暴力を奮うといったケースもあったようで、早急なレビューと処分を行うと発表されています。
そんな状態を受け、NYC は、今夜、23時から明日5時まで夜間外出禁止令が出されました。明日以降は、今夜の状況を見つつ、判断するそうです。
New Yorkers: I’ve spoken with @NYGovCuomo and for everyone’s safety we have decided to implement a citywide curfew in New York City tonight. It will take effect at 11pm and be lifted at 5am tomorrow morning.
— Mayor Bill de Blasio (@NYCMayor) June 1, 2020
IMPORTANT NEWS:
There will be a citywide curfew in NYC starting at 11pm TONIGHT (6/1), lasting until 5am.
NYC residents — you must stay home after 11 PM! pic.twitter.com/gZXBvPOmOp
— Andrew Cuomo (@NYGovCuomo) June 1, 2020
New York on PAUSE 中で、特に外に出る用事がない人が多数だと思いますが、いつにもまして、今日は家に籠るべき夜となります。
人種による差別をなくし、平等にするという公民権運動 (Civil Rights Movement) は、アメリカに歴史的な変化をもたらしてきました。
ワシントンDCのアフリカンアメリカン歴史文化博物館 (National Museum of African American History and Culture) では、“Talking About Race” という人種差別、人種アイデンティティなど人種に関するポータルをリリースしています。
Today we launch Talking About Race, a new online portal designed to help individuals, families, and communities talk about racism, racial identity and the way these forces shape every aspect of American culture.
Learn more: https://t.co/mq9SzLjob8 #APeoplesJourney #ANationsStory
— Smithsonian NMAAHC (@NMAAHC) May 31, 2020
アフリカンアメリカン歴史文化博物館は、アメリカ初期の奴隷制度の時代からリンカーンによる奴隷解放宣言、マーティンルーサーキング牧師ら多くのアフリカ系アメリカ人が活躍した20世紀の公民権運動、スポーツ、音楽、アートなどアフリカ系アメリカ人の文化など様々な角度から紹介しています。
アトランタには、マーティンルーサーキング牧師の家をはじめ、公民権人権センター (National Center for Civil and Human Rights) など公民権運動の歴史を紹介した学び多き場所がたくさんあります。
反差別や公正さを訴える抗議デモは理解できますが、暴動や強盗事件などは、最近の平和なニューヨークの情勢からはちょっと考えられない事態です。パンデミックを引き起こしたウイルスより、集団の人間の狂気の方が怖いという事態にならないように、一日も早く落ち着いた状態を取り戻し、建設的な前向きな活動ができるニューヨークになることを期待しています。