ニューヨークの SoHo やロウアーイーストサイドでは、現在、NYC の今を表現した様々なストリートアートやメッセージが描かれ、街中が、ストリートアートギャラリーとなっています。クリエイティブな街、ニューヨークでは、普段からウォールアートや彫刻など様々なパブリックアートが街中に登場し、楽しませてくれますが、数ヵ月間にも及ぶロックダウンで蓄えられたパワーが、マーチやアートなど色々な方面に爆発しています。テーマの中心となっているのは、やはりジョージ・フロイドさん事件をきっかけとした Black Lives Matter ですが、ロックダウンの大元であるコロナアートや、その他、ニューヨークの今を反映した様々な作品が街中に描かれています。
5月下旬に起こったジョージ・フロイドさん事件をきっかけに、”Black Lives Matter” というかけ声の下、警察による不要な暴力行為の禁止と、透明性が高い公正な司法を求め、全米、世界各地で抗議活動が起こり社会現象となっていますが、ニューヨークでも、今も大規模な抗議活動が続いています。
ニューヨークでは、抗議デモがはじまったばかりの頃、平和な抗議デモに紛れて、高級ブランド店が並ぶ SoHo や 五番街などいくつかのエリアで、お店の 破壊や略奪などの犯罪行為 が起こってしまい、防犯のため、ドアやショーウィンドウを木の板で覆ってしまうお店が増え、しばらく悲しい光景が広がっていました。しかしその後、そんな木の板をキャンバスとして、ニューヨークのアーティストたちが動き出し、街中がニューヨークの今を表現するストリートアートでいっぱいとなっています。
特にストリートアートが集中し、アートギャラリーのようになっているのが、ソーホー (SoHo) です。SoHo と言えば、かつては、レントが安いエリアで、アーティストたちがたくさん住んでいましたが、現在では、高級ブティック店やギャラリーが立ち並ぶトレンディエリアとなっています。まだ多くのお店が閉鎖されているため、閑散としていますが、そんな昔の Soho にタイムトラベルした感じになっています。
そんな Soho のアートを見ることができる場所は、Soho の南部、Grand St から Spring St と W. Broadway と Broadway のエリアです。
一枚見かけると、その周囲にアートが次々と現れるので、まるでアートギャラリー巡りのように、クルクルと見て回りたくなってしまいます。
ニューヨークをテーマとした作品がたくさんあります。
“SOHO is for Artists!” かつてアーティストの街だった SoHo を想起させてくれます。
1960-1970年代頃の SoHo 周辺は、誰も住まない危険地帯で、レントも安かったため、若いアーティストたちがたくさん移り住んでいました。今世界のミュージアムで人気になっている有名アーティストたちもたくさんこのエリアにいました。例えば、草間彌生、バスキア、Donald Judd、Eva Hesse らは、SoHo のロフトで暮らし、製作を行っていました。現在の Soho は、レントが高騰し、高級ブティック店や高級ギャラリーの街になってしまいましたが、今この閉鎖中の間だけの、束の間のアーティストたちの自由なキャンバスとなっています。
“NY LOVE” ニューヨーク愛を伝える可愛らしいキャラクターたちが集まる微笑ましい可愛い作品。
“NY Tough
Smart, United, Disciplined, Loving”
コロナを乗り越えてきたニューヨーカーたちの合言葉です。
ニューヨークでは 3月1日から連日、ニューヨーク州知事のクオモさんが一日も休まずに会見も開き、ステイホーム中のニューヨーカーたちの毎日の支えになっていましたが、そんなニューヨーク州知事、クオモさんの決め台詞の言葉で、アートとして登場していました。
いよいよニューヨーク州の感染状況も落ち着いてきたため、昨日、6月20日、111日目で、クオモ知事の会見は終了となりました。でも111日間、土日も返上で毎日毎日会見を開いていたのは本当すごいことであり、こうして、ニューヨーカーたちにも思いが伝わっています。
“New York is Closed until JUSTICE IS REAL” と言うメッセージが印象的な漫画の一コマのような作品も。ニューヨーク州では、早速、警察・司法の透明性を高め、チョークホールドを禁止するなど、法律の改正 が行われました。
ニューヨークの摩天楼を代表するエンパイアステートビルとクライスラービルが、”Color is not a crime” というメッセージと共にカラフルな色合いで描かれています。
いつもと違うソーホーの街の雰囲気に思わず見入ってしまい、撮影にやって来ている人もいます。心温まる、LOVE や、ハートの作品が多めです。
“Wear Love” 全身ハートに包まれた愛がいっぱいの可愛い作品。

こちらも “愛 ♡ “を叫んでいます。
ハートがいっぱいのウォールアートだけでなく、インストレーションアートも。
Don’t just be good. DO GODD!
コロナ禍で大活躍だった医療関係者さん。スクラブを着た女性が自由を叫んでいます。
“Black Lives Matter” をテーマとした作品もたくさんあります。
それぞれのアーティストさんらしい個性のアートで、美しい作品も色々。
黒人女性を描いた、それぞれに個性的な作品。
Wave of Change のメッセージと共に、初夏にぴったりの爽やかな青い波の作品。
お店が再開の準備をはじめると、パネルは取り外されていってしまいます。
コロナ一色だったアメリカに、大きな変化が訪れたのが、ミネソタ州ミネアポリスで、5月25日、警察のチョークホールドにより、ジョージ・フロイドさんが殺害されるという事件です。その一部始終が動画で撮影され、公開されたことにより、警察への信頼が大きく揺らぎ、これまでの警察が関わった同様な事件にも疑念が深まり、人種差別や警察の不要な暴力行為の禁止、透明性の高い公正な司法を求める声が高まっています。ジョージ・フロイドさんをはじめ、警察による殺害の疑念が抱かれている多くの人々のイラストが描かれています。
ニューヨークの最新 ジョージ・フロイドさんアートです。
場所は、ロウアーイーストサイドの Houston St と Bowery St の交差点に描かれていて、多くの人が写真を撮っています。
全米ですっかり有名になってしまった、ジョージ・フロイドさん。彼の事件をきっかけとした、ニューヨークでの抗議活動はこんな様子で行われています。
コロナ禍のアートも色々登場していて、面白いです。
トイレットペーパーを持ったスーパーマン!
コロナ禍で、なぜか世界中で売切れ騒動が起きたトイレットペーパー。
今となっては懐かしい出来事です。
マスクをしたモナリザ!
ニューヨークのアーティストさんたちは本当素敵なセンスをしているなーと思います。
そして、コロナですっかり有名人になった、アメリカ国立感染症研究所 (NIAID) のファウチさんも登場。しっかり手を洗いましょう!のメッセージも込めて。
ニューヨークのコロナ危機の軌跡は、こちらです。
現在、ニューヨークでは、ほとんどのミュージアムがまだ閉館していますが、そんな中、SoHo は、ちょっとした屋外美術館気分に浸れるホットな場所になっています。